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第4掌 村人たちの変化

カキナオシテイマス。




 神との会話を終え、少しの間ステータスを眺めていた俺。


 って、待てよ?


 この種族 ヒューマン?ってなんだ。


 これじゃ、まるで俺が人間かどうか怪しいみたいじゃねーか!


 ・・・・。流石に何とかなるよな?ステータスを見られて変に疑われたりしないよな?あの神でも流石にこんなしょーもないことでミスをやらかさないよな?


 これ以上は考えても仕方のないことだな。もう電話も切っちゃったし。もう一度かけ直すのも面倒だしな。それにこの村にはステータスを見れるような奴はいないだろうし、気にしないでもいいか。


「おーい。もう終わったぞ~」


 部屋から出ながら俺はリリアスに声をかける。


 しかし、返事がなかった。どうやら出かけてしまったようだ。


「どこにいったんだ?俺に声も掛けずに出かけてしまうなんて」


 本来なら俺はここではよそ者でしかないし、昨日の村人の感じから言ってもあまり出歩くべきではないのだが、リリアスが心配だ。普通は出て行く前に声をかけるだろうし、もし声をかけずに出て行ってても、すぐに戻ってくるはずだ。神との会話やステータスを見ながら考えていた時間を換算したらまあまあの時間にはなるからな。


 もしかしたら、俺を家に入れたことで何か面倒事に巻き込まれてしまう可能性もある。というかそれが一番可能性が高そうだ。俺、結構目立ってたし。髪とか俺以外に黒髪いなかったし、服装も変だってリリアスに言われたしな~。


「少しだけ見てくるか」


 そうして俺は家を出る。


 しかし、固有スキルってどうやって使うんだろうか。これは常時発動しているのか?よく分からないな。これで何とかならないかと思ったんだが。


 何か、リリアスを探すのに役立つものが欲しいのだが・・・。


 うーん。考えていても仕方ないな。とにかく、歩き回ってみるか。


 俺は村の中心に向かって歩き出した。




                  ・・・




 ここは村の近くにある森。リリアスがタカキを召喚した場所。


 そこにリリアスは来ていた。


「何の用なの?」


 リリアスはタカキのために食料を調達しようと森の山菜を取りに来ていたのだが、そこにケンカしたはずのパッシュが何人かの村人と共にやって来たのだ。


「リリアス。あの男は誰なんだ?」


「そんなのあなたには関係ないでしょ?」


 パッシュの問いにリリアスは取り合わない。


「それに、どうして村の人まで何人も一緒に来ているんですか?」


 パッシュと一緒に来ているのは村でも発言力の高い人たちだ。村長までいる。


「あのよそ者の男についてお前に色々と聞きたいのだ」


 代表して村長が聞く。


「あの人は少ししたら出て行くわ。だから気にしないで」


「それは無理だ。それで村に何かあったらどうする?責任を取れるのか?」


「あの人はそんなことしない!」


「それが儂たちには分からんのだよ。分からんということはそれだけ怖いと言うことなのだ」


「た、確かに証明するものは何もないけど・・・」


 さっきまでの勢いが落ちてしまう。正論だったからだ。タカキが何もしないという保証もない。けど、リリアスにはタカキがそんなことをする人間には見えなかった。


「お前!その男を自分の家に入れただろ!」


 リリアスの勢いが弱まったことを見計らって再びパッシュが言う。もはや怒鳴っているぐらいの勢いだ。嫁に欲しいと思っていた男が出す声の大きさではない。


「だからどうしたのよ」


「お前、今まで家には誰も入れなかったじゃねえか!どうしてよそ者を入れたりしたんだ!」


 そう。今までリリアスは誰も家に招き入れたりはしなかった。例え入れてくれと頼まれても。


 だが、それはある意味当たり前のことだったのかもしれない。


 今までリリアスは村の人たちに散々馬鹿にされてきたのだ。自分を馬鹿にしてくる人間を家に招き入れたりなんてしようとは思わない。そうでなくてもリリアスは一人暮らしなのだ。何かあったら困る。慎重にもなるというものだ。それに、リリアスはたまに来る行商人から本を買っていたのだ。その本たちはリリアスにとっては宝物でもあり、実際、行商人が来るまでに毎回必死に色々と交換してくれそうなものを探したり、必死に働いて手に入れた物なのだ。そんな本に何かされてはたまったものではない。


「だって!あなたたちは私のことを馬鹿にするじゃない!私が頑張っている姿を見ていつも笑っているじゃない!あの人はそんなことしなかった!私が魔法使いになる夢を語っても笑わなかったの!それに私に希望をくれた人だもん!」


「なっ!お前、もしかして、あいつは魔法使いなのか?」


 リリアスが希望をくれた人と言ったことに反応するパッシュ。他の村人も同じような反応だ。自分を丁寧に扱ってくれているリリアスにこんな扱いをしていると分かったら自分たちに矛先を向けるのではないのか?そんなことを村人たちは考えたのだ。


 しかし、それはリリアスの夢が魔法使いであることを知っているが故の勘違いだった。リリアスもタカキが魔法使いかどうかは知らないのに。


「あいつについて行くのか!」


「そうよ!あの人と一緒に旅に出るわ!私がお願いしたら連れて行ってくれるって言ってくれたもの!」


 リリアスの言葉にパッシュは目に見えて焦り出す。


「どうしてだよ!お前は魔法使いなんてなれねえ!ここで村人として暮らしていればいいんだよ!それに!そいつがお前に何かしないとも限らないじゃないか!」


「パッシュ。少し落ち着け」


 村長がパッシュを宥める。


「だが、あの男を信用することは出来ん」


「信用できないならそれでいいわ。近いうちに出て行くから」


「いや、お前にはあの男のことについて知っていることを教えてもらう。弱みを握れるかもしれん」


「そんなことするはずないでしょ!」


「それなら尋問する。あの男について知っていることを吐くまでは解放されないと考えよ」


 村長のその言葉が合図だったのか、パッシュと村人たちがリリアスを拘束しようとリリアスの周りを囲う。


「くっ」


 タカキを召喚出来たからと言って魔法使いになれたわけではない。リリアスは未だにただの村人に過ぎないのだ。大の男に囲まれ、拘束されればリリアスは抗うことなど出来ない。


「どうしてこんなことをするの⁉今までこんなことをするような人ではなかったのに!」


 そう。今まではリリアスの夢を馬鹿にはしても暴力などはしていなかったのだ。なのに急にこんなことをしてきたことがリリアスにはおかしいと感じさせた。


(タカキさん!助けて)


 リリアスはそう願い、拘束されてどういうわけか、急な眠気により気を失った。




読んでくれて感謝です。

ちなみに、疑似神眼についてですが、なぜ疑似なのかというと、主人公が神ではないからという至極簡単なことだからです。

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