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第402掌 まともな門番



 ファイン(偽)とは話もそこそこに帰ることにした。


「ただいま」


「あ、おかえりなさい」


 部屋に戻るとカリーナさんが出迎えてくれた。


「他の皆は?」


「まだ帰ってないです。多分、依頼内容が長引いているんじゃないかと」


「ダンガが物作りでアメリアが女性関係だったっけ?」


「はい。一度戻ってきて長引きそうだと報告されました」


 なんでもダンガは素材を届ける依頼を出した冒険者が手を抜いたらしく、揉めていると困った顔で伝えてきたそうだ。


 アメリアは男女関係のもつれで帰ってこれなくなりそうだって。どうやら貴族が絡んだものらしい。しつこく言い寄ってくる貴族に困っている女性を助けている最中だそうだ。大事にはならないというか、大事にはさせないって豪語していたらしいので大丈夫だろう。ダメなら最終的に強引に力で終わらせることも出来るだろうからな。


「それじゃあ俺は寝るわ。明日はちょっと用事があるから」


「私も何か手伝えることはありますか?」


「えっ?いや、だ、大丈夫!俺だけで何とかなるから!」


 っていうか、ついて来ないでください、お願いします。ついて来られたらカリーナさんにどんな顔で見られてしまうか、想像したくもない。


 アメリアとかダンガ辺りは引いたり、呆れたりしただけで済むかもしれない。だが、リリアスやカリーナさんに引かれたら俺の心は致命傷を受けかねない。


「そ、そうですか?何か私に出来ることがあったら何でも言ってくださいね?」


「うっ。あ、ありがとう」


 その優しさが今は心に突き刺さる。罪悪感で今にも崩れ落ちそうになる。


 会話もそこそこに俺は次の日に備えてダンガ達を待たずに寝た。


 そして次の日。


 夜遅くに帰ってきたダンガとアメリアに途中叩き起こされて説教されたなんてハプニングがあったにはあったが、疲れていた二人の説教は長く続かず、すぐに寝落ちした。申し訳ない気持ちになったので回復魔法を掛けてベッドに運んでおいた。


 なんてことはあったが俺は現在、ある場所に向かっていた。


 大会に参加することになってしまったが、ある人に情報を伝えてあげようと思ったのだ。


「あ、すみません。王子のことで話があってきたって王様に伝えてくれませんか?」


 城門にいた門番の人に取り次ぎを頼む。


「はい。少々お待ちください」


「え?」


「ん?どうかしましたか?」


「いや、やけにアッサリと話を通してくれるなって思って」


 今までの門番は取り次ぐどころか、門前払いがデフォルトだったからな。ここまでアッサリと話を通してくれる門番がいたなんて・・・。俺は感激している!まあ、顔には出さないけどな。


「王よりあなたが来たら報告するようにと通達されているので」


 なるほど。


「流石に何もアポイントを取っていないどこの誰ともしれない相手には身分を証明するものを提示されない限りはお帰り願いますが」


「あはは・・・」


 よくよく考えたらそうだよな。今までの俺も常識を考えずに強行突破していた感は否めない。まあ、俺のことを伝えてさえくれれば分かるのに伝えすらしない門番は門番も悪いと思うけどな。


「それでは伝えてきますので少しここでお待ちください」


「はい」


 そして待つこと十数分。門番が帰ってきた。


「お待たせしました。王が通すようにとのことです。どうぞ城の中にお入りください」


「ありがとうございます」


 前回は騎士に連れられてきたのだが、今回は一人で同じ道を通る。


「ここだな」


 謁見の間で何やら騒いできたが気にせずに事も無げに中に入る。


「ちーっす」


 今回は信用されているのか、それとも見た目何も持っていないためか、武器を預けるなんてことは何もなかった。


「おおっ!来たか。助かった」


 謁見の間では王に向かって俺よりは少し年上の女性が王を相手に突っかかっていた。


 しかし、なんだなんだ?なんで俺が来たことになんでそんなにホッとしているんだ?


「誰よ!この人!」


「わ、私の相談相手だ。その者と大切な話があるから今日はここまでだ。話はまた今度にしてくれ」


「私は何度でも来ますからね!」


 そう言って女性は帰っていった。


「すまないな。変な場面に鉢合わせさせてしまって」


「いえ。それにしても、さっきの人って誰です?」


「ああ。公爵の娘だ。私にとっては親戚になるな」


 話を詳しく聞くと前にあのアホのファイン(偽)が巻き込んだ公爵とは別の公爵家の娘になるらしい。近くも遠くもない血縁者らしい。しかし、なんでそんな娘が王になにやら直談判しているんだ?そのことを聞くと。


「実はあの娘、うちの馬鹿息子の婚約者でな。最近、全く会ってくれなくて私に直接文句を言ってきたのだ」


「それ、ファイン(偽)本人には言わないんですか?」


「あの状態の馬鹿息子をあの直情タイプに会わせるわけにもいかないだろう?」


 確かに。


「それで?どうしたのだ?」


「ああ。もうすぐ開催されるこの国で一番大きい大会のことで話をしに来ました」


「大体予想は出来るが、教えてくれるか?」


「はい。ファイン(偽)が参加するそうです。俺もトバッチリで女装して参加する羽目になりました」


「何だかすまん」


「もう過ぎたことですから」


 自傷気味に笑う俺と王。共通の相手に振り回されているからか、変な連帯感が生まれていた。




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