第440掌 眷属との戦い ガゼル編 その6
時間に間に合わずで急いで投稿!
毎度毎度すみません!
リリアスはその場を離れ、タカキへの戦いに意識を向けている隙を突いて作戦は決行された。
「投影開始」
阿多頼の固有スキルによってその映像がリリアスの前に静かに映し出される。と言ってもリリアスからクラスメイト達の方向だけに映し出しているものなので他に何ら変化はない。
映し出されるのはリリアスとリアの魔法に捕まってすっかり動けなくなっている姿だ。
「そんでもってこっちからも映像を投影しないと」
そうして阿多頼は反対側からはリリアスの姿が見えなくする。こうしないと少女一人を多数で戦ったとしてこちらが敵として認定されかねないからだ。勿論、これから来る人が悪者でなければという前提だが。
「声もどうにか出来ない?」
近衛静香は他のクラスメイトに確認を取る。
「俺、索敵と一緒に覚えたぞ」
吉田がそう言って挙手する。
「冴えてるねぇ」
「へへっ」
またも照れる吉田。
「それじゃ防音魔法発動」
そうして風魔法で防音を施す吉田。
「これでもう普通に話してもOK!」
そう言いながらサムズアップする吉田。中々の声量にリリアスにバレていないか心配になる他のクラスメイト達だが、リリアスがこちらに来る気配を感じず、ホッとする。
「後は動けない俺達の下に来てくれるのを待つしかないな」
そして待つこと数分。
「どこだー!リリアスーっ!!!」
そんな大きな声が聞こえてきた。
「おいおい。あんな馬鹿に助けを求めても大丈夫か?」
「・・・確かに怖くなってきたな」
「皆、不安になる気持ちも分からないではないけど、ここは他にどうすることも出来ないんだから我慢しましょう。一人でも抜け出せれば後は誰かが解除してくれるでしょ?」
「・・・少し時間をもらえば」
近衛静香のサポートに回った二人が不安そうにする。近衛静香はそれを何とか宥める。
しかし、近衛静香の最後の言葉に全員が視線を下に背ける。全員同じ意見というわけだ。
「そんな不安なこと、それこそ言わないでよ」
本当に大丈夫か心配になってきた近衛静香だが、すでに作戦は決行されていると言っても過言ではない。もう後戻りは出来ない。
「・・・ともかく。他の案を考える時間はないわ。こうしている間にもガゼルさんが危険に晒されているかもしれないもの。確かにあの人って強いけど、こんな大掛かりな仕掛けを用意する相手だと分が悪いと思うし」
「確かにそうね」
そんな感じで阿多頼と頷き合う近衛静香。
しかし、実際にはタカキ側の方が余裕はなく、ガゼル側の方が優勢なのが現状だった。まあ、こちらに来たもの全て撃ち落とす方が放った側よりも楽ではある。放っている側は自分の攻撃を打ち消されているのだからメンタル的にキツいだろう。
「大丈夫そうなの?」
「まあ。それは仕掛けによるだろうね。多分、あれって魔法の結界でしょ?私じゃあそれくらいしか分からないからどうしようもないのだけれど」
阿多頼は自分の手に負えるレベルを遥かに超えていることを伝えた。
「とにかく、急ぎましょう」
そうしてやって来たのはやはりではあるが、ギムル達一行だった。
「な、なんだ?これはどうしたんってんだ?」
ギムルは困惑の声を上げる。
「あ、あなた・・・。ちょうどよかったわ。私達、助けたい人がいるんだけど、この先で悪い奴の結界の中に捕まってしまって助けに行きたいの。この拘束を解いてはもらえないかしら?」
代表して近衛静香がギムルに頼む。
「そうなのか。分かった。待っていてくれ。すぐにどうにかするから」
そう言って腰に掛けていた剣を使ってリリアスの魔法を切り取りにかかる。しかし、魔法で出来ているために全然切れる気がしない。
「おかしいな?」
「これ、どうやら魔法の縄みたいなの。魔力を剣に込めてから切ってみたらどうかしら?」
「そうだな。そうしてみよう」
近衛静香のアドバイスに従いながら剣に魔力を纏わせてから切ってみる。すると、わずかではあったが切込みが入った。
「この調子でいけば切れそうだ」
「ごめんなさい。お願いするわ。助けてもらっている側としては言いづらいのだけど、急いでちょうだい。一刻を争うの。間に合ったら今度、助けてもらったお礼に何かお金か冒険者に必要な物でもプレゼントするわ」
「それはありがたい。頑張る」
ギムルは一心不乱に切っていった。しかし、後方でその様子を見ていた残りのキャシー達はなにか言い知れぬ不安を感じていた。それは彼女の言っていることは本当なのだろうかということ。そしてこの魔法の拘束をした相手のことだ。
自分達はリリアスを追ってここまできたのだ。その先にこの拘束された集団。どう考えてもリリアスに関係していそうだ。そして拘束されている時点でどう考えても何かをやらかそうとした連中であることも分かる。
そもそも普通ならこんなところで拘束なんてわざわざしない。今後の憂いを断つためにも殺しておくべきだ。それをしないということにも理由を感じる。
そんな思考をしたキャシーは嫌な予感が止まらなかった。
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