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第433掌 眷属との戦い ガゼル編 序 その3

すみません。

予約した気になって寝落ちしてました・・・。

仕事明けって怖いですね。



 俺の周囲を魔法陣がクルクルと回っている。


「――――発動。―――展開。―――開放」


 魔法を自分の体に付与していく。普通の付与魔法ではなく、特殊な掛け方をする。通常の付与魔法は発動、展開するだけだ。そこに開放という工程を付け加える。


 開放。それは付与してある魔法の効力を一瞬だけ爆発的に上げるものだ。しかし、これには欠点がある。それは一瞬だけで付与していた魔法の効力が切れてしまうというものだ。しかし、そこはすでに対処済み。その答えが。


「―――維持」


 時空魔法による効力の維持だ。最も効力の強い時間で停止させ、永続的にその効力の恩恵を自分自身に与える。それは俺のMPが尽きるまで続く。しかし、この維持っていうのがすこぶる燃費がいいのだ。俺のMPの自然回復力の方が勝ってしまうくらいには。(勿論、回復力自体もレベルアップしている。)


「む?体を包んでいる気配が変わった?普通の付与魔法にはこんな劇的な変化はないはずだが・・・」


 なんかガゼルも気が付いているようだな。まあこれ、通常の付与魔法の二、三十倍は効力があるからな。そりゃ気配ぐらい変わるだろ。気分は野菜な名前の戦闘民族だ。


「それじゃもう一回いくぞ!」


 俺はさっきと全く同じ魔法(・・・・・・・・・・)を展開する。


「何度やっても無駄だ!多少力を底上げしたぐらいでは――――――っ!?!??!」


 ガゼルは俺の魔法を先程と同じように、そして同じ力で物理的に迎撃しようとした。しかし、俺の魔法に押し負けて俺の魔法がガゼルに当たった。そしてその瞬間に魔法による爆発が周囲を襲う。


『な、なんだぁ⁉一体何が起こっているんだ⁉』


 あれ?司会の人は無事なんだ。多少は被害を受けないようにコントロールしたけど、軽傷くらいは負うと思ったのに。


『すごい爆発でしたが、観客の皆様はご安心を!この舞台は特殊な防護壁で覆われております。何があっても皆様に危険が及ぶようなことはありません!』


 なるほど。そんなものがあったのね。まあ、対決のルールが「戦闘」だからな。何が起こってもいいように対処するのは当たり前か。


 でも、多分この結界。俺やガゼルなら簡単に壊せる。っていうか、俺の仲間も壊せる。


「やれやれ・・・。まさかこんな方法で驚かされるとはな」


 煙の中からそんな声が聞こえてきた。


「どうだ?流石に効いただろ?」


「ああ。咄嗟に籠める力を上げていなかったらダメージを受けていただろうな」


 その言葉の意味からして、結局無傷なのね。どんだけ頑丈なんだよ。


「しかし、さっきのは付与の開放だろう?一瞬だけ爆発的に付与の能力を向上させる」


「ああ。ご明察」


「だが、それなら魔法を使った後である今も継続されているのはおかしい。どういうことだ?」


「それを敵であるお前に俺が教えると思うのか?」


「・・・ああ、すまん。自分の理解の外にあるものに触れるとつい外聞も何も気にしなくなる質でな。アリトスにも散々注意されたものだ」


 さっきからアリトスって名前出てきているけど、俺は面識ほぼほぼ無いに等しいからね?そんな中で名前だけ出されても「あ、そうなんですか・・・」としか言えないわ。


「しかし、これなら俺も少しは楽しめそうだ」


「それはよーござんした」


 現在、俺が付与しているのは各属性魔法の強化、身体強化の二つだ。しかし、この中の各属性魔法の強化というのが曲者なのだ。各属性と言っても俺が持っている魔法全てを適応させているのだ。強化は一つに一個。つまり、属性一つ一つで付与魔法を使っているというわけだ。


 具体的に言えば、火・水・風・土・闇・植物・回復・時空。これだけの魔法を付与している。ね?キツいでしょ?使わない付与魔法は解除すればいいんだけど。


「それじゃ再開するか」


 俺はそれだけ言うとガゼルの返事を待たずに魔法を再び発動。掃射していく。今度はアロー系統の魔法ではなく、放出系の魔法だ。簡単に言うと、それぞれの属性効果が入ったビームである。異世界の情緒もへったくれもないけど。


「容赦ないな」


 それを今まで以上の力で迎撃するガゼル。


「見ているのに目の前の光景が信じられないな。まあ、実際にやっているから信じるしかないんだけど」


 っていうか、ビームを物理だけで迎撃するっていったいどうやってんだよ。その謎を先に知りたい。


「今度はこちらから行くぞ」


 そう言いながら飛び込んで切るガゼルにちょっとびっくりしながら俺はその場を離れ、ガゼルから距離を取った。そして一瞬にして俺がさっきまでいた場所に移動している。その足元にはいつの間にかクレーターが出来ていた。


『あ、あれ?本当に大丈夫・・・だよね?』


 疑いの目線を結界に向ける司会者。


 まあ、あのクレーターを見たら誰だって心配になるわな。俺だってちょっと心配だもの。自分の実力がどこまで上がっているか、明確な物差しがないんだからな。クロノに聞くぐらいしか、分からないのだ。そのクロノにしたって今の眷属共の力量を知っているわけじゃないしな。


「でも、このままじゃマズいっちゃあマズいか」


 これ以上戦闘の質を上げると被害が出かねない。仕方ないか。そろそろ仕掛けよう。


 俺は事前に用意していた策を始めることにした。




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