第60掌 神から知らされる彼ら彼女らの現状
神の会話回。
今回はどんな会話なんでしょうか?
それから約一時間後、神に電話をかけ直した。するとすぐにヤツは出た。
『はいは~い。こちら神様』
「なんで出なかった?」
『ひぃっ!ドスの利かせた声で言わないでよ!』
「お前がふざける限りこういうことを俺はし続ける所存だ」
『それはそうと、何の用だい?』
話題変換してくる神。調子のいい奴め。まあ、いいや。話を続行だ。
「ああ。神の眷属に間接的に、だが遭遇した」
『早いねっ⁉でも、間接的?』
「ああ。生身の人間に憑依していやがった」
『そんなことしてたの⁉』
「ああ。まあ、憑依は剝がしたから大丈夫だ。本体が別にあったっぽいから簡単に逃げられたけどな。何やら実験をしているらしいぞ?」
『実験・・・ね』
「何か心当たりがあるのか?」
『いや、まだ分からないよ』
「そうか・・・」
この感じだと本当に分からないっぽいな。
「まあ、俺からはそれくらいだ。そっちからは何か報告とかはないか?」
『あ~。ごめん。非常に申し訳ないんだけど、実は君には言っておかないといけないことがあるんだ』
「ん?」
申し訳なさそうに言う神。心なしか声も小さ目だ。
「なんだよ?」
『いやね、本当に申し訳なかったんだけどね。実は君のクラスメイト達がね・・・』
「俺のクラスメイトがどうしたんだよ?」
『この世界に一緒に連れて来ちゃった』
「・・・・・・はい?」
『私はそんなつもりじゃなかったんだけど、君の召喚事故の時に誤作動を起こしたみたいでさ。君が本来召喚されるはずだったライドーク神国に召喚されたみたいなんだ』
「はぁっ⁉ちょっ、おい!それ、ヤバくねぇか?」
『ああ。でも、私の部下に監視させてはいるから安心してくれ。彼らが僕らの邪魔や敵に回らない限りは出来る限り守るつもりだから』
「そ、そうか。まあ、危険なことにならないなら俺も少しは安心できるけど・・・」
『それで君のクラスメイト達なんだけど、召喚されてから二つのグループに分かれたようで、一つは君も予想しているかもしれないけど、君がなるはずだった勇者になったグループ』
「まあ、それは俺も予想したよ。それで?もう一つのグループってのは?」
『君を探すグループだよ』
「え?俺?」
『ああ。召喚された彼らの中の数人が君がいないことに気がついてね。君を探すためにライドーク神国の王宮から少ない物資だけで旅立ったんだよ』
「おいおい。俺はこの世界のどこにいるかも分からないのによくそんな無茶が出来るな」
『まあ、彼らがライドーク神国を離れた理由は別にもあるんだけどね』
「なんだよ?」
『前にも言ったけど、ライドーク神国は色々ときな臭い国でね。それに気がついたってことさ』
確かに、鋭い奴なら気が付く可能性もあるだろう。
「じゃあ、その俺を探すグループ以外はライドーク神国から逃げたってことか?」
『ああ。それで、君の情報をギルドで入手したみたいでね。今、こっちに向かっているみたいだよ』
「・・・まじで?」
『マジで。君の知り合いが何人いるかは私には分からないけどね』
まあ、数人が俺がいないことに気が付いたってことは、一人は多分ミッキー先生だろう。数人ってことだから、少なくとももう一人はいるはずなんだが、記憶には知り合いは二年のクラスメイトにはいない。
(誰なんだろう・・・)
まあ、俺の思考は今は置いておこう。
「すぐに俺のいるところまで来るのか?」
『いや。君のステータスと違って、彼らは少し成長が早いだけの普通の人間だよ。そんなに早く移動することは出来ない。君は私があげたスキルに種族が神の使徒だからね。尋常じゃない上がり様だけど』
まあ、自分でもこの自分のステータスは化け物じみていると自覚していますけども。
「それで?今はどこにいるんだ?」
『君はこの世界の国の立地とかを知らないから分からないんだろうけど、ライドークはオークスとちょっとだけ国境が接しているから思いのほかすぐに追いついてくるかもしれないよ』
確かにこの世界のことはまだ全然しらないけどさ。
「それはいいから今どこにいるか教えろよ」
『ごめんごめん。彼らは今、ライドーク神国の国境付近にいるね』
「どのくらい俺の今いる場所から距離があるか分からないんだけど・・・」
『国境から少し歩けば君の召喚されたタブル村に着くね』
「俺、結構ギリギリの場所に召喚されたな!」
『まあ、ライドークに召喚されている時の通り道だからね、タブル村は。じゃないと君の所のリリアスちゃんが君を召喚できるわけないじゃん』
「確かにその通りなんだけど、リリアスを馬鹿にされているみたいでムカつくな」
『ちょっと!私は本当のことしか言ってないよ!』
いや。分かってはいるんだけどね。ついそう感じてしまうんだよ。しょうがないじゃん?
『まあ、そんなわけで君の所に到着するまでもう少し時間が掛かると思うよ。君がずっとオークスにいればだけど』
まあ、リリアスがもうここに拠点作る気満々だからね。ダンガもここに店を出すし。それにベルモンドさんの頼みとかも聞いていたら結構時間が取られるだろう。
「多分、何も起こらなければ、このオークスで合流出来るだろうね」
『そうか。それで君は合流してからどうするつもりなんだい?』
「どうするつもりって?」
『彼らはほぼ確実に君を頼りにしようとしている。簡単に言えば君に依存しようとしているんだ。そのことを考えているのかい?』
「まあ、こっちを一方的に頼るようなら放置かな?」
寄りかかられるだけは正直勘弁して欲しい。こっちにも色々とやることがあるんだから。世話しきれないよ。
『そうか。まあ、その時になって考えればいいね。今は君の用事を優先すればいいさ。勿論、最優先は私の依頼だけどね』
「ああ。それは分かっているよ」
『うん。とりあえず、今報告できるのはこれくらいかな。君も明日は大変そうだし、今日はこのくらいにしておこうか』
「ああ。そうだな」
それで神とのやり取りは終了だ。神も言ってたけど、明日も大変そうだし、そろそろ寝よう。
おやすみ~。
読んでくれて感謝です。




