第463掌 フェルゲンへ出発
その後、話は着々と進み、次の日。
「え?本当に早過ぎない?なんで皆そんなに乗り気なの?」
動揺しているのはアメリアだ。他の皆はすでに行く気満々である。
「俺達はタカキの旅の始まりを知りたいからな。結構楽しみなんだよ」
ダンガが結構ノリノリにアメリアの問いに答える。
「そうですね。私達なんて加わったのは最近ですし」
「そうそう。いいじゃない。思い出の共有は必要でしょ?」
カリーナさんとファイズが荷物を馬車の中に放り込みながらアメリアに答える。ちなみに俺の身内、屋敷に住んでいる人間は基本的に荷物なんてものがないので、今放り込んでいる荷物はベルモンドさんの分である。ここ王都に来るまでに馬車でもそこそこの時間が掛かるからな。馬車と一緒に転移の予定だ。
「それは楽でいいな。君に頼りっぱなしにならないように気をつけねば」
俺が転移で移動することを伝えた時のベルモンドさんの言葉である。節制の言葉がまず出てくるところからして、信用出来るのがよく分かる。
「で、でも、リリアスは最初からタカキと一緒にいたんでしょ?この旅っていうか、旅行に意味はないんじゃないの?」
アメリアは味方を探すアメリア。今度はリリアスを仲間に取り込もうとしている。
「確かにそういう意味合いではあまり意味はないかもしれないですけど、自分の故郷のことは気になりますし、それに今なら故郷に残してきた本を回収出来るので楽しみなんです!」
目をキラキラさせて返すリリアス。
「あー。まあ、この力をタカキが手に入れたのってこの国に拠点を置いてからだからそういうのって置いていかないといけないもんね。そういうことなら私も持っていきたい荷物があるわ」
リリアスの目的にアメリアの方が心揺らいでしまう。まさにミイラ取りがミイラになっている。
「今回の参加は戦闘出来るメンツ全員か?」
ダンガが俺に確認してくる。
「ああ。危険はほとんどないだろうけど、使用人達を連れて行って不測の事態が起こったら大変だからな。最低限、自分の身は自分で守ってもらわないと。それが出来るメンツで行く」
「だから私もなのね」
「まあ、この中で唯一の王族だからな。そういう観点からも助言とか意見が欲しい」
貴族っていう身分ならアメリアも妾の子ではあるけれど分類される。父親であるベルモンドさんが認めるだろうからな。でも、アメリアはメイドとして今までの人生を過ごしているし、俺達の仲間になってからもやっていることはあまり変わっていない。旅と戦闘が加わったぐらいだ。
王族や国の代表者に知り合いはいるが、対価もなしに助けを求められる相手なんてこの国の王族くらいだ。他の国にはいないも同じ。いや、実際は姉妹の例外はいるけど。あれは気性が権力者ではなく、俺達側い近いからなぁ。
「分かったわ。色々と相談に乗ってあげる」
ドヤ顔で言っているが、お前は俺に世話されている身分だってことを知っておけよ、ファイズ。
「よし。それじゃあ俺がまず、人気のない場所を転移して探してくる。多分、少し離れた郊外になるとは思うけど、いいよな?」
「はい。ここまで隠して来たんです。最後までやり遂げたいですからね」
リリアスが同意する姿を確認して俺は転移した。
視界から見えるのは懐かしいフェルゲンの街並み、その風景だ。
「なんか、故郷でも何でもないのに懐かしいってだけでちょっと気持ちムズムズするな」
自分に透明の効果を闇魔法を使って付与する。
「それじゃ転移候補場所を探しますか。まあ、外の方が安心ではあるからな。結局は外になりそうだけど」
空から探すこと三十分。
「ここがいいかな?」
結局、言った通りになった。
街の外である。
「でも、検問って面倒だな。一度調べてもう一回しまわないといけないんだもんな」
確かに一度出したものをもう一度しまう。これは確かに面倒だ。転移の魔法を使うってことは時空魔法を使うってことだからな。門番の前でそんなマネが出来ようはずがない。
転移先は街のすぐ近くにある林の中に決定した。森も近くにあったが、馬車のスペースがないため断念したのだ。
「皆お待たせ」
自分の屋敷に転移して戻ってくる。
「いい場所は見つかったかな?」
ベルモンドさんが聞いてくる。
「ええ、何とか」
俺はそれに答えながら自分の魔力をその場にいる全員に行き渡らせる。
「準備も俺が探している間に済んでいるっぽいし、もう転移するぞ」
「ねぇ。馬車の人はどうするの?」
ここまで馬の手綱を握っていたベルモンドさんの使用人か・・・。まあ、気でも失っておいてもらおう。
そう判断した俺は話の内容を聞かれないように少し離れた場所にいてもらった使用人さんに闇魔法で睡眠してもらう。
「これでよし。それじゃあ今度こそ行くか」
『『『おー』』』
俺は掛け声と共に時空魔法を発動。その場の全員を伴ってフェルゲンへと出発する。
ここまでに出会った人達にも会いたいし、俺も楽しみだ。
相手をするのが面倒なのもいるけど、その存在には気づいていないフリをする俺だった。
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