第477掌 戻ってきたベルルク その5
ほんっとうに長らく更新できず、申し訳ありません。
詳しくは言えないですけど、ちょっとプライベートで病んでまして・・・ええ。ヤンデレになってました(キモい)。
病んでた理由がなくなったので久しぶりに書きました。ついでに気分転換に別の小説も書いてます。
この小説もまた高頻度で更新開始とまではいかないんですが、気長に書けたらと思います。
ベルルクのスラム街とも言える場所。その中にある一軒のボロ屋。そこで四人の人影があった。二人はシャーリを攫った者達。一人は元々ボロ屋にいた者。最後の一人は二人組に連れて来られたシャーリである。
シャーリは助けを呼ばれないように口を布で塞がれており、手と足は座らされた椅子に縄で縛られている。
「へへっ。ようやくこの時が来た・・・」
そう言って嬉しそうに下品なニヤけ顔を晒すのはシャーリを攫った二人組の中の一人だ。
「いつまで笑っている。まだ終わってはいないのだ。この娘を使って支部長を呼び出して殺す。そうすることで私は華々しく返り咲ける。それが成し遂げられるまでは油断するな」
「すんません」
「おい。デリル様を不快にさせるな。俺達がここにいられるのもデリル様のおかげなんだぞ!」
二人組の中のもう一人が下品な顔をした方を小突く。
「まあいい。こいつを攫った声明はこちらで出しておく。あの忌々しい支部長がここに来るまでは好きにして構わん。何なら酷い姿になっていた方がいいかもしれんな」
デリルはそう言って顔を邪悪に歪めた。
「流石はデリルの旦那!分かってらっしゃる!」
「デリル様がそうおっしゃられるなら有難く」
そう言って二人組はシャーリへと迫る。
「おい」
そこにボロ屋のドアに手を掛けたデリルが再び声を掛ける。
「事が終わったら私も使わせてもらう。壊し過ぎるんじゃないぞ」
「うっす」「承知いたしました」
そんな下種な言葉を二人組に残してデリルは外へと出て行った。
「それじゃ早速楽しませてもらおうか」
「へっへっへ。久しぶりの女だぁっ!」
『んむぅぅぅっっ!!!』
シャーリは体を必死に動かし、暴れようとする。しかし、片方に体を固定されて押さえつけられる。
「安心しな。怖いのは最初だけだ」
「そうそう。俺らと楽しもうぜ!」
シャーリが現実から目を逸らすかのように目を瞑り、二人組の顔がシャーリの体へと触れようとした―――――その瞬間。目の前で光が弾けた。
「「ぎゃあぁぁぁっっ!??!?目がァぁぁああ!!!」」
至近距離で光の炸裂を視てしまい、二人組はその場でゴロゴロと転がり、目の痛みを訴えて叫ぶ。
「おー。我ながらナイスタイミングだ」
「ちょっとタカキさん!発動待機させていた魔法ってこれだったんですか!?ちょっとタイミング間違えちゃったらシャーリも同じようになってたんじゃ!?」
「勿論、そこら辺は考慮しているさ。今回は目を閉じてくれたタイミングがちょうど良かったから発動させたけど、そうじゃなくても目の保護はしてる。目に防護膜張ってるから「ちょっと眩しいかな?」程度まで抑え込ませてる」
「それならいいですけど」
シャーリの耳に聞こえてきた声はそんな懐かしい声だった。
安堵と嬉しさから涙を流すシャーリ。シャーリを助けたのは勿論、タカキとリリアスだった。
・・・
しかし、デリルも懲りないな。こんなことしたら次は確実に死刑なんじゃないか?脱獄してるし、また悪事に手を出してるし。
「だ、誰だ!」
目の痛みを必死に堪えながら見えない目で俺達を睨む実行犯の一人。
「こいつら、どこで見たっけ?デリルしか思い出せないんだけど」
「タカキさん。この二人はデリル捕獲の際に一緒に捕縛した元冒険者の二人ですよ」
「あー。確かいたな」
もうかなり前のことだから忘れちゃったよ。メタ的な意味でも。
「その話の内容・・・。もしかして、俺らを捕まえたタカキか!」
「うん?そうだけど」
「お前のせいで俺達は―――」
「ああ。そういうのはいい。聞く気ないから。黙って転がってろチンピラ。どうせ死刑か、それに準ずる極刑が待ってるんだから」
元冒険者改め、チンピラ。デリルは言わずもがなだが、こいつらも同様の厳しい罰が下されるだろう。別にここで殺してもいいけど、シャーリの前でそれをするのはちょっとやめておいた方がいい。リリアスもそんなことをしたら怒るだろうし。「シャーリの前で殺らないでください!」って。あんまりリリアスを怒らせたくないし、どうせ同じ未来を辿るなら手を下すのは俺じゃなくてもいい。
そんな話をしているうちにリリアスがシャーリの拘束を全て解いた。
「大丈夫だった?シャーリ」
「リ、リリアスぅっ」
シャーリは泣きながらリリアスに抱き着く。
その姿を見て俺はうんうんと穏やかな表情で頷く。
「感動の再会も大いにいいんだが、場所が悪い。ギルドに戻ろう」
俺の言葉にハッとするリリアスとシャーリ。リリアスは俺の言葉を受けてだが、シャーリは別の意味でハッとしたみたいだ。
「そうです!デリルが支部長を陥れようと!」
「ああ。シャーリの居場所を特定した時点で気づいてるよ。すでに支部長には話をしているし、支部長には俺達の仲間が護衛についている。心配は不要だ」
「そ、そうですか」
俺の言葉を聞いてヘナヘナと座り込むシャーリ。
「まあ、デリルは誘拐の声明を出しに行っただけだろ?一応そこを押さえるつもりだけど、ギルドに行かずにここに戻ってくる可能性もある。さっさと戻ろう」
まあ、デリルの場所はすでに把握しているから心配するようなことはないんだけど。ここにのんびりいるのは得策とは言えない。
「そうですね。行こ?シャーリ」
「うん」
そうして俺達はギルドへと戻った。チンピラ犯罪者を魔法で浮かせながら。勿論、町の人達からかなりドン引きな視線を頂きました。
さて。あっちも上手くいけばいいけど。デリル程度なら大丈夫か。
読んでくれて感謝です。
感想・評価・ブックマークをしてくれると嬉しいです。
よろしくお願いします!




