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第459掌 オカマの本名

次の話で今回の編は終わりになります。



 帰国の最中も大変だった。


 ファイン(偽)がまた好き勝手にやらかしたのだ。


「何よ。別に可能性のある子を開花させるくらいいいじゃない。あなたには直接的な被害なんてないんだし」


 加害者はこう述べている。


 簡単に言えば、あの馬鹿はオカマを量産したのだ。オークス王国、魔法学園の大切な生徒を。


 確かにこっちには直接的な被害は出ていない。精々、軽く熱のこもった視線が注がれるくらいだ。俺にも多少は来ていたが、ダンガへの視線がすごかった。見た目ムキムキな頼れる兄貴だ。そりゃ覚醒した漢女は獲物を狙うような目にもなるさ。


 どうにかしたかったが、覚醒させてしまってはもうどうにも出来ない。後の祭りである。


 仕方ないので知らない体で貫き通すことにした。別に俺がやったわけでもやれと命令したわけでもない。知らなかったで通せば大丈夫なはず。後はお偉方でどうにかしてください。


 また、ファイン(偽)のやらかしたこと以外にもちょっとしたトラブルは起こった。ギムルがリリアスの自身への評価を改めてもらうためにリリアスに極端に気を使いだしたのだ。過剰な世話をする執事のようになっていた。


 しかし、周辺をウロチョロされても鬱陶しいのでデコピンで吹っ飛ばしておいた。リリアスの近くには俺がいるっていうのにお構いなし。視界にも入っていないときたもんだ。そりゃ吹っ飛ばすでしょ?鬱陶しい上に邪魔だもの。俺のデコピンは手加減した状態でも人間が勢い余って一回転するくらいの威力はあるからな。ちなみに本気でやれば首と胴体がさようならします。


 そんな騒がしい道中だったが、誰も危険に晒されることもなくオークスまで帰ってくることが出来た。


「何だか懐かしい気持ちになるな」


 俺はつい、呟いた。


「今までと違って徒歩での移動でしたからね。でも、転移もいいですけど、自分の力で移動するってことに精神的な成長が出来ますよね」 


 リリアスが嬉しそうにそう呟く。今までもは転移でオークスまで帰っていたからな。帰りにこんなに時間を取るっていうのは全然有である。


 学園まで生徒達を送り届け、俺は自分の屋敷までの帰路についた。


「ここはオークス王国か・・・。思った以上に騒がしいわね」


「お前の国と比べるのは止めてくれよ?お祭りを開催しているわけでもないんだ。今の通常時くらいがいいんだよ」


 俺は勝手に何かをするなと釘を刺す。


「分かっているわ。それより早く家に案内してちょうだい」


「はいはい。分かったよ。それより、分かっているんだろうな?自分の立場ってものを」


「分かっているわ。この国で大人しくしておくわ」


「頼むぞ。問題を起こす毎に帰るまでの時間が増えていくんだからな?」


「ええ。流石に自分の首を絞めるようなことはしないわ」


 いや、すでにオカマとして周囲の生徒を覚醒させてしまっているからな?それは完全にアウトだぞ?自信満々に「分かってんよ」的なドヤ顔するな。


 それはともかく。本来ならばファイン(偽)は王族なのでオークスの城に連れて行って王城で面倒を見てもらうほうがいいだろう。しかし、ここで俺が目を離せばまたオカマを量産しかねない。


 そんな理由や単純な引っ越しの荷物の出し入れにより先に俺の屋敷へと行くことにしたのだ。


 屋敷へと戻った俺は使用人達に帰宅の挨拶をしてファイン(偽)を紹介していった。

 

 と、紹介するまでは良かったのだが・・・。


「お前、いつまで偽名使っている気だ?いい加減本名を教えろよ」


「あ、そう言えば教えていなかったわね」


「そう言えばって、おい」


 こっちは途中からずっと名前の後ろに(偽)って付けていたからな。そろそろ面倒になってきた。(偽)っぽいニュアンスを呼ぶ際に醸し出さなくちゃいけないのは面倒だし。


「ファイズ。それが私の本名よ。私としてはファインの方が可愛いし、そう呼んでくれた方が嬉しいんだけど・・・」


「いや、その名前って確かお前の母親の名前だろ?流石にそれを連呼するのは抵抗があるわ。オカマの母でも王族は王族だからな」


「王族である前にオカマっていう扱いね」


「まあ、王族の扱いはしていないな。その自覚もあるし」


「確信犯⁉質が悪いわよ!」


 そう言って怒るファイン(偽)改めファイズ。


「でも、ファイン(偽)と言っていた時間の方が長いから普通に間違えそうだ。その時は勘弁してくれ」


 そんなわけで滞りなく挨拶も終了した。


「明日にはオークスの王様のところに挨拶に行くから。それまでにある程度の部屋の整理はしておけよ?」


「分かっているわ。任せなさい。あ、ちょっと使用人を借りていい?」


「いいけど、無茶だけはさせるなよ?」


「そんなひどいことは要求しないわよ」


 とりあえず、テンションで合いそうなミールに相手をお願いしておいた。


 使用人達もオカマな王族にどういう対応をしたらいいのか戸惑っていたのでミールにはアドバイスとして俺達に接する時と同じでいいと言っておいた。


 さて。俺達も旅の疲れがあるし、帰宅の挨拶もそこそこに寝るとするか。




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