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第469掌 久しぶりのフェルゲン その6



 ギルドから出て、アメリアを迎えに行く。すでに今日の要件は完了と言ってもいい。後は明日になるだけだ。


 パン屋に迎えに行くとすでに話も佳境なのか、盛り上がりも最初と比べておとなしい感じだ。


「アメリア。そろそろ帰ろう」


「え?ああ。分かったわ」


 部屋の扉を開けてアメリアに呼びかける。振り向いたアメリアはどこか恥ずかし気だ。


 顔なんて真っ赤なんだが、ここでそこを突くと藪蛇になりかねない。むしろ、それを狙っている様子すら後ろの二人からは感じ取れる。触らぬ神に祟りなし、だ。


「それじゃあ・・・」


 アメリアはどこか寂し気だ。まあ、後は俺達と一緒に行動するし、今回はもうここには顔を出せないかもしれない。でも。


「アメリア。別に今回が最後ってわけでもないんだ。次、時間が出来た時にまたここに来ればいいさ」


 戦争なんて面倒なことはさっさと終わらせよう。そんな気持ちに俺自身も自然となっていった。ここにいる人達も巻き込まれる可能性があるし、頑張って早期終結を目指さなくちゃな。


「そうね。頑張らないと」


「ああ。それじゃあ、お世話になりました。最後にオススメのパンを教えてもらえますか?皆にお土産で買っていきたいので」


「それってアメリアちゃんの仲間の皆?」


「それもありますけど、多分食べてたらお父様も食べるかも・・・」


 いや、アメリアさんよ。十中八九、俺達が美味しそうにパンを食べていたら羨ましそうな顔をしながらやってくるぞ。


「りょ、領主様の口に入る・・・」


 緊張し出す女性と女の子。後ろで旦那さんも緊張しているのが分かる。


「まあ、大丈夫ですよ。さっき軽食に頂いたものは凄く美味しかったですから。誰に出しても大丈夫です。俺が保証しますよ」


「領主様のお客様がそこまで言うなら」


 そう言いながら色々とオススメを教えてくれる。結局、そこそこの量を買うことに。


「これはこっちにいる知り合いに配るかな」


 買った量を見て俺はそう判断する。


 と言っても精々、ベルモンドさんとフォーマスぐらいだ。後で転移して王都の屋敷で留守をしてもらっている使用人達に渡すかな。


「それじゃあまた!」


 アメリアはそう挨拶をしてその場から離れた。


「でも、おかしいわね」


「ん?何が?」


 帰り道。アメリアはクスリと笑う。


「だって。本当の身分というか、種族だったらあなたが一番上なのに。知り合いなんて貴族、王族ばっかりだし」


「それは成り行きだし。それに目的が目的だから、知り合いが貴族、王族ばかりになるのは仕方ないだろ!それに知り合いなら貴族とか王族以外にもいるし」


「誰がいるの?」


 アメリアは俺をからかうように聞いてくる。


「後で向かう予定のベルルクのギルドの責任者達だろ?王都のギルド長のアネッサさんに防服屋のアシュナ、ギルド受付のハルさん、俺の同郷の奴ら、アリエス教国のミスティさん。どうだ?結構いるだろ?」


「うん。でも、結構な比率で有名どころとか権力持ってる人だよね」


「な、成り行きだよ」


「タカキがそう言うならいいんだけどね」


 そんな他愛のない話をしながらベルモンドさんの屋敷へと帰るのだった。




             ・・・




「さて?覚悟はいいかね?フォーマス君?」


「ゆ、許してください、師匠!サボってたわけじゃないんです!貴族として必要な勉強に比重を置いていただけで!決して怠っていたわけじゃないんです!」


 俺は翌日、フォーマスを捕まえて玄関まで引きずって行きながら言及していた。


「それで?現在のレベルは?」


「・・・48です」


「スキルレベルの方は?」


「・・・平均4です」


「上位スキルは何か覚えた?」


「・・・何も」


「ダメだな。理想は50レベル後半か60は欲しいな。スキルもレベル5以上欲しい。欲を言えば上位スキル魔法を習得していたら言うことなしだった」


「・・・」


「うん。それじゃあ目標はレベル60。スキルは全てレベル5以上。上位スキルを一つ習得。これは今回、俺達はここに滞在している間のノルマにしよう」


「ひぃっ」


「悲鳴を上げてもこれからやることは変わらないぞ」


 ズルズルと引き摺り、ついに外に出てしまう。


「それじゃあ行くか」


「他の皆さんは?」


「皆には先にギルドに行ってもらっている。お前を連れ出すのは俺ってだけだ。他の皆だと情に訴えかけられて逃がしてしまうこともありえるからな」


 まあ、ダンガは普通に逃がしそうにないけど。


「それじゃあ、お楽しみの特訓、始めるか」


「いやぁぁぁっ。誰か助けて~~~っ!!!」


 どうしてそこまで嫌がるかな?


「何不思議そうな顔をしているんですか!あなたがドラゴンのところまで連れて行ったからでしょ!」


「お前の心を叩き折りたくて」


「嫌な告白ですね!」


 お互いに久しぶりだったが、いい感じに硬さが取れているようだ。これならビシバシいっても大丈夫そうだな。


「さあ、今回も良い感じの依頼、もしくはいい感じの危険地帯に行くからな」


 俺の言葉にフォーマスは何かを悟ったように無表情になってしまった。


 そこまで百面相しなくてもいいのに。




読んでくれて感謝です。

感想・評価・ブックマークをしてくれると嬉しいです。

よろしくお願いします!


今回、タカキの挙げた人物は大体が第一部の登場人物紹介の中で紹介しているキャラなので、気になったらそちらを確認してみてください・・・・・・・参考程度で。

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