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第428掌 最初から出し惜しみナシは後が苦しくなる



 魔法美対決。


 言葉の意味から魔法の美しさを競うものだということまでは分かる。しかし、それ以外が見えてこない。どうやって魔法の美しさを魅せるって言うんだ?


「よく分からない方もいらっしゃいますので説明させていただきます。魔法美対決。その内容は最も観客の皆様の心を動かした方の勝ちとなる勝負です。選手のお二方にはこの後、十分のみ時間を差し上げます。その間に自分に作れる最も美しい魔法を順番に放っていただきます」


 なるほど。となると、俺がここまでで使ってきた魔法の表現ではインパクトが弱いな。花火とか結構乱発した気がするし。


「より票の多かった方の勝利とさせていただきます。票の方は本選でも第四グループでも使った方法で行います。知らない皆様のために改めて説明しますが、席の横に穴があると思います。席の肘掛けに一番と書かれた玉と二番と書かれた玉を収納させていますのでどちらかを穴の中に入れてください。一番がエルドラージ選手で二番がノーマ選手です」


 これは結構厳しいかも。十分で何かいい案を出さないといけない。


「それでは準備を始めてください!」


 司会の声と共に十分というカウントダウンが始まる。


「さて・・・」


 まずは除外していくか。花火は予選で使ったからダメ。ダンスも使ったし、そもそも魔法じゃないからダメ。ライブも同じく魔法じゃないからダメ。


 思い出せ、高校二年生!科学反応、化学現象、自然現象何でもいい!最も俺が見聞きして感動したものはなんだ!


 今、俺が使える魔法は風雷魔法、火炎魔法、水氷魔法、自然魔法、磁土魔法、暗黒魔法、光魔法、回復魔法、時空魔法。


 以前よりもパワーアップして、しかも増えているものまであるが、それは修行の成果というか、見境なく掌握したからなので割愛します。ちなみに回復魔法がレベルアップしていないのはあんまり怪我をしなかったから。勿論、きつかったけどね。


 この中で今のパフォーマンスに合うのは何だ?


 回復魔法は用途からして使うことはない。磁土魔法も大本は土魔法。観客に魅せるとなると弱い。自然魔法?それもダメだ。植物魔法の上位互換たる自然魔法は確かに超協力になっている。しかし、パフォーマンスには向かない。


 残ったのは風雷魔法、火炎魔法、水氷魔法、暗黒魔法、光魔法の五つだ。


「このラインナップ・・・あれがいいかも」


 俺は自分の中である結論を導き出した。


「十分です!そこまで!」


 ちょうど司会がシンキングタイムにストップを掛ける。


「それでは一番でもあるエルドラージ選手が先の発表になります!張り切ってどうぞ!」


 俺の発表は後か。


「フン。見て驚け」


 おおっ。雰囲気が不遜系の男だ。オラオラしてんのかな?


「火の精霊よ。我に大いなる火の加護を。『フレイム・レイン』」


 火魔法のレベル7だっけ?で使えるようになる魔法だ。精霊の加護があるのか、威力も増している。


「続けてこれだ!風の精霊よ。我に大いなる風の加護を。『ウインド・レイン』」


 落ちてくる自分で上空に放った火魔法に風魔法をぶつける。すると風魔法で急速に酸素を与えたせいか、火の色が変わってくる。


「おおっと!エルドラージ選手が早速魅せてくれたぁっ!!!これは何とも幻想的だ!青白い火、それが複数も!これは中々見てるものではないです!観客の皆様、この機会にしっかりと目に焼き付けておきましょう!」


 おおっ。考えたな。これなら花火とは違う利益がいくらでも生まれてくる。例えば、この世界では赤以外火の起こし方を知らない。偶然かもしれないが、これは結構デカいぞ。


「これは流石は予選突破二位の実力者!綺麗な光景が会場を包んでいます!」


 司会も絶賛である。


「以上だ。勝てるものなら勝ってみろ」


 エルドラージ選手はそう俺にボソッと言ってから舞台から降りる。


「続きまして、二番のノーマ選手!」


「はい!」


 さあ。ここから俺の出番だ。


「行きます!」


 まずは暗黒魔法で周囲を完全に夜に変える。そして真っ暗になったところで水氷魔法を使ってあちこちに氷の小さな粒を降らせる。そしてそこに光魔法と火炎魔法の二つを使って疑似太陽を演出する。そこに爽やかな冬の風を観客に感じさせるために風雷魔法で会場を丸々包む。


「人工スターダスト現象の完成だ」


 俺は寒い地域のごく一部でしか見ることが出来ないとテレビで言われていたスターダスト現象を人工で作ってみた。これ以上に幻想的なものは中々ないからな。


「おおっと!ノーマ選手も凄いぞ!見たこともない現象を我々に魅せてくれる!規模もとんでもないぞ!」


 ふふんっ。結構自信ありだ。自分が使える魔法をふんだんに使ったからな。出し惜しみもあまりしていない。出し惜しみしているのはせいぜい魔法の威力程度だ。


「これで二回戦第二試合を終了します。続きまして、すぐさま票の集計の移ります」


 結構早いんだな。もう、集計か。


「結果は流石に数は数え切れませんが、割合8:2でノーマ選手の勝利です!」


「やったね」


 俺は小さくガッツポーズを取る。


「くそっ」


 そして俺の近くでは小さく悪態をついてその場から離れていくエルドラージ選手。何故、俺の近くにいたのか。多分、不遜キャラらしく、「俺には遠く及ばない」的なアピールをしたくてスタンバってたのかな?まあ、無駄に終わったみたいだけど。


 さて。次の俺の相手はついに神の眷属たるアイツか。気を引き締めていかないとな。




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