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第467掌 久しぶりのフェルゲン その4

誤字脱字報告、ありがとうございます!

めちゃくちゃ楽ですね、この機能。




 アメリアの案内でやって来たのはちょっと懐かしい気分になるパン屋だった。


 なんていうか、少し田舎にあるほんわか優しい雰囲気のお店って感じなんだよ。自宅の近所にあったら常連になってしまうだろうなって感じの居心地の良さそうな空間。・・・今度、屋敷の近くに何かいい感じのお店ないか探索してみるか。


「・・・」


 しかし、案内したアメリアが一向に入ろうとしない。


「どうしたんだ?」


「・・・うん。ちょっと緊張しちゃって」


 アメリアはそう言って顔をこわばらせている。


 確かに久しぶりに会う友人とか親しかったけどちょっと疎遠になった親戚に会う時とかってなんか無駄に緊張するよな。気まずい空気になることを想像してしまうんだよなぁ。大体取り越し苦労なんだけど。


 でも、その想像がたまに的中するから怖いんだよな。


「それじゃあ俺が先に入ろうか?」


 仲間の知り合いの店って言っても、俺にとっては普通に思い入れもないから普通に入れるぞ。商品はアメリアがお世話になっていたから結構な量のパンを買うだろうけど。


「い、いえ。私から入るわ」


 なんだか、昔の会ったばかりの頃のアメリアの雰囲気に戻りつつあるな。フェルゲンに帰省した影響かな?


「そうか」


 俺はそう言って一歩後ろに下がる。


 アメリアは深呼吸をして、一拍。


「いくわよ」


 ドアに手を掛けた。


 カランカラン。


 そんな鐘の音が入店の知らせを店内に知らせる。


「いらっしゃいませー!」


 元気よく俺達を出迎えたのは俺より二、三歳ほど下の女の子。


「お客さん、新規の方ですよね?どうぞ。今ちょうど新しくパンが出来たばかりなんです。焼きたてですよ!」


 ニコニコとパンをオススメしてくる。


「ああ。勿論、買うつもりなんだけど」


「?何か他に用なんですか?」


 訝しげに俺を見てくる。


 アメリアは懐かしそうに女の子を見ている。


「他にお店の人はいるかな?昔からこの店で働いている人。ちょっと話があってね」


「う、うちは何も悪いことはしてないですよ?」


 急に怖がり出す店員の女の子。


「タカキ。その言い方が流石に裏を疑うわ」


 アメリアに注意される。


 何を馬鹿な・・・・・・うん。なんか、借金取りとかガラの悪い輩のセリフっぽいな、これ。


「すまん。別にそう言った輩ではないんだ。こっちの昔の知り合いでね。挨拶に来たんだ」


 そう言いながら俺はアメリアの肩に手を乗せる。


「・・・そうなんですか?」


「ああ。だから怖がらないでくれ」


「・・・・・・分かりました。呼んできます」


 出来るだけ笑顔で言ったのに。めちゃくちゃ呼ぶかどうか考えていなかった?


「タカキは笑顔によく分からない圧みたいなものがあるのよ」


「ナニソレ。知らない」


「本人に自覚があったら今頃改善されてるでしょ」


 ごもっともです。


 軽く会話していると店の奥から四十代ぐらいの女性がさっきの女の子と一緒に出てきた。と、同時にアメリアが俺の後ろに隠れた。


 なんで後ろに隠れてんの?・・・何?急に恥ずかしくなった?しょうがない。


「お客様。何か私共に御用でしょうか?」


 心配そうに聞いてくる女性に俺はまずは安心させることにした。


「すみません。別に変ないちゃもんとか馬鹿なことをしに来たわけじゃないんです。この後、パンも買っていくつもりですし」


「それでは一体?」


「それは・・・ほら。前に出なさい」


 なんで親兄妹みたいな言い方になってしまったのかはさておいて。


「あ、あの。お久しぶり、です」


 俯きながら挨拶をするアメリア。


「おばさん、覚えてますか?アメリアです」


「え?」


 少しびっくりした様子の女性。


「ほ、本当にアメリアちゃんなの?」


「は、はい」


 オドオドしている様子は完全に昔のアメリアである。いや、今は感動の再会。変な茶々は入れませんよ。


 固まる女性。その様子にアメリアがどうしようかとソワソワしていると女性がアメリアを抱きしめた。


「え?あの、えっと。その・・・」


「大きくなったわね。今まで大丈夫だったの?大変だったでしょう」


 優しいその声にアメリアは涙ぐんでしまう。


「はい」


 その一言だけアメリアは呟いた。




            ・・・




 と、ひと段落したところで空気になった俺が声を掛ける。


「すみません。そろそろいいですか?」


 女の子も俺によくやったといった表情を向けてくる。まあ、女の子も空気になってましたからね。


「ああ。ごめんなさいね。色々と聞きたいこともあるんだけど、まずあなたは?」


「あっ。紹介しますね。こちらはタカキ。今、一緒にいる人でい、一応婚約者?です」


「ええっ⁉」


 驚くのも無理ないよね。俺の都合で本当に申し訳ないけど。一旦保留という何とも情けない状態だから「?」マークも仕方のないことだ。それを差し引いてもベルモンドさんから婚約者という貴族としての申し付けもあるし。


「どうも。タカキと言います。初めまして」


 簡潔に挨拶する。


「一体何があったの?」


 混乱する女性。アメリアもお年頃ではあるから恋とかそういうのは分かるだろうけど、いきなり婚約者だもんな。驚くのも無理はない。


 そこで俺達の仲間になるまでのことを説明することにしたのだった。




読んでくれて感謝です。

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