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第55掌 フォーマス君の災難 その3

本日二話目の投稿です。

この話の前に本日一話目を投稿しているのでこの話から入った方はそちらからお読みください。

それでは二話目をどうぞ!



 他のドラゴンに見つかると色々と面倒なので収納袋を手に入れた後、すぐに洞窟から出た。本来ならこのままサッサと街に戻るのだが、フォーマスが気絶から睡眠にシフトチェンジしやがったため、今日は洞窟前で一晩明かすことになった。昼に出発して夕方より前くらいの時間に洞窟に到着。そしてそのまま中に入って依頼達成だもんな。外に出たときにはすでに夜だったのだ。


「ダンガ、こっちはこれでいいか?」


「ん?ああ。そのまま頼む」


「おう。分かった」


 俺達は今、キャンプ中だ。俺は今、火炎魔法で木炭を作っていた。


 そもそも魔法が便利過ぎるんだよ。寝る場所はダンガの土魔法で作れちゃうし。食料はさっきの依頼で余分に倒したドラゴンの肉がある。火は俺やダンガが魔法で使えるし、水魔法もあるから水が無くなるってこともない。ちなみに寝るところはダンガが二つ作った。まあ、女性と一緒に寝るのは色々と問題があるからな。特に俺や女性陣は若いからな。それにフォーマスが暴走しないとも限らない。


 でもやべぇな。これ、食料さえ何とかすれば普通に暮らしていけるぞ。


「さて、こんなところかな」


 木炭が完成したのでダンガがあらかじめ作ってあったバーベキューコンロのような物の中に入れる。後は俺の火炎魔法で―――といきたいところだが、流石に過剰火力だ。さっきの木炭作りもかなり精神使ったし。ここはダンガにお願いしよう。


 俺はブレードで細かくブロック状に切ったドラゴンの肉を木の枝で差し込む。この木の枝は俺が水魔法で丁寧に洗ったあと、火炎魔法で消毒しておいた物だ。清潔になっただろう。


 後はバーベキューコンロの上に置くだけ。網がないからまさに炙るって感じになっちゃうけどね。


「ん~?なんだ、このおいしそうな匂いは」


 俺とダンガが肉の様子を見ているとフォーマスが起きてきた。


「よく眠っていたな」


「あんな場面に出くわしていて気絶するなっていう方が無茶だろう」


 ダンガがフォーマスのフォローをする。


「まあ、いい。今日はここで一晩明かすから食事の準備をしていたんだ。ちなみに女性陣は俺とダンガの力作の風呂に入りに行っている」


 土魔法と火魔法、それに水魔法があればどこでもお風呂を作ることが出来る。これは日本人の俺にとっては最高だ。こっちの世界では風呂なんて普通はなかなかないからな。これでいつでも風呂に入ることが出来る。ついつい涙が出ちゃう。水浴びするために水場のある依頼を受けていた初依頼のときが懐かしい。(※第十七掌 初依頼受注より)


「覗きに行こうなんて考えるなよ?」


「そ、そそそそそんなことしない!」


 顔を真っ赤にして全力で否定するフォーマス。その慌てようが余計に怪しい。


「まあ、ここで俺達とおとなしくしておけ。二人が戻ってきたら夕食にしよう」


「そうだな。ついでにタカキが頑張って木炭を作っている時に採って来たキノコとかも肉と一緒に焼こう」


 ダンガさん。キノコってそれ、毒とかないよね?ものすごく心配なんだけど。


「タカキ。そんなに怖がるなら鑑定してみればいいだろ?」


「おお!そうだった。早速見てみる」


 鑑定してみると生のままで食べると腹痛とかになってしまうらしい。火を通せば大丈夫だけど。けど、それは他の食材でも同じだ。気にする必要はないだろう。


「大丈夫そうだな。火は通せよ」


「おう。了解だ。フォーマス、ちょっとキノコを焼くのを手伝え」


「な、なんで俺が」


「これもお前の更生の一環ってやつだよ」


「俺は更生しなきゃいけないほど悪くない!」


 自覚無しかよ。面倒なことで・・・。今回の依頼でフォーマスに上には上がいることと、死ぬかもしれないと思わせることが出来たので依頼の第一段階は完了だ。まずは根本に恐怖を叩き込む。次は第二段階だ。これはベルモンドさんの所に帰ってから開始するけど、徹底的に鍛える。ただそれだけだ。歪んだ性格を強制的に叩き直してやる。


「・・・!」


 何やら寒気を感じている様子のフォーマス。


「ただいま戻りました」


「お風呂ありがとね」


 そうこうしているとリリアスとアメリアが戻って来た。サッパリしたって感じの表情だ。うんうん。風呂を作った甲斐がある。さてと。


「それじゃあ、俺達も風呂に入りに行くか」


 今度は男性陣の番だ。ゆっくり寛がせてもらおう。


「じゃあ、俺達は行ってくるからここをお願い」


「はい。任せてください」


「何かあったら気にせず俺達を呼んでくれ」


「ええ。でも、ちゃんと服は着てから来てよ?」


「当たり前だ!」


 そしてその場を離れ、俺達三人は風呂に入る。


「タカキ、何やってんだ?」


「ん?洗濯だよ」


 洗濯機もないし、そもそも服を毎回汚れたからって洗えないんだ。こういう時にしっかり洗っておかないと。


「あー。洗剤が欲しいー」


 水でゴシゴシするしかないからな、今は。


「服を洗うなら生活魔法を使える奴に頼めばいいのに」


 フォーマスがそんなことを言う。


「え?生活魔法を使えばきれいに洗えるの?」


「そんなの常識だぞ?」


「むっ」


 なんかフォーマスに常識を説かれるとイラッとするな。リリアスとかならこんな気持ちにはならないのに。


「ともかく、今は手洗いしちゃったんだからもうしょうがないだろ」


「まあ、そうだな」


 しかし、そうだったか。生活魔法ならアメリアが持ってたじゃん。失敗したわー。


 まあいい。俺はサッサと洗濯を済ませる。濡れた服は火炎魔法で乾かす。ダンガにばっかり任せていたらコントロール出来ないからな。こういうので練習していかないと。


 男性陣は特に長湯するほどのこともないのでサッサと風呂から上がった。


 リリアスたちの所に戻り、夕食を堪能したあと、就寝した。


 翌日、なかなか起きないフォーマスをたたき起こし、早朝に出発した。行きと同じくおんぶとお姫様抱っこだ。アメリアがリリアスと場所を交代して欲しいと言って来たので交代した。まあ、行きはリリアスがお姫様抱っこだったし、リリアスは他の場面でもよくお姫様抱っこしてたしな。リリアスもアメリアのお願いにすんなり応じた。


 そして数時間後、俺達は無事にフェルゲンに到着した。




読んでくれて感謝です。

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