第74掌 防衛網
すんません。
文字数が二十万文字到達したんですが、作者の事情によりもう一話投稿できません。
誠に申し訳ないです。
ですが、ここまでやってこれたのは読んでくださる皆さんのおかげです。
これからもよろしくお願いします!
王都から出た俺達は森へと入った。森というかジャングルに近い感じだ。気温も少し上がったように感じる。湿度も高そうだ。
森を進んでいくとやはりと言うべきか、防衛網が構築されていた。兵士が二人にモンスターが十匹。サーベルタイガーみたいな風貌をしている。木の上でこっそりと様子を窺う俺達。
「あれはソードタイガーですね」
俺の隣にいるリリアスが呟く。
「ソードタイガー?どういうモンスターなんだ?」
「牙や爪が剣で出来ているトラです」
まんまかい。
「こんな初っ端から強襲しに来たことを知られるわけにもいかないからここは速攻で仕留めるぞ。いいか?」
「ああ。お前に任せる」
ダンガの言葉にリリアスとアメリアも同意のようだ。よし、それじゃあ早速っと。
俺は全掌握を使ってその場にいる兵士とソードタイガーを掌握する。そしてそのままさよなら、人生。簡単に説明すると相手の体を掌握してからの窒息である。息が出来なきゃ生き物は何にも出来ないからな。もし、それでも死ななかったら酸欠状態の敵をそのまま仕留めるだけの話。
なんて簡単な生物の殺し方。俺、なんだか最近冷酷だと思う今日この頃だぜ。
「さて、ここはこれで大丈夫だろう。奥に行こう」
三人は俺の言葉に頷き、俺達は奥へと向かった。
<指揮を掌握しました><視界不良耐性を掌握しました><夜目を掌握しました><レベルが上がりました>
奥へと向かう途中に俺は脳内にそんなアナウンスが流れていた。例えオールブーストでの補正やMNDが高くてもすぐにレベルが上がるほど生易しい経験値数ではないはず。それだけ兵士が強かったのか、それともソードタイガーが強かったのか。倒した以上分からない。まあ、今は考えなくてもいいか。
最初の防衛網が第一だとしたら今度は第二防衛網かな。そこに到着した。
「今度はモンスターよりも兵士の数の方が多いな」
「恐らく、その分統率が効いているぞ。どうする?」
こういう真剣な場面だと必要最低限のこと以外はリリアスもアメリアもしゃべらない。ダンガと俺くらいだ。
「この人数だ。どんなに早く倒しても後ろに伝わってしまうだろう。ここは指揮官だけ俺が殺るから後は三人に任せてもいいか?」
「「「はい!(おう!任せろ!)」」」
それじゃあ、始めますかね。俺は全掌握で指揮官らしき人物たちを掌握していく。そしてキュッと殺っちゃって、ダンガたちが木から降り立つ。そして常人とは思えない速さで殲滅していく。リリアスとアメリアは正確に急所を狙っていく。リリアスは弓でアメリアは固有スキルでだ。審判は俺達側を善と判断したようだ。面白いくらいあっさり仲間たちの攻撃が急所に当たる。まさに一撃必殺。
ダンガはシンプルだ。魔法と槌で力押し。一撃で全てを屠っていく。まさに圧巻だ。
殲滅はあっさり終わった。時間にして十分ってところか。流石は俺の仲間。信頼出来る。
「それじゃあ行くか」
「「「はい!(おう!)」」」
また奥へと向かう。把握している限り、次の防衛網で最後っぽいな。もうひと踏ん張りだ。
数分程行くと最後の防衛網に到着した。情報がすでにいっているのか警戒されている。確かにこれでは普通は難しい。守っている数も第一、第二防衛網とは比べ物にならない。兵士の数もだが、モンスターの数も圧巻だ。百はいるな。兵士はその半分の五十ってところか。
「ここを殲滅したら後は目標だけだ。さっさと終わらせるか」
「そうですね。モンスターの方は私とアメリアさんに任せてくれませんか?」
「それはいいけど・・・。何か理由があるのか?」
「いえ、この機会に私とアメリアさんは拮抗する戦いをしておきたいと思いまして」
「そうね。大体はタカキさんやダンガさんが一緒にいて安全だったからね。最初に内にこういうのは経験しておかないと後々大変なことになりそうだし」
「あ~。それもそうだな。じゃあ、任せるわ。でも、もし本当に危険になったら助けるからな。それは分かってくれよ?」
「「はい!」」
「優しいね~。タカキ君は」
「からかうなよ、ダンガ」
「わるいわるい」
「まったく・・・。それじゃあ行くか」
「「「はい!(おう!)」」」
そして木から降りて再び戦闘開始。俺とダンガはスキルや魔法は使わず、戦闘系のスキルだけで戦った。俺は二刀で相手を斬りまくり、ダンガは変わらず槌を振り回す。それだけで指揮系統も何もあったのんじゃない。兵士たちは全滅した。
あとはリリアスとアメリアの二人だ。リリアスは弓で攻撃しているのだが、なかなか当たらない。数匹は仕留めているのだが、やはり動きが早いのだろう。そしてアメリアは審判を使えないので近接格闘で戦っている。兵士たちを倒してしまっている以上、野生のソードタイガーに審判は通用しない。モンスターが、それもトラのモンスターであるソードタイガーが他の生き物を襲うのは当たり前のこと。生物として正しいことをしているに過ぎない。
この戦い。結構リリアスたちにとっては鬼門だ。相性が悪い。まあ、もうちょっと戦い方はあるとは思うけどな。
結構辛そうだ。俺とダンガはもう終わっているので観客モードになっている。
「二人とも!アドバイスはいるか⁉」
「「ください!」」
ここで意地を張らずにアドバイスを貰おうとする二人には好感が持てるよ。意地で自分の命を危険に晒すのはおかしなことだと俺は思うからな。
「リリアス!君はどうしてまだ急所を狙おうとしているんだ?胴体を狙えば当たる確率は上がるはずだぞ!アメリア!どうしてリリアスと協力しないんだ⁉リリアスの攻撃で弱ったソードタイガーを攻撃してもいいはずだし、アメリアが戦っている時にリリアスに援護を頼んでもいいはずだ。相手は言葉の通じる敵じゃないんだ。連携をもっと取れ!」
まあ、個人技ばっかりの俺が言えたもんじゃないですがね。
「「はい!」」
俺のアドバイスで目に見えて二人の動きが変わる。まあ、教授スキルが仕事しているのかもしれないが。
結果、俺の言う通りにしていたら三十分ほどで倒すことが出来た。
さて、後は別荘を強襲すれば終わりだな。把握してみると何故か逃げ出していない。恐らく、逃げなくても最終防衛網で何とかなるとでも思っていたのだろう。しっかりとその選択を後悔させてやらなきゃな。
そして俺達は目的地へと向かったのだった。
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