表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/521

第75掌 依頼第一段階終了



 最終防衛網を突破した俺達は現在、大きな屋敷の前にいた。


「森の中にこんな豪邸があったら違和感ハンパねぇな」


 俺はそんな感想が出てきた。古びた洋館なら分からなくもないが、手入れが行き届いている上に比較的最近出来た建物のために凄まじい違和感だ。ぶっちゃけシュールだ。


「この中にいる連中はレベル上げにもならないような低レベルの貴族たちだからササッと終わらせるぞ。いいか?」


 俺の問いに頷く三人。


 いい加減、面倒になってきていた。普通ならもっと時間が掛かるものなんだが、俺がやっているのだ。最速ならばすでに王都のハフナーさんに終了の報告をしているだろう時間だ。勿論、森の全域を把握してからの全掌握である。


 今更考えても仕方のないことだけどね。


 そんなわけで俺は屋敷に把握をかける。そしてそのまま掌握開始。範囲が広いとその分時間が掛かるからな。と言ってもそんなに多くの時間はいらないけど。三十秒ほどで完全に掌握完了。後々面倒事があってはいけないので念入りに掌握をかけた。あとはキュッと窒息させるだけだ。


「ほいっとな」


 俺の軽い掛け声により殲滅完了。


「終わりだ」


「タカキがいるだけでかなり時間短縮されるな」


「タカキさんがいるだけで軍を相手にしても勝てる自信があるわね」


「思いっきりタカキさんに頼っちゃっていますけどね」


「皆。話をするのはいいけど、この場を離れるぞ。屋敷は掌握で潰しておくから。先に帰っていてくれ。すぐに追いつくからさ」


「分かった。行くぞ、女性陣」


「「はーい」」


 俺を置いて先に戻る三人。三人がいなくなった頃を見計らってから死体の確認だ。一応、きちんと殺したかも確認しないといけないからな。


 ふむふむ。把握から来る情報では確かに全員死んでいるようだな。見た感じでも生き残っている奴はいない。防衛網で倒してきた連中も同じだ。それに外から森に入ろうとしている奴もいなさそうだ。これならもう帰っても大丈夫そうだな。戻ってハフナーさんたちに報告しに行くか。


 そして俺もその場から離れた。




              ・・・




 森の外に出るとダンガたちが俺を待っていた。


「お待たせ」


「いえ、残りのお仕事、代わりにしてくれてありがとうございます」


「構わないさ。これで後は王子を何とかしたら姫騎士側だな。それが終わったらようやく拠点とリリアスとのデートだ」


「そ、そこに私とのデ、デートを入れる必要はないんですけど」


 俺の言葉に恥ずかしそうに顔を赤く染め、俯くリリアス。可愛らしいな、おい。アメリアが若干羨ましそうにしているが、今回は我慢してくれ。


「そうか?まあ、いいじゃないか。それより、さっさと報告をしに帰ろうぜ」


「そうね。まあまあの数と戦ったからね。まあ、ほとんどはタカキさんとダンガさんがやっつけちゃったけど」


「俺はそんなにやってないぞ。タカキがほとんどやってんだから」


 まあ、俺とダンガの殲滅スピードは違うからな。ダンガが一殺する内に俺は五殺はしている。そりゃ、俺の方がやってるわな。


「そういうのはいいから!行くぞ!」


 殺しに慣れてしまうのは仕方ないとしても、日本人的に殺すことが当たり前になることだけは防ぎたいところだ。


 俺はそんなことを考えながら王都へと戻ったのだった。




             ・・・




「以上が報告になります」


「そうか」


 俺は現在、ハフナーさんに今回の殲滅のことについて報告し終えていた。リリアスたちは宿に戻ってもらっている。報告くらいなら俺一人で十分だしな。


「誰を殺したかなどの確認はしなかったのか?」


「そもそも誰かも分かりませんからね。代わりに殺し漏らしがないように確認はしておきましたから」


「それもそうか。そちらもご苦労だったな」


「構いません。その代わり、報酬の方は期待していますから」


「これは藪蛇だったか?」


「それは何とも言えません」


 そんなやり取りをハフナーさんとする。


「次の作戦はどうしたらいいですか?」


「それは王子の止めに関する作戦のことか?」


「はい。今回の作戦のように俺達に捕縛でも頼むと思っていたのですが」


「それはない。次の作戦には君たちは不参加にしてもらおうと思っている」


「それはまたどうして?」


「次の作戦、つまりは王子に止めを刺すことに関してだが、武力を使いはしない。次の作戦はただ単に衛兵による捕縛になる」


「なぜそのように?」


「君の報告を聞いたからだ」


「どこかおかしな点がありましたでしょうか?」


「いや、報告自体におかしな部分はない。君たちが戦ったという連中が問題なのだよ」


「俺達が戦った連中?」


「ソードタイガーと戦ったそうだな」


「・・・・そういうことですか」


「ああ」


 つまり、モンスターを配下にするということ自体がおかしいのだろう。この世界にはモンスターテイマーというものがいない、もしくは確認されていないのだろう。まあ、俺ならいずれは出来そうな気もするけど。


「だから、そのことを証拠に逮捕と言う訳ですか」


 なるほど。これは俺達の出番はない。


「そうだ。乗り気なところすまないが、次の作戦までは休憩していてくれ」


「分かりました。それはそうと、マリアーヌ様はどうされたのですか?裏切りにあった後は」


「彼女は今日一日だけは部屋に籠らせてくれと言って来たので今頃は部屋に籠っているだろうよ」


「そうですか。ありがとうございます。それでは俺はこれで失礼します」


「ああ。重ねて言うが、ご苦労だった」


「はい」


 俺は宿に帰ったのだった。マリアーヌの所にはいかない。心の中ではマリアーヌと言って、言葉では様付けしている時点である程度分かるかもしれないが、俺はマリアーヌに対して特に情などは移ってはいない。どうも、ああいうタイプは好きではないようだ。


 俺は本当に尊敬する人を呼ぶときには様付けなどしない。さん付けするのだ。日本人が日常生活で様付けなんてしないしな。




読んでくれて感謝です。

感想・評価・ブックマークをしてくれると嬉しいです。

よろしくお願いします!


依頼の段階ですが、最初が王子派の殲滅。次が姫騎士派の殲滅。最後が王弟の王位継承です。

この三段階が現在タカキ君が考えている依頼の全貌です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ