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第4話 ~好意は悪意にもなる~

 個性的な生徒会のメンバーと初対面した翌日。

 寝坊することもなく無事に登校し、特にこれといって何もなく時間は過ぎて行った。

 …………正直に言おう。

 俺は何かが起きて欲しかった!

 例えば体調が急変して熱を出し、早退することになる。とかね!

 だって……今日の最後には生徒会のお披露目と会長挨拶があるんだよ。俺は壇上には上がらないで、他の生徒と一緒だけどさ。

 でも今日を境に確実と言っていいほどの確率で俺の学校生活が変わるわけですよ。主に周囲の男子の俺への接し方とか。


 だってさ……生徒会の役員様方は揃いも揃って美少女または美女ですよ。個人的に1名は性別は女だけど美男子にさせてもらうけどな!


 そんな生徒会にイケメンでもない平凡男子の俺が入ったら……言わなくても分かるでしょ?

 こういうときって外見がものを言うんだよね。人間は決して平等ではないって実感するねー。なんで俺はよく確かめないもしないで執行委員の紙に名前を書いて提出しちゃったんだ……。

 人気投票6位で惜しくも役員になれなかった人物や学校をより良くしたい! って熱い想いを胸に持っている人が生徒会に入るべきだよね。

 いや大抵の人間は上位5位に入らなくて良かったって思うか。それに熱い想いを持っているやつがいるなら昨日会ってるよね。


「(……あぁ、考えているうちに体育館が見えてきた)」


 今日のあそこはある意味俺の処刑台になるんだよな。行きたくないなー

 でも体調が悪いとかでもないのに行かないと先生に怒られるしな。気分は処刑台に歩いていく囚人のような感じなのに、なんで体調は悪くならないんだろうね?

 まさか自分で思っているより生活が変わる(おそらく嫉妬の視線を男子達から受ける)ことを嫌だと思っていないのか?

 それとも自覚はなかったがMっ気が俺にはあったのだろうか?


「(……それは嫌だな)」


 というか痛みとかに快感なんて感じたことないからMじゃない。……と思いたい。

 ……いや俺はMじゃない! だってMなら大空の下手したら一撃で人を昏倒させかねない殺人キックとか、月森先輩の精神口撃(本当は攻撃だけど、言葉での攻撃だからこうさせてもらう)に対して恐怖とは別の感情を抱くはずだから!

 …………。

 ………………あぁ。

 自分に言い聞かせてるうちに体育館に到着しちゃったよ。

 後ろからは他の生徒が来てるわけだから、この場に立ち止まる事も方向転換して来た道を戻ることもできない。しかも近くには教師もいるし。

 やろうと思えばできるけど、理由がないのにやったら教師から話しかけられるイベントが起きるのは間違いないよね。

 もう覚悟を決めて中に入るしかないか。もう開き直るしかないよね……。


「生徒会って誰がなったんだっけ?」

「そういや紙が張ってあったけど見てねぇや」

「まあいいんじゃねぇの。もうすぐ見ることになるんだし」


 周囲から元気な男子たちの会話が聞こえてきた。3年の人気投票って形だからやっぱり生徒会のメンバーとかに興味ないんだな。

 だけどこういう連中ほど生徒会のメンバーを知ると騒ぐんだろう。アイドルとかが登場したときみたいに黄色い声が出なければいいのだけれど。

 ってコンサートとかでもないのそれはない……こともないか。

 大空は女子にとって王子様みたいなやつだもん。『誠くん~♪』とか女子の声が上がってもおかしくない。


『マイクテス、マイクテス……あ、あ』


 マイクの調整が始まったってことはもうそろそろ始まるようだ。

 ……余計に気分が沈んできた。でも唯一の救いは男子が並ぶのが体育館の後方だということだ。まあ男女の平均的な身長から当然のことなのだろうけど。

 でも今日ほどこのことに感謝したことはない。

 だって前にいたらさ、あのド天然会長は俺の姿を見つけたら手とか振りそうなんだもの。

 誰だって嫌だろそんなこと。想像しただけでもヤバいくらいに恥ずかしいし。

 それに『会長と俺が付き合ってる』みたいな誤解だって発生しかねないわけですよ。そんなことになったら俺の学校生活はこれからなるであろう嫉妬の視線を浴びる生活よりひどい物になるよ絶対。

 でもきっと、会長さんは気にしないんだろうねー。


『ただいまより……』


 おぉ……ついに始まった。

 周囲の連中は若干テンションが上がっているやつもいるようだ。実に羨ましいなぁ。強がって「羨ましくなんかないんだからね!」とかは言わないぞ。

 だって男が言うとさ、普通に気持ち悪いだろ?

 ん? ……校長が壇上に上がったな。会長挨拶の前に任命式だっけ。

 正直に言って任命状ってあまり意味ないって思うんだ。部活動の大会とかでもらえる賞状ほどの価値はないだろうし。

 まぁ価値は人それぞれと言われたらそのとおりなのだが。

 俺には価値があまりなく魅力がないものでも、人によっては価値がある魅力的なものかもしれないわけだし。

 ふと思ったが、なんで俺から見て真正面じゃなくて真横に校長が見えるようにしてあるんだろう?

 入学式とかは真正面だったはずなんだけどな。


『生徒会長、2年、天川桜さん』

「はい!」


 ……。

 …………。

 今日も元気良いなあんた! というか今のところに返事いるの!? 個人的にはいらないと思うんだけど!

 いや、おそらくだけどいらないよね。

 だって体育館のあちこちから笑い声が聞こえるし、経験者である2、3年生が笑うってことはいらないってことだろう。

 というかリハーサルくらいやってるんじゃないの?

 ……いや、あの人なら名前を呼ばれたら元気良く返事をするっていう小学生のときに教えられたことを未だに守ってそうだ。


「桜、返事いらないわよ」

「あっ……ついやっちゃったよ私!?」

「いいから壇上に上がりなさい」


 少し間を置いた後、天然新会長が壇上に上がる。

 その際、階段で躓いたりしないか心配になってしまったが意外にもすんなり上がっていく。

 ふぅ……さすがにそれはないか。

 って今思えばド天然の所為で無意識にドジみたいなイメージを持ってたけど、天然だからって運動神経が悪いわけないか。意外とあの手の人物は運動できるってことがあってもおかしくない。

 ところどころで「会長、可愛くね?」みたいな声が上がってるなぁ。

 ははは……明日、いや片づけがあるから今日から嫉妬の眼差しで見られるだろうなぁ……。


『生徒会副会長、2年――』

「あわわっ……!?」

『――月森……千夏さん』


 ……あの会長やってくれたぜ! 憧れも尊敬もしないけどな!

 周囲がさすがにもう失敗しないかぁ……ってホッとした瞬間にこけちゃったよ。

 いやいや苦笑いしてないでさっさと立とうね会長。司会が進行できないでいるから。

 でもまあ階段でこけなくてよかったと言える。だって階段でこけてたら下着がこっちに見えてただろうし。こけたあと四つん這いになってたから。

 月森先輩は予想の範囲内だったのか涼しい顔してるなー。

 そして「ちょー美人」とか「クールビューティー」とかが聞こえてくるよ。その他には……見惚れている男子が多いねー。

 うん、まあそうだよね。

 俺もあの人見たときはそんな風に思ったし、見惚れそうになったよ。

 でも見た目に騙されちゃダメだぞ。会長の天然並みに非常識なところがあるから。エロい方向のこともさらっと言えるドS……何かこっちをチラッと見たような……。

 生徒に顔を見せただけなのかな? ……いやそうであってほしい。

 悪口を感知したとか非常識な展開はやめてほしい。そんな能力あったら俺、あの人に絶対弄ばれるからね。下手したら殺されるよマジで。だって俺はMじゃないから精神が持つわけないもん!


『こほん……同じく生徒会副会長、2年、氷室奈々さん』


 おぉ……後姿がうちの高校の制服を着た小学生にしか見えねぇ。そしてひとつ前に階段を登った月森先輩の所為かより小さく見える。

 え……なんで!?

 どうして先輩は階段を登り終わった後、俺のほうをギロッて睨んだのだろうか。俺の姿は見えてないと思うんだけど……だって見えてるなら天然会長が何か行動起こしてるだろうし。

 それにたださえ先輩は小学生並みの体格だよ。周囲よりもはるかに頭が出てるわけでもないんだから、他のふたりが見えていないのに見えるはずもないよね。

 まさか……先輩は自分にとって悪口と思えるようなことを考えている人間が分かるのか?

 月森先輩に続いてあなたもそんな能力持ちだったんですか……くそっ、あなたは一番の常識人だって思ったのに!

 …………いや違うかなー。

 だって俺の周囲のやつが「ロリ」だとか「小学生じゃね」とか「あの人が先輩!?」とか口ずさんでるし。

 入って数ヶ月の1年生は先輩のことを知らないからねー。

 だから先輩が気にしていることを口ずさむのも仕方ない……わけでもない。心の中で留めておくのが礼儀だろう。

 さっきのも俺を睨んだわけじゃなくて、1年男子全体を睨んだんだろう。偶々俺のほうを見ているように見えただけで。


『書記、1年、大空誠くん……誠さん』


 司会、言い直しちゃったよ……。

 でも俺はそのことで司会のことは責めない。いや、おそらくここにいる誰もが責めないだろう。

 だって前のほうから「誠く~ん♪」とか黄色い声が上がってるんだもの。まあおそらく人気投票に関わった3年と、大空と同じ中学だった人達だろう。

 というか予想通りの反応が出ちゃったよ。

 それに対して男子、俺の周囲からは「なんだあのイケメンは!?」みたいなリアクションが起こってる。

 やっぱ大空を見たことがないやつはそうだよな。爽やか王子様ってフレーズが合いそうな外見だからそう思っちゃうよイケメンさん達以外。

 大空、なにお前は落ち込んでるんだよ。

 女じゃなくて男っぽい扱いされてるのが嫌なのか? だけどそれは普通の奴らには嫌味だからな。

 だって普通の連中はどうあってもチヤホヤされないわけだから。それに王子様って感じでも人気があるのは悪いことじゃないだろ。お前ならアイドルでもやれるんじゃないかって俺は思うよ。アクションもできそうだからドラマとか映画にも出演できるんじゃね。


『会計、1年、秋本恵那さん』


 うん、ぶっちゃけ1番平常心で見てられるやつだ。

 そしてスタイル良いなぁ秋本。遠目だけど手足が引き締まってるのが何となく分かるし。

 一般的にそういう体型、スポーツやってそうな女子って胸が小さいってイメージがある。胸が大きいと空気とか水とかの抵抗が大きいから、胸が大きい選手は上にいけないってことでTVなどに映る人はスレンダーな人が多いのだろう。

 秋本はちゃんと発育してるから、これは上にはいけないかなって思って部活に入っていないのだろうか?

 生徒会に入ってるということは部活に入ってない、というか人数少ないから掛け持ちとか無理だろうしな。

 まさかだけど、部活に入ってたけど生徒会役員に選ばれたから退部になったとかはないよな。

 ……いやいやさすがにないか。そこまでしてたらこの学校は色々と問題あるってことですでに改善されるだろうし、秋本だって生徒会に険悪になるだろうしな。

 予想としては中学までは部活頑張ってたってのが1番有力だろう。

 または今も適度に運動をしているっていうのも付け加えないといけないか。じゃないとあの体型は維持できそうにないし。


『続いて生徒会長になりました天川桜さんから挨拶があります』


 おっと、考えているうちに任命式終わってたよ。まあぶっちゃけると紙を渡すだけだしね。

 そしてどうやったのか見てなかったけど、壇上の台の位置変わってるよ。仕事が早いねー。そして今更だけど、さっきまでこっちから真横に見えるようにしてたのは礼をしたときの配慮だろうな。

 この学校って女子のスカート短い方だから見えそうだもの。男子の中には


『くそ! なんでそういう配置にしたんだよ! 見えねぇじゃねぇかよ……!」』


 って思ってるやつがいるかもしれない。

 俺はそういう風には思わないぞ。見たいと思わないのか? って言われたら……何もデメリットがないなら見たいよ。だって俺も年頃の男子だから。

 だけど見ちゃったら嫌なレッテル貼られるし、あの生徒会のメンツのを見ようものなら間違いなく殺されるもん。

 まあ会長は気にしない気もするけどね。それと月森先輩は「見る?」とか男子高校生が驚愕しながらも狂喜しそうな素敵な一言を言いそうだけど。

 でもね……あの人はそうやって第3者からすればこっちが悪くなるように仕向しむけていると俺は思うんだ。そうやって弱みを握ってさ、下僕にすると思う。

 それとあの人には、逆らえば肉体的粛清より恐ろしい社会的抹殺される雰囲気がある。


『え~と……みなさん、こんにちわ。今日から生徒会長になりました天川桜です……』


 …………なんだと!?

 あの天然さんが無難に挨拶し始めたぞ。

 最初の部分を除けば完璧なスタートを切ったと言っていい。しかも自然と耳に入ってくるような美声だったよ。いや元々綺麗な声ではあったけどね。だけどこういうときの声は一段と美声なんだ天然さん。

 透き通るような美声だから会長に抜擢された? ……この学校って独特のシステムみたいなところあるから分かんねぇや。


『私が会長を務めている間に力を入れていきたいことは……千夏、読みづらいよー。簡単に読めるようにって言ったじゃん』


 …………なんだと!?

 今あの壇上で台の前に立っていて、挨拶中なのに後ろにいる月森先輩に顔を向けている天然さん。

 というか、今とんでもないこと暴露したよね。具体的かつ簡潔に言ってしまうと、自分がお飾り会長みたいなこと!

 というか自分がする挨拶を他人に書いてもらったって文句はないだろ……。

 それに読みづらいって別に今のところ難しい言葉出てきてなかったよね。今から読むところってそんなに難しい字が使ってあんの。それとも堅苦しい感じが嫌なだけとか?

 何かもう挨拶を自分で書いてないことよりもそっちの方が気になってきちゃったよ!

 だって月森先輩、顔に手を当てながら呆れてるような顔して何かブツブツ言ってるしさ。

 おそらく「読みづらいって……桜のことを考えて難しい漢字は使ってないはずなんだけれど」とか言ってると思うんだよね。


『これ読みづらいから読まないね』


 自由人過ぎるよあんた!

 なに人に書いてもらったのに、自分が読みづらいからって読まないで台に置いちゃうわけ。

 人の好意を踏みにじんなよ。月森先輩に一言くらい謝れよ。それとな、やるにしたって挨拶始める前にやれよ!

 挨拶の途中で内容変わるっておかしすぎるだろぉぉぉぉぉッ!

 ……落ち着け俺。何か昨日からやたらと心の中でだけど突っ込んでるぞ。何をこんなに熱くなっているんだ……。

 ……よし、大分落ち着いた。

 そしてあることにも気づいた。生徒会のメンツ(特に副会長さん達)はこうなること予想できたんじゃないのかな。それか事前に会長さんに挨拶の内容を確認させることできたよね。

 それとも会長に確認した。だけど会長はよく読みもしないでOKしちゃったとか?

 うん、充分にありえるね。普通はありえないんだけど。


『えっと、私が1年間頑張っていきたいことは『楽しい学校生活をみんなが送る』ってこと。勉強とかも大事だけど、私達が一緒にいれるのは長い人生の中でほんのわずかな時間だから楽しく過ごして素敵な思い出を残してほしいんだ。というか勉強って他人からやらされることじゃなくて、自分のやりたいこととか将来のためにすることだし……』


 口調とかはまだいいとして……

 なんで良い話をしてたのにぶっちゃけた話をしちゃうかなあんたはさッ! 確かに事実だけど挨拶には蛇足だよね!


『1年生のみんなはまだ知らないだろうけど、この学校って凄く楽しんだよ。私、去年から今まで過ごして楽しい事ばかりだったから。あっでも、テストとかは楽しくなかったよ――』


 期待させたいのか、現実を突きつけたいのかどっちなんだよあんた! 俺にはあんたの挨拶の方向性が分からないよ!


『――まぁ学生だからテストは仕方がないよね。そんなわけでテストのところはなしで』


 何かここまでくるとあれだね、いっそのこと清々しく思えてくるね。

 会長さん、何があっても最後まで聞いてやるよ。天然みたいな言動にも突っ込まないから言っちまえ。


『私がね、今までで特に楽しかったのが学校行事。運動会とか文化祭とかはその中でも特にフィーバーしたと自負してるよ』


 高校生なのに運動会だと!? そこは体育祭って言わねぇ!? それと自負って割と使いそうにない言葉を会長が使った!?

 ……はっ!? 突っ込まないって決めたんだった。

 くそ、一文一文に人を突っ込ませる要素がある。突っ込まないとストレスが溜まるかもしれないな。おそらくこう考えているのは俺だけじゃないはず。

 こう考えると、あの会長にツッコミを入れないって思わない人はいるのだろうか?

 あの会長と同レベルの天然とか非常識人は除いて。


『そういう楽しい思いができたのは去年の生徒会が頑張ってくれたからだと思うんだ。だからね、今年は私がみんなに楽しんでもらえるように頑張る! まぁ、何が楽しいのかはみんなそれぞれ違うだろうから中には楽しくないって人もいるかもしれないけど。でも、そういう人がいないように頑張るから――』


 いったん口を閉じて、天然さんは体育館全体を見渡した。


『――だからみんなも行事のときは中途半端じゃなくて全力で頑張ってくれないかな? いや、頑張るというか純粋に楽しんでって言った方がいいのか。あはは、色々と失敗ばかりしてるね私……』


 片手で頭をかきながら苦笑いを浮かべている。それもつかの間、今日一番の真剣な表情を新会長は浮かべた。


『私は今年生徒会に入ったばかりの新米で、今はダメダメな会長。だけど毎日頑張ってダメなところ直して行って良い会長になってみせるよ。だから……どうか私のことを温かい目で見守ってやってください』


 そう言って会長は頭を下げた。

 何か綺麗に終わったみたいになってるけど、最後の一言は本人がいうことじゃないよね。

 まあユニークな会長で面白くなりそうって生徒達は思っているのか、みんな笑ってるよ。それに温かい拍手も会長に送っている。

 これは行事とかで失敗はできなくなったな。まったく、天然会長はやってくれるぜ。


『生徒会のみんなには迷惑かけると思うけど、よろしくね』


 最後まで本当に自由人だねあんた。

 良い感じに終わったと思ったら後ろを向いて役員に話しかけるしさ。まあ役員達は呆れを通り越して笑いながらそれぞれ会長に手とか使って無言の返事を返してるけどさ。


『それと、知らない人がいるだろうし言っておくね。今年は壇上にいる私達以外に執行委員がひとりいるんだよ。え~と……クラスは分からないけど、1年の桐谷真央くん。みんなよろしく~』


 …………。

 ……くそかいちょぉぉぉぉぉおおおお!!

 何言っちゃってんのあんた! バカなの! いやバカッ!

 あんたに尊敬とかそこまでなかった(さっきの挨拶でちょっと見直してた)けど、今はマイナス突入したわ!

 あんたは俺にとって生徒会長じゃなくて、処刑人か死神だよ! 空気の破壊者の方がまだ可愛げがあったね!

 あんたは善意で言ったのかもしれないけどさ、世の中にはこんな言葉もあるんだよ。


『優しさは時に人を傷つける』


 ってな。

 あぁぁぁくそぉぉぉ! ほんの少しでもいいから過去に行きてぇぇ!

 行って最後まで聞いてやるかって思ってた俺に、くそ天然女が最悪のことするから阻止しろって言ってやりたい! ……行動したらどうせバレるか。


「…………どうせ終わってたのか、ハハハ」




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