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第85掌 中二病な称号



「ただいま~」


 服の注文を終えた俺は拠点に帰って来た。


「あ、タカキさん。おかえりなさい」


 そこにちょうど玄関近くにいたリリアスが出迎えてくれる。


「どこに行っていたんですか?」


 そういえばダンガにしか行先伝えていなかったな。


「ちょっと新しい服を買いに行っていたんだ」


「え⁉」


 何故か驚くリリアス。え?俺、そんなに変な事言った?言ってないよね?なんだか不安になってくるんだけど・・・。


「ど、どうした?」


「ふ、服。買っちゃったんですか?」


「おう」


 まあ、注文しただけで、何が出来るのか俺にはまだ分からないけどな。


「あ」


「あ?」


「アメリアさ~ん!」


 何故かアメリアを呼ぶリリアス。なんでこのタイミングで呼ぶんだ?


 少ししたらアメリアが玄関までやって来た。その間、俺は状況がよく分からなかったので動かず静観することにした。


「何?リリアス。あ、タカキさん。おかえりなさい」


「ただいま」


「アメリアさん!大変です!タカキさんが服を買って来たって」


 いや、今は持ってないんだけど。というか、まだ出来てもないんだけど。


「えぇ⁉」


 だから何故そんなに驚くんだ?そんなに俺が学ラン以外を着るのがおかしいの?他の服くらい着たっていいじゃん。そこまで権利がないとか普通に泣くよ?


「そんなに慌てることか?」


「私たちが選びたかったんです!」


「そうよ!」


「えぇ~~~」


 理不尽だろ、それは。


「でも、買って来ちゃったんなら仕方ないわ。見せて」


「え?」


「だから買って来た服を見せて」


 アメリアさん、ちょっと怖いですよ?


「いや、まだ出来てないんだ」


「はい?」

「ふぇ?」


 アメリアとリリアスが首を傾げる。


「だって買って来たんでしょ?」


「いや、買ったけどまだ出来てないし」


「どういうことですか?」


 アメリアもリリアスも理解できないらしい。まあ、普通に考えて服を買ったって言えば現物はあると思うよな。


「今から作り出してるんだ。所謂オーダーメイドってやつ」


「そうなの⁉」


「アメリアさん、驚きすぎですよ?」


 何故かつい敬語を使ってしまう俺。


「だってオーダーメイドって普通の服より高いじゃない。そんなの買うなんて普通思わないわよ」


「まあ、そうだけど・・・」


「じゃ、じゃあデザインはありますよね」


 リリアスが食い下がる。粘るねぇ。


「いや、完全に任せてある。俺が現在分かるのは色だけ」


 って言うか、デザインとか見せてもらってないけど、大丈夫だよね?


「何色ですか!」


「黒」


 そう聞いた瞬間、リリアスもアメリアも前と変わらないじゃんって顔をする。


「いや、いつまでもこの服ってわけにはいかないけど、なんか俺って勝手に称号みたいなの付いちゃってるじゃん?」


「ああ。黒の英雄ね」


 アメリアさん、恥ずかしいからやめて。


「それに狂った死神さんですね」


 リリアス!なんでそれ言うの!アメリアとダンガはまだ知らないのに!


「何それ?」


「デートで学園に行ったときにタカキさんがそう呼ばれていたんです」


「あああああああ!恥ずかしいぃぃぃいいいいい!」


 悶絶ものだぞ。親しい女の子から中二病な名前を呼ばれる。死にたくなるわ。


「そ、そこまで恥ずかしがらなくても・・・」


 アメリアがドン引きしている。


「俺の国ではな。そういうのを中二病って言って、かなり恥ずかしい奴ってことを表しているんだよ!」


 蹲りながら頭を抱えて言う。


「っていうか、なんでそんな名前が新しく付いてんの?黒の英雄だけでもすごいのに」


「あれは尊敬とか憧れとかそういうプラスな意味で付けられましたけど、狂った死神っていうのはマイナスな意味で付いているんですよ」


「マイナス?」


 もういいじゃん。リリアスも言わなくていいし、アメリアも聞くのやめよ?


「姫騎士派を説得(・・)しに行ったじゃないですか」


「行ったわね」


「あの時、タカキさんってピエロの恰好してたでしょ?」


「ええ。なかなかシュールな光景だったわ」


「狂ったって部分はピエロから来ているんですよ」


「まあ、ピエロだからね」


「そのピエロが相手がどんな者だろうと簡単に命を刈り取る。そんな光景を目の当たりにした貴族たちが呼び出したみたいです」


 確かにちょっと芝居がかってたけどさ!あれは俺が誰か分からなくするためのカモフラージュじゃん。まあ、鑑定スキル持ちがいた時点で無意味だけど。


「なるほどね。タカキさんはつまり、裏と表の顔が出来ちゃったってわけね」


「図らずもね」


 俺はガックリと項垂れながら答える。


「まあ、いいじゃない。黒の英雄ってだけじゃ侮られるかもしれないし。敵対したら容赦しませんよってことが相手にも伝わるし」


「まあ、余計な争いは減るだろうけど」


「そうですよ!だからいいじゃないですか!黒の英雄と狂った死神」


「並べて呼ばないで!」


 それでも日本人な俺は利があってもついつい拒絶しちゃうの!


「もういいでしょ!この話はおしまい!そんなわけで俺はどんな服かは知らないけど、黒の新しい服を製作中なの!」


「はいはい。分かったわよ。納得しておくわ」


「そうですね。出来てからのお楽しみにしておきましょう」


 何とか引き下がってくれたか。良かった。


「ああ、それと」


「「?」」


「リリアスたちの服も今度行ったときに頼むつもりだから服を取りに行くときにはついて来てくれ」


「分かったわ」

「はい」


 顔は言われなくてもついて行くって顔をしていますけどね。


「さて、いつまでもここで話し込んでいないでダンガの所に行くか」


「あ、私もリアちゃんを待たせたままでした。急いで戻らないと」


「私も夕食の準備の途中だったわ」


 思い出したかのように三人はそれぞれの持ち場に戻った。


 ダンガにも服の話をしておかないとな。さて、頑張って改造しますか!




読んでくれて感謝です。

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