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第53掌 フォーマス君の災難 その1



 門に向かう途中。


 フォーマスは行きたくないと騒いでいた。


「おい。周りの人に迷惑だから騒ぐのをやめろ」


「嫌なもんは嫌なんだよ!そこの奴ら!俺を助けろ!」


 リリアスやダンガ、アメリアに向かって叫ぶ。


「このパーティーのリーダーは俺だ。まあ、はっきりと決めたわけではないが」


 そもそも俺の目的のために集まっているからな。まあ、細かなことは違うが。リリアスは魔法使いになりたいからだし、ダンガは性格上、協力者より仲間がいい感じだし。アメリアは婚約者(仮)になっちゃったからだし。


「そんなわけで、さっさと諦めろ。行くぞ」


 ジタバタと抵抗するフォーマスを引きずりながら外に出た。門での手続きはリリアスに任せた。フォーマスを離すと多分、すぐに逃げるからな。


 外に出た俺達は前の依頼で見つけたドラゴンの巣に向かった。ここから徒歩一日ほどの場所だ。


「どこに向かうんだ?」


 フォーマスは外に出てからは諦めたのか、抵抗しなくなった。


「ここから一日歩いた先にある山だよ。そこの洞窟の中」


「アバナ洞窟⁉」


「ん?なんだそれ?」


「し、知らないで向かっているのか⁉」


「いや、前に依頼でその洞窟の中に入ったし」


「は、はは入ったのか」


「おう。たくさんドラゴンがいてビビったよ」


「ど、ドドドドラゴンっ⁉」


「あれ?ドラゴンがいるのは知らなかったのか?」


「強力なモンスターが何種類もいることで有名なんだよ!なんでそんなところにドラゴンがいるんだよ!・・・っていうかドラゴンがいるって分かっているのにアバナ洞窟に向かっているのか⁉」


「だって今回の依頼はドラゴン退治だし」


「はぁっ⁉」


「あれ?そんなに驚くことか?」


「ランクA以上確定のモンスターだぞ!驚くに決まってるだろ!」


 そうかな?一体くらいなら普通に相手に出来るぞ?


「タカキさんがいれば大丈夫ですよ」


 リリアスがフォーマスを安心させるために声をかける。


「何の根拠があるっていうんだよ」


「まあ、それは見たら分かることだ。今は気にすんな。タカキが大丈夫だって証明してくれるさ」


 ダンガ。説明丸投げじゃないか。


「さて、そろそろいいかな?」


「「?」」


 アメリアとフォーマスは俺の言ったことの意味が分からない様子だ。リリアスとダンガは分かっているのか、落ち着いた様子だ。


「何がいいんだ?」


 フォーマスが聞いてくる。


「いや。ここなら目立たないかなと。まさか一日ずっと歩くと考えてたのか?」


 アメリアとフォーマスは二人して頷いている。


「なわけないじゃん。それじゃあ、リリアスとアメリアは俺。フォーマスはダンガね」


「はい」

「おう」


 リリアスはすぐに俺のそばに来た。しかし、アメリアとフォーマスは意味が分かってないのか、その場を動かない。


「アメリアも早くこっちに来い。フォーマスはダンガの方な」


「は、はぁ」

「あ、ああ」


 ようやく組み分けが終わる。


「アメリア、背中に乗って」


「え?」


「おんぶだよ、おんぶ」


「え?え?」


「いいから」


 困惑するアメリアを強引に背負う。


「さ、リリアス」


「はい!」


 リリアスはお姫様抱っこだ。これでこっちの準備は終了。ダンガの方はどうかな?


「こっちは準備出来たぞ!」


 ダンガもフォーマスをおんぶしている。


「それじゃ、行きますか」


「え?行くって・・・」


「勿論、このまま走るんだよ」


「ええっ⁉」


「いくぞ~」


 ダンガのスピードに合わせてダッシュ開始。ちなみにこの組み合わせに他意はないぞ?ダンガと俺とにはステータスに差があるから俺がより重くなる組み合わせにすれば、それだけ早く着く。決してリリアスとアメリアが重たいと言いたいわけではないのであしからず。


「ふああああっ!」

「うわあああっ!」


 街道にアメリアとフォーマスの悲鳴が轟いたのであった。




               ・・・




 数時間後。俺達は目的のアバナ洞窟に到着した。俺だけなら一時間もかからなかったんだが、そこは仕方がないことだ。ソロで行動することはせず、パーティーでの行動を選んだのは俺なんだから。


「よし。それじゃあ、早速入るか」


「待て待て!ちょっとは休憩させてくれ。お前と違って俺は全力で走ったんだから」


「おお。すまん、ダンガ。それじゃあ、三十分休憩したら出発だ」


「おう。悪いな」


 ダンガほどではないが、リリアスやアメリア、フォーマスも疲れている。というかグロッキー状態だった。まあ、短時間ならともかく、長時間同じ体勢で揺られていたからな。ここに来るまでに何度か休憩を挟んだけど、あんまり変わらないし。


 三十分後。俺の水魔法で冷たい水を出し、水分補給などをして体力回復!


 そんなわけでいざ、探検開始だ。この前ここに来たときは入口から歩いて十分くらいのところにドラゴンがいたからな。とりあえず、そこまで行ってみるか。


 ビクビク震えてダンガの後ろに隠れながら移動するフォーマス。アメリアも怖がっているようで、俺の服の裾を掴んでいる。リリアスは俺の隣にいる。二度目となれば慣れたものだな。


「リリアス、ダンガ」


「はい」

「なんだ?」


「スキルで洞窟のどこにドラゴンがいるのかを見てみる」


 俺の言葉に頷く二人。全掌握や把握能力、というかスキルの内容は仲間以外には秘密にしないとな。ここにはフォーマスがいるから言えないし。


 能力を使って洞窟内を把握した。するとすぐに分かった。どうやらここから一キロほど先に数体いるようだ。


「よし。分かった。ここから俺が案内する。ここから十分ちょいだ」


 洞窟は特に入り組んでいないのでほとんど一直線だ。しかし、この洞窟。一キロ先まであるなんて結構長いな。


 ドンドン俺を先頭にして歩いて行く。


 GUOOOOOOOOOOOOO‼


 十分ほど歩いたところでそんな鳴き声が聞こえた。というか響いてきた。そろそろご対面だな。数体程度ならドラゴンも倒せるし、大丈夫だろう。フォーマスの教育開始だ。


 俺は隊列を組む。アメリアを一番後ろにしてフォーマスを俺におんぶをさせてくくりつける。嫌な予感がしたのか、フォーマスはものすごく嫌がって抵抗したが、俺とダンガに押さえつけられて強制おんぶ。ダンガは俺の斜め後ろでリリアスはダンガの隣。ダンガは火魔法と土魔法が使えるので遠距離からの攻撃だ。リリアスはベルモンドさんの依頼を受ける前に買っておいた弓を持たせる。これで遠距離射撃だ。当然、俺は一番前。


 少し進むと開けた場所に出た。それにドラゴンも見つけた。大きさは全長五メートルほどだ。それが三体。鱗が赤いから火竜かな?


 GURUUUU?


 お!こっちに気がついたようだ。それじゃあ始めるか。


 GUROOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO‼


 ドラゴンの雄叫びと共に戦闘が開始された。




読んでくれて感謝です。

余裕のある日にちょいちょい今までに書いたところを読み返して直したり、背景描写や登場キャラクターの行動を書き足しています。

良かったら読み返してみてください。

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