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第446掌 眷属との戦い ガゼル編 その12



 隙を作る。言葉にすれば簡単だが、相手は神の眷属にして『戦装束の具現化』という本気モードに入っている。そんな相手に隙を作るというのは結構ハード過ぎるお題である。


「オラオラオラ!ソラッ!」


 連続で繰り出してくる物理攻撃。その速過ぎる攻撃に数発はギリギリで回避するも、何発かは喰らってしまい、吹っ飛ばされてしまう。


「ぐっ・・・」


 痛む体を何とか奮い立たせ、立ち上がる。


「休み暇は与えん!」


 俺が何とか立ち上がったところにガゼルが再び攻撃を浴びせてくる。防御とギリギリの回避で致命打だけは避けるが、それでもかなりのダメージが俺を襲う。


「がァッ?!!!??」


 再び吹っ飛ばされる。


 まさか、これの連続?ちょっとこのループから抜け出さないとこのままやられちゃうんじゃないか?


「ぐっ。どうする・・・?」


 魔法を放つことでガゼルを足止めしながら考える。


『私を喚びなさい!』


 これは・・・。


「オルティっ⁉」


『いいから喚びなさいって!』


「けど、喚ぶってどういうことだ?俺は別に契約をしているわけじゃ」


『私に名前を付けたでしょ!その時点であんたに従属してんの!召喚魔法でいうところの契約召喚獣と同じってことなの!』


「そ、そうなのか?でも、結界を守ってもらっているから。何かあったら」


『結界の破壊をしに来た連中ならさっき倒しておいたわよ。それにあんたが負けたら結界の意味なんてないでしょ!早くしなさい!』


「わ、分かった」


 っていうか、襲撃者本当に来てたんかい。テラコスの時のことがあるから外部からの介入があるかもって念のために考えていたんだが。


「来い!オルティ!」


 俺は魔力を込めながら言葉を紡ぐ。イメージはリリアスの召喚魔法陣。俺は召喚魔法を使わないから魔法陣もイメージだけしか出来ない。召喚魔法の掌握はどうせ使わないからいいかと思ってしなかったからな。


『全く。こっちから言うまで助けを求めないなんて。あんた、ちょっとは周りを頼った方がいいわよ?余裕がある時に頼られるより余裕がない時に頼られる方が仲間的にも嬉しいものだもの』


「そうか」


『それで?私は何をすればいいの?』


「時間を稼いでくれ。テラコスの時と同じ『使徒化』をやる」


『大丈夫なの?練習してもあまりいい感じで発動しなかったじゃない』


「それでも通常状態で戦うより断然いい」


 完全にあの状態になるだけでも体感で1.5倍に能力が向上したように感じた。俺のスキルや魔法の威力やコストは半分に削減されていたし。


 修行中に不完全にでも発動した時にもステータスの上昇を確認できた。1.2倍くらいにはなってた。スキルや魔法の威力も1.5倍になっていたしな。


『そう。それならいいわ。任せなさい』


 オルティは分身を作り出し、ガゼルに向かっていった。


「召喚獣か」


 ガゼルの反応でオルティは少しおや?と思ったようだ。


『あなた、私のこと忘れたの?』


「しゃべれる召喚獣か。お前のことは知らないが」


『そう言えばあんたの前じゃ人型だけだったわね』


「人型?お前、珍しく寝返ってこちら側に来た主の神獣の一匹か。人型になる珍しい神獣だと記憶している。今は人型にはならないのか?」


『人化は今度私の主を驚かすために使うの。別に戦闘能力は人型より弱いわけじゃないし。むしろ、こっちの姿の方が強いし』


 そうなのか?まあ、それは楽しみにとっておこう。


「主?それはもしかしなくても後ろの男のことか?」


『ええ。名前も貰ったし』


「ああ。そういえば、こちら側に来た理由がそれだったな」


『ふん。それよりいいの?こっちはこの話だけで時間稼ぎがほとんど完遂出来たんだけど』


「そうだった。だが、こちらはすでに『戦装束の具現化』までしているし、すでに圧倒している状態だ。そんな現状からどうするっていうんだ?」


『使徒化を甘く見ているんじゃない?』


「まあ、勿論何かをやらかすと思って警戒していたが。それでも何か大きく変わるとは思えない。我々神の使いの『使徒化』というのは自身の能力を上げるものだったり、本来の能力を反動なく発動させるものだ。あいつの力ってのはよく分からないが、魔法やスキルを多く所持しているだけだろ?それならここで例え『使徒化』を成功させたとしても変わらないだろ」


『うん?』


 うん?これはもしかすると・・・。


 『使徒化』に集中している俺と話しているオルティはそこで気が付く。


((これは、タカキの根幹になっている固有スキルのことを知らない?))


 しかし、それもそうだ。なぜなら俺は掌握スキルを全面にして使ってはいない。そもそも通常のスキルや魔法が便利になり過ぎてスキルや魔法の習得以外では使わなくなったからな。


「これはチャンスだな」


 俺はそう呟く。


 俺はオルティに任せてより掌握スキルに意識を集中していく。修行中にしていた以上に集中していく。より自分のスキルに潜る。状態は完全に無防備になってしまっているが、オルティに全て任せる。


 そしてオルティは能力では負けるが分身による数で対抗して時間を稼ぐのだった。




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