第454掌 冷静に考えると携帯電話ってすごいよね
客室へと移動した俺はまず、仲間達に確認を取った。
「俺は面識あるから別に問題はないと考えているんだが、皆の意見はどうだ?」
流石に面識のない王族をいきなり預かるなんて面倒事でしかないのは分かっている。預かるつもりだが、旅のメンバーには入れないつもりだ。流石に今から俺達のレベルに追いつくのはキツ過ぎる。
ちなみにファイン(偽)は別の客室へと運ばれている。王様も一緒だ。
「俺は構わないぞ。流石に旅には連れていけないとは思うが」
ダンガはそう言って賛同してくれる。ついでに俺の思ったことも言ってくれた。
「ああ。俺も旅に連れて行こうとは思っていないから安心してくれ」
そう言って俺はダンガの言葉を肯定する。
「まあ、それなら問題ないな。むしろ男が増えるのは男側からしたら良いことだしな。うちは女性陣の勢いが強過ぎる」
途中までの言葉だけだとホモォなことを言っているように聞こえるが、ただ単に女性の仲間が増えている印象が強くて肩身が狭いと感じていたのだろう。俺達って使用人を含めたら6:4くらいだとは思うんだけど。
「私も人間的に信用できるって言うなら別に構わないわ。あ、王族だからって変なプライドとかないでしょうね?」
アメリアがふと思い出したかのように聞いてくる。まあ、エルフの国の王子とかの前例があるからな。警戒するのも当たり前か。
「ああ。俺が見る限りは大丈夫だと思う」
むしろ、肩書が邪魔とさえ思っていそうだ。自分の趣味に打ち込めないって感じで。
「そう。それじゃあ私もいいわ。勿論、直接話はさせてもらおうと思うけど」
「まあ、当然だな。カリーナさんはどう思う?」
「私ですか?」
「ああ。俺は皆に聞いているから」
「私はいいと思います。さっきも悪意みたいなものを感じませんでしたし」
流石は宗教国家でシスターをしていただけはある。何となく悪意とかそういうのに敏感になっているのかもしれない。・・・・・・特殊能力とかじゃないよね?
「いざとなれば私の固有スキルを使えばいいし」
アメリアがそう言って見極めに最適なものを提示してくる。まあ、効果はすごいけど、使い勝手悪いし。使わない方が色々と面倒がなくていいんじゃないかな?下手に使って何が起こるか分からない状態になるなんて怖いし。
『私も構わないわ。でも、私の説明とかどうするの?』
「オルティは俺の契約獣って感じの説明でいいんじゃないか?神獣とか眷属とか使徒とか一から説明するのも面倒だし」
っていうか、同じ内容を各国に行く毎にしているから面倒になってくるんだよな。
『なんかそこらの召喚獣といっしょみたいでちょっと納得いかないけど・・・』
「いいじゃん。別にそれで俺達のオルティに対する態度とか評価は変わらないんだからさ」
『むぐぐぐ。まあ、そうなんだけど・・・・。まあ、いいか』
これでオルティもOKと。あとはリリアスだな。
「最後にちょっとリリアスに聞いてみる」
俺は把握スキルを使ってリリアスの居場所を特定する。どうやらギルドの依頼で街の外へと出ていたみたいだ。そこにピンポイントでテレパシースキルを発動。
『リリアス。聞こえるか?』
『タカキさんですか?』
『ああ』
『どうかしたんですか?』
『ちょっとリリアスの意見も聞きたくてな』
そしてここまでの話を伝える。
『―――ってことなんだ。リリアスはどうだ?預かってもいいと思うか?』
『私は構いませんよ。大会でもその人見ましたけど、とても楽しそうで邪気を感じませんでしたから』
まあ、女装して大きな舞台に立っているんだから嬉しかっただろうさ。それに比例して王様の胃が悲鳴を上げていただろうけど。
『分かった。それじゃあこっちで話を進めておく。最後に全員で話す場を作るからその時にでも改めて人柄とか確認してくれ』
『はい』
俺は「それじゃ」とだけ言ってテレパシースキルを切った。
「相変わらず、何でも出来るな、お前」
ダンガは呆れながらそう言ってくる。
「これくらいは該当スキルがあれば出来る」
っていうか、これって携帯電話のマネみたいなもんだし。むしろ、地球の現代科学の勝利だな。いや、何に対する勝利かは分からないけど。
「それじゃ仲間は全員OKってことで話も纏まったし、次はファイン(偽)だな」
俺達は客室から出て、ファイン(偽)と王様のいる客室へと向かう。
少しだけ歩き、ファイン(偽)のいる部屋をノックする。
『入ってくれ』
少しだけ間があり、入室の許可が出る。
「失礼します」
俺はそう断りを入れてから中へと入った。
そしてそこで俺の目に入ったのは、逆さ吊りになってミノムシのようになって何とか抜け出そうとするファイン(偽)と窓の外を見て黄昏ている王様というカオスな場面だった。
「えぇ~~~?ナニコレ・・・?」
すごい退室したい気持ちに襲われるが、何とか抑え込んで仲間達と一緒に入室する。アメリア達も「うっ」って声を漏らしていた。どうやら俺達の気持ちは一つらしい。
「・・・ああ。そちらの話は纏まったようだな。それじゃあこっちも頼む・・・」
すでに真っ白な王様。よく分からない状況でバトンタッチさせられたようだ。
とにかく、元凶に聞くしかないか。
俺はため息と共にファイン(偽)へと話しかけたのだった。
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