封筒
実話ではありません(笑)。
「お姉ちゃん、私の買い物に口出ししないで!?」
革のバッグを、絨毯の上に投げた。
一瞬、チクリとした。30万円のバッグだ。絨毯は60万円。一人暮らしをしてから、買い物は増えた。
カードを切る度、メリットを貰えると思った。プチセレブという名の。
最近、怖くなった。今月の家賃に、1万円足りない。
誰にも言えず、焦った。
「早く目を覚まして。私も子供の世話もあるし、頻繁に来れないの。精一杯なのよ。」
お姉ちゃんは寂し気に言って、帰って行った。
ふとガラステーブルに目をやった。
なんで?
緑色の銀行の封筒だった。
中には1万円入ってた。
お姉ちゃん……。
ガラステーブルの上に、涙をポトリと落とした。