第478掌 戻ってきたベルルク その6
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不定期に更新していきますので更新しているのを見かけたら読んでくださると幸いです。
「おーい。戻ったぞー」
俺はギルドの中に入りながら中にいるダンガとアメリアに声を掛ける。
「おかえりなさい。その様子だと例のシャーリさんは無事みたいね」
アメリアが出迎えてくれる。
「そっちこそ。その落ち着きようから察するに、デリルは無事に捕縛出来たか」
「当たり前だ。お前に出会った頃ならともかく、今の俺達がどうこうなる相手じゃないだろ。っていうか、すでにスキルで分かっていたことをわざわざ聞くなよ」
ダンガは俺に呆れながら言葉を返す。
「まあね。それで?当の本人は?支部長やカリーナさん、ファイズは?」
「支部長は念のために背後関係を尋問中。二人はその護衛よ。それで?そっちの宙に浮いてるのは?」
アメリアが俺の後方斜め上に視線を向ける。
「ああ。デリルの仲間というか、手下だな。シャーリを襲おうとしていたし、デリルと同じで逃げ出したのは変わりないから、同様の罪に問われるだろうからデリルの所に持って行っていこうかと」
「ちょうどいいかもね。奥の部屋で尋問中なんだけど、シャーリの命を盾にして何もしゃべろうとしないのよ。それどころかギルド側に要求までしてて支部長もほとほと困っているみたい」
「オッケー。それなら確かにちょうどいいな。デリルの前にこいつら放り投げくるわ」
尋問中に部屋に入ろうとドアに手を掛けて、ふとシャーリへ確認を忘れていたことを思い出した。
「シャーリ」
「あ、はい」
「どうする?こいつらをデリルの前に出すだけでも十分な材料になるけど、シャーリも立ち会うか?」
「・・・えーと」
「首謀者のデリルに会いたくないのは察するけど、多分今度こそ絶対に会わなくなるだろうし、今までの鬱憤とか今回のこととかスッキリしたいなら俺と一緒にデリルに絶望を突きつけるのもアリなんじゃないかなって」
結構ざまぁな展開が期待できるだろう。
「・・・いえ。止めておきます。せっかくリリアスが来てくれているので、あんな人に時間を割きたくないですから」
「ん。それもそうだな。リリアス」
「はい」
「シャーリを連れて先に行ってていいぞ。皆への紹介とかはまた後にすればいい。遊んできな」
「そうですね!シャーリ、この場はタカキさん達に任せていきましょう?私達がベルルクを出てから変わった所とか、前は行けなかったところを案内してほしいな!」
「あ、うん」
リリアスとシャーリは話しながらギルドを出て行った。シャーリはこちらへ申し訳なさそうに視線を向けていたけど、誘拐直後だ。立ち会わないなら精神を落ち着ける意味も含めて気分転換しに行った方がいい。
「さて。それじゃ改めて」
俺はドアを開けて室内に入る。入る際に浮かせていたチンピラ二人組が部屋の入口に頭とは肩をぶつけていたけど、まあいいよね!勿論、当たらないように動かすことなんて何の負担にもならないけど、気分の問題なのだ。
「どもー。どんな感じ?話進んでる?」
「き、貴様はっ!」
デリルが俺の顔を見て驚きから目を見開いている。
「なんか、性懲りもなく前みたいに悪だくみしていたみたいだけど、運というか、タイミングが悪かったな?」
俺はデリルへニッコリと笑顔を向けて心を折りに行く。
「俺がいる時点で何となくは察していると思うけどさ?見ての通り、お前の作戦は失敗に終わっているから」
俺は宙に浮いていたチンピラ二人を魔法を解除してデリルの前に放り投げる。
「勿論、シャーリは無事だ。こいつらがどうこうする前にしっかり潰させてもらった。一応、お前に文句とか言いたいことはあるか聞いたが、何もないってさ。良かったな。お前が標的にして苦労して捕らえた人質はお前がどうなろうと興味もないみたいだ」
デリルは俺の言葉を聞いて顔を羞恥と憤怒の感情で染める。
「お前は支部長に対して切れる交渉や脅しのカードは何一つない」
「――――ッ」
何か言い返そうと俺へ睨みつけようとして憤怒の表情が怯えの表情へと変わる。それもそのはず。俺は威圧スキルをデリルが顔を上げた瞬間本人だけに向けて使っている。
「カリーナさん。拷問の心得は?」
「ありますよ。やりますか?」
「あぁいや。どんなことをするのかだけ教えてもらおうかと。やるのは俺がやりますから」
カリーナさんにそんなことさせるつもりはないからな。っていうかこれはデリルの心を完膚なきまでに折ってペラペラしゃべってもらうためにしていることだ。これ以上はこいつに時間を取られたくないからな。
俺の威圧を受けて、さらに俺からの拷問という発言。デリルの体は恐怖に震えまくっている。そんなデリルに俺は魔法を展開する。デリルの全方位を囲うように火の矢が待機している。
「なんてな。お前のために掛けてやる時間は俺にはない。だからこれから支部長が聞きたいことを聞いていく。それらに全て正直に答えろ。この火の矢はゆっくりとお前に迫っていくから。支部長が聞きたいことを聞き終えるまでは動きは止まらない。ちなみに嘘をついているかは俺と俺の仲間の二人が視ているからすぐにバレる。嘘一回につき、この矢が一本飛んでいくからな」
「そ、そんな―――」
「ちなみに嘘をついてもどうせバレないとか高を括るのはいいけど、俺も仲間も嘘なんてすぐに見破れるからな。覚悟して嘘をつけよ?」
俺は掌握ですぐに分かるし、カリーナさんは裏の仕事をこなしている。ファイズは王族だし、オカマだ。二人ともここまでの人生経験はかなりすごいことになっているだろう。嘘なんてすぐに見破れる。
「それじゃ支部長、どうぞ」
「あ、ああ」
支部長は俺の発言にビビりながらもデリルへ尋問を開始するのだった。
さて、これで問題は解決かな。ようやくのんびり出来る。なんでゆっくりしようとしたら邪魔が入るかな、本当に・・・。
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