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第480掌 戻ってきたベルルク その8

ようやく時間が空いたのでとりあえず1話だけ投稿!



 夜遅くまで続いた俺達の冒険譚。気づいたら全員、リビングで寝落ちしていた。まあ、神の眷属とのことは流石に話さなかったので思いの外ドキドキワクワクな楽しいお話になったからか、シャーリが目を輝かせていたし、皆そんなシャーリの様子を見て気分を良くしてペラペラ話しまくっていた。


「タカキの話だけはちょっとビビってたぞ。他の皆が羨ましいからって記憶を捏造するな」


「なんだ、ダンガ。起きてたのか?っていうか、なんで俺の考えていることが分かるんだよ」


 俺が一番に起きて昨日のことを感傷に浸りながらモノローグでカッコつけてたのに。


「お前、珍しく寝ぼけてんのか?普通に声に出してたぞ」


「マジ?恥ずかしすぎんだろ。」


「起きたら独り言を呟くリーダーか・・・。頭が心配になるな」


「ならんでいいわ!」


 まったく。ダンガも自分の家だからか、いつもより会話が軽快だな。


「今、時間はどのくらいだ?」


 結構遅くまで起きていたからな。昼過ぎててもおかしくない。


「昼前くらいだ」


「あれ?まだ朝の時間帯なんだ」


「まあ、昨日あれだけ話していたからな。もっと寝ていると考えてもおかしくはないが」


「まあ、昼前っていうならちょうどいい。皆が起きてくるまでに朝昼兼用の食事の準備でもしますかね。ダンガ、食材はどこにある?」


「もうほぼ無いぞ。全員分を考慮した量をしっかり買っておいたが全部平らげてしまったな、女性陣が」


 マジか。じゃあ、買い出しに行かなきゃいけないな。しかし、結構買っていたよな・・・。そんな食が進むなんて。女性陣の盛り上がりは確かに凄かったけども。


 冒険譚って言ったけど、半分以上はあの場面は凄かった云々の話になっていたからな。え?抽象的過ぎてどんな話をしたか分からないって?俺の話だよ!俺の!自分が語り手になった時の女性陣からの「あの時のタカキさんは凄くカッコよかったんです!」なんて話をリリアスが最初に始めてしまったから皆対抗して俺に関する話ばっかりになったんだよ!勘弁してくれ。(ちなみに、ファイズがその話を聞いて謎に「カッコいいじゃない!」って体をくねくねしていた。勘弁してください)


「しょうがない。今から買い出しするのも面倒だし、手持ちの食材を使うか」


 異空間にしまってあった食材を取り出す。


「俺が料理するからダンガは皆を起こしてくれ」


「ああ、分かった」


 さて、ササッと作りますか。



          ・・・




 皆語り疲れていたのか、全員が起きたのは俺の料理が食卓に揃う直前だった。


「皆、大分眠そうだな」


 ダンガが少しだけ呆れが混じった声色で全員の表情を見て感想を漏らす。


「私達の旅を語り出したのは結構早い時間だったから一人一時間でも十分余裕があると思ったのよ。リリアスがいつも以上に張り切っているというか、興奮しているからついつい乗せられて・・・」


 アメリアがあくびをしながらそう言い訳をする。


「私もまさか自分でこんな話をするとは・・・恥ずかしいぃ・・・」


 カリーナさんが手で顔を覆っている。耳が赤くなっているので昨日の自分を思い出して羞恥心と戦っているのだろう。


「シャーリにこれまでのこと、全部聞いてほしくて・・・。ごめんなさい」


 リリアスがちょっとシュンとして落ち込んでいる。


「俺としてもカリーナさんに倣って羞恥心と戦いたいところだけど、まあいいや」


 流石に反省しているリリアス達相手にこれ以上追い詰めるのは可哀相だ。俺は昨日のことを水に流すことにした。


「さて。それじゃシャーリには悪いけど、この後の予定を話すぞ」


「私は気にしないでください!席も外しましょうか?」


 そう言って立ち上がるシャーリ。


「いや、いてもらっていいよ。この後の予定はもう決まっているから」


 ベルルクでの話ではなく、タブル村のことだ。


「リリアスの故郷ね」


 アメリアが俺の言葉を受けてその予定について言い当てる。


「ああ。正直、リリアスにとっても良い思い出の地ってわけじゃない。荷物を取ったら今回の旅行の目的を果たして終わりだ。長居もしないつもり。これはリリアスとも話し合って事前に決めている」


 いつ話したかって?フェルゲンでフォーマスを鍛えていた二日間でだ。夜通しぶっ続けで指導していたらフォーマスが死んでしまうから夜にはベルモンドさんの屋敷に戻っていたからな。リリアスとはその時にタブル村での行動について話し合っている。


「迅速にリリアスの目的である自宅の本の回収を済ませたいと考えているが、面倒なのが絡んでくる可能性が高い」


「面倒なのってなんなの?」


 ファイズが不思議そうに聞いてくる。


「リリアスのことが好きな村の男の子」


 俺は色々と面倒なので簡潔に答える。


「何?青春?」


「そんな良いもんじゃありませんよ。青春っていうならタカキさんとの旅や学園での生活って答えますよ」


 リリアスがここまで人の好意に対して素っ気なくなるので皆驚く。唯一事情を詳しく知る俺以外は。


「まあ、会わないに越したことはないが、あれから成長していないなら会ったら分かるさ」


「タカキがそんな苦い顔をするなんて・・・。一体何があったんだ・・・」


 ダンガが代表して皆の気持ちを代弁するかのように俺の様子を見て戦慄しているけど、アレを見ていてイライラしていて異世界に来てリリアスと会った感動からの落差を見事に喰らわせてくれた苦い記憶があるだけだ。そんなビビらなくていいぞ。


「じゃあ、もう出発しちゃうんですか?」


 シャーリが残念そうにしている。


「村に泊まる予定は無いから明日用事を済ませたらすぐにベルルクまで戻ってくる。だからそんな落ち込まなくていい。まあ、もう少ししたら大きな仕事があるから村から戻った次の日には出発しなきゃいけないけど」


 国境を確認した時の状況次第ではフェルゲン、ベルルクでの帰りも寄る約束を反故にして王都まで戻らなくちゃいけないけどな。流石に何も告げずに転移で戻ったら心配させるので一声掛けるつもりではあるけど。


「それなら仕事が終わったら私、ダンガさんのお家で待たせてもらってもいいですか?」


「ああ、いいぞ。鍵は渡しておくから」


 ダンガが家の鍵をシャーリに渡す。


「出来れば夕方までには終わらせておきたい。サクッと終わらせよう」


 サクッと終わることを祈り、俺達は食事を済ませて外に出た。




読んでくれて感謝です。

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