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第386掌 暴走、ギムル君 その7



 リリアス達と別れて俺は早速移動する。ちなみに監視役兼証人の村長の子供は俺が魔法で浮かせている。魔物に襲われたら大変だからな。


「まずは数を稼ぐか」


 今回、村のために全てのヘドロ系の魔物を討伐しなくてはならないんだが、あそこまで上から目線をしておいて負けたら目も当てられない。なのでまずは勝ちに行く。


「大半を討伐したら元凶っぽいのを仕留めにいくか」


「あの~。怖いんですけど・・・」


 村長の子供、息子さんが困り顔で訴えてくる。


「そこにいたら安全ですから。何かあったら守りますし、守り切れなくなったら村にまで危険なしで送り届けますよ」


 今の俺が戦闘で危ない場面なんてそれこそ神の眷属相手ぐらいじゃないかと自負しているから大丈夫だけど。


「それじゃあ駆除を開始します」


「え?どこにもいませんよ?」


 息子さんは周囲をキョロキョロして確認するが、確かに普通の視力では確認出来ないだろう。だが、俺には把握スキルがあるからな。それにステータスの力で視力も化け物になっている俺には意識すれば楽々見ることが出来る。


「まあ、これで倒しても証人になれないだろうからな」


「え?え?」


 俺は息子さんと一緒に上空へ。


「な、何をするつもりなんですか?」


「まずは移動」


 息子さんでも見える場所にまで移動する。


「見えますね?」


「え、ええ。確かにあなたの言う通りでしたね。数はざっと数百体近くってところですか・・・。こんなにいるなんて・・・」


「よし。それじゃあ、いきますよ」


 悲嘆に暮れている息子さんをスルーして俺は魔法の準備に入る。


「あ、あの~。その足元に展開している巨大な魔方陣はなんですか?」


「ん?これですか?これは複合魔方陣です」


「複合魔方陣?」


「一つ一つの既存の魔方陣を組み合わせることで様々な効果を生み出す魔方陣です。今展開している魔方陣は超広範囲効果とターゲットロック効果を追加してあるから強力な個体以外はこれで全部倒せるはずです」


 そして俺は複合魔方陣を発動。水氷魔法と風雷魔法と時空魔法が発動される。


 そして周囲は一掃されていく。ヘドロ系の魔物は俺の魔力の玉に当たった瞬間に瞬間冷凍される。そして風の刃で細切れにされた後に一瞬でその細切れになった物体がどこかに消えてしまう。


「こ、これは・・・っ」


「ま、こんなところかな?」


 俺達の下にいたはずのヘドロ系の魔物は一瞬で消え去ってしまった。


 こういう半固形物みたいな手合いには凍らせてガチガチにさせてから倒すに限る。


 そして時空魔法で時空の狭間に捨てる。時空の狭間ならどこにも迷惑はかけないし、容量もないから何にも気にしないでいいゴミ箱みたいなものだ。


「それじゃあもうほとんど倒したし、行きましょうか」


「え?ど、どこにですか?」


「そりゃ元凶のところにですよ」


 把握スキルで場所の特定は済んでいる。っていうか、村長の家にいた時点で分かっていた。だってあっさり俺の把握スキルの範囲に入ってたんだもの。


 把握スキルで確認したら確かに村長の話していた黒い何かだった。


 あの感じ、確か樹里とかミッキー先生の話に出てきた魔物にも似ていたような気がする。実物を見たわけじゃないからハッキリとしたことは言えないんだけど。


「ま、それも行ってみれば分かることだ」


「ちょっと待ってください!俺は置いて行ってください~!!!!!」


「証人なのにそんなこと言ったらダメですよ」


 笑顔で息子さんの意見を却下して村長の家からさらに奥に行った場所に林に向かう。そこに元凶の反応が確認出来た。


 そこに一直線に俺と息子さんは向かうのだった。




            ・・・




「何だか急に寒くなったような?」


 キャシーが自分を抱きしめてブルブルと震える。


「多分、タカキさんの魔法だ」


 私はすぐにそうだと確信した。タカキさんの複合魔法だ。向こうの空で何かが光って見えたから。


「ここまで温度の変化が起こるような魔法を使ったってことか⁉」


 えーっと。誰だっけ?ギムル君の友達。


「うん。魔物の周辺以外に影響が出ていないし、ここまでのことが出来る人を私はタカキさん以外に知らない」


 そもそもどうやったらここまで精密なコントロールが出来るのか不思議で仕方ない。タカキさんが言うには把握スキルを使ってそこら辺の細かな作業を行っているらしい。便利なスキルだ。私も欲しいと思うけど、タカキさんの把握スキルは固有スキルの掌握から来るスキルだ。


 しかもその固有スキルは神様からもらったという特別製。ここまで何でも出来る、使い勝手のいいスキル私は知らないし。


「とにかく負けてらんねぇ!皆行くぞ!」


 ギムル君が先頭に立って歩き出す。


「行くぞってあなた、どこに行くのよ?目当てはあるの?」


 キャシーの厳しい指摘が入る。


「うっ」


 ギムル君も図星だったらしい。何も言えずに止まる。


「それに仕切っているけど、リーダーはリリアスだからね」


 キャシーはギムル君に厳しいなぁ。でも、このチームの雰囲気、どう転んでもタカキさんに勝てないなと私は依頼を始める前から確信してしまうのだった。まあ、勝てるなんて思っていないんだけどね・・・。




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