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閑話4 タカキはどこに?

閑話二話目です。

ちなみに何故、水崎樹里は地の文で名前呼びなのに皆川喜美は苗字読みなのかというと。

本編でタカキが水崎樹里のことを名前呼びだったからという理由です。

タカキ視点ではなく、第三者視点の時の地の文の名前呼びはタカキの呼び方で決めますのでよろしくお願いします。

それではどうぞ!



 早朝。起きた十人は宿の前にいた。


「ふぁ~。やっぱりまだ眠い」


 女子の一人が呟く。学校のある日もこんなに早起きしたことはないのだろう。地球で考えると現在の時刻は五時半といったところだ。朝練のあった部活に入っている生徒でもこんなに早起きはしない。


「我慢してね。それじゃあ行きましょう」


 十人はギルドへと向かった。朝が早くても人はいる。商人などはもう出店などの準備を始めている。そんな人たちから、皆川たちは目立っていた。髪や恰好が奇抜なのだから仕方のないことではある。


 宿から歩いて十分程。ギルドらしき場所に着いた。何故、らしきかというと、この十人はこの世界の文字が読めないからだ。言葉は何故か通じるので良かったのだが、文字が読めないとはなかなかに厳しい。


 ドキドキしながら中に入ってみると当たりだった。そこはギルドだった。早速ギルドの端にある冒険者登録所へと向かう。これも勘・・・というわけではない。普通に受付にいる人に聞いたのだ。


「あの、この十人の冒険者登録をお願いしたいのですが」


「はい。承りました。それではここに必要事項を記入してください」


 そう言って記入用紙を十枚渡された。それに各々記入しようとして気がついた。文字も書けないのだと。文字が書けないことにショックを受ける十人。


「日本語なら書けるのに!」

「辛うじて英語なら・・・」

「イタリア語ならいけるぞ」

「誰だよ!そんな今一番必要のない言語を持つヤツは!」


 騒ぐ生徒たち。皆川はため息をつきながら受付に言う。


「すみません。代筆をお願いできますか?」


「手数料で少し料金をいただきますが、構いませんか?」


「はい」


「それではここに並んで順番にお願いします」


 そうして冒険者登録所の受付に並び、登録をこなしていく。どこかのシャーリに見習って欲しいくらいの機敏さである。


「はい。これで完了です。お疲れ様でした。本日はどうされますか?依頼を受けて行きますか?」


「いえ、情報収集だけしたいと考えていまして」


 皆川はみんなを代表して話す。他の九人は後ろで待っているだけだ。


「情報収集ですか」


「はい。私たちのような黒髪というのは珍しいものなんですよね」


「ええ。それにその服も」


「そうですか。私たちは他にこのような格好の黒髪の青年を探しているんです。何か知りませんか?」


「いえ。・・・・あ」


「!何か知っているんですか⁉」


「服は分からないんですが、隣国の一つのオークス王国で緊急依頼があったらしいんですが、その依頼を達成したのが黒髪の青年だと聞きました。何でもその緊急依頼が発生した町の冒険者はその依頼でほぼ全滅したらしいですよ。それを一人で達成したのでオークス王国周辺では有名な話になっているらしいです」


「黒髪・・・。何か他に特徴とかありませんか⁉」


「落ち着いてください。そうですね。確か、ドライな考え方の持ち主だと聞きました。オークス王国では英雄のような感じになっているらしいです。でも、その英雄を王宮に招待しようとその町に行ったときにはすでに町を出た後だったらしいです」


「それ、いつの話ですか⁉」


「二日、三日前の話ですよ」


「そんなに早く情報が?」


「ギルドは情報収集にもしっかりと力を入れていますから。隣国くらいの距離なら一日や二日で情報を入手出来ますよ」


 何か特別な連絡手段などがあるのだろう。そう判断した皆川。


「わざわざありがとうございました」


「お役に立てたようで何よりです」


 それで皆川と生徒たちはギルドをあとにした。


「これは予想以上の収穫でした」


 つい笑顔になりながら言う皆川。しかし、他の生徒たちも同様の顔だった。


「ええ。まさかこんなに簡単に彼の情報を手に入れることが出来るとは。一番難しいことだと考えていたのに」


 樹里がそう言うが、彼女も嬉しそうだ。


「確定したわけではないですが、彼の可能性は低くありません。私たちはオークス王国に向かうことを目的としましょう」


「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」


「それでは三班の必要性が無くなったので、三班は危険性のない依頼を受けてお金を稼いでくれませんか?」


「それはいいですけど」


「お金はまだありますよね?」


「そっちに合流とかはしないでいいんですか?」


 三班の三人が皆川に聞く。


「ええ。お金はまだあります。でも、どんなことになるか分かりませんし、私たちには移動手段が徒歩以外にありません。どこかの商隊に便乗させてもらうとしてもお金を払わなくてはなりませんし。それに私たちは強くありません。だから可能な限りお金を集めておく必要もあります」


「なるほど。分かりました」


「それと依頼が完了したら宿で集合にしましょう。私たち一班と二班も情報収集が終わり次第、そちらと同じように依頼をこなしていきますから」


「「「はい」」」


「この街に滞在する期間は商隊がいつオークス王国方面に出発するか分かりませんが、目安として一週間あら二週間にしておきましょう」


 皆川たちは行動を開始した。


 奇しくも、緊急依頼に関わらないようにしようとしていたタカキが緊急依頼を達成したことにより、皆川たちは結構簡単にタカキのいる国を知ることが出来たのだった。




読んでくれて感謝です。

樹里たちは徐々にタカキの後を追いかけて行きます。

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