第37掌 出会い
ようやくここで登場です!
どうぞ、読んでください!
俺はブレードの刃を支部長に当てたまま言う。
「おいおい。先に手を出してきたのはあんたらだろ?俺はここを殲滅してもいいんだぜ?」
「ぐっ」
「あんたにそれが出来るとでも?ここにはA級冒険者が何人もいるんだよ?」
「ベルルクの支部長に聞いているなら分かってるんだろ?俺は五百近くいたAランクモンスター達を一人で殲滅したことを」
「ああ」
「なっ」
支部長は肯定し、その肯定に受付嬢は驚いている。
「何か種があるんじゃないかと思ったのさ」
「それを暴こうとしたと?」
「ああ」
「それはやり方を間違ったな」
「なぜそう言える?」
「俺のステータスを鑑定持ちに見てもらえばそれで分かったことだ」
まあ、そんなことされたら一発で明らかに普通の人間じゃないことがバレてたけど。だって、スキルとかそういうことの前に種族のヒューマンに?がついているし。
「・・・・」
どうやらそこまで頭が回らなかったらしい。
この支部長、天然か?
「まあ、俺への信用を今後回復できるように頑張ってくれ」
ブレードを支部長から離して鞘に納める。そしてそのままドアまで歩いて行って部屋の外に出た。後ろからは少し遅れて受付嬢が部屋から出てきた。
「待ってください!」
受付嬢が俺に声をかける。
「何か?」
「これを」
そう言って渡してきたのは何かのカード。これは?
「ギルドカードです」
「A級冒険者になっているんだが?」
「登録の時に聞きましたよね、昇級の方法」
ああ。倒したモンスターのランクの高さでの昇級のことか。
「緊急依頼のモンスターがAランクだったことはベルルク支部長から聞いていたのでランクがAになっています」
「っていうかそもそもよく俺って断定出来たよな。最初のときに」
「あのスライムの核を持っているのはあなたぐらいですからね」
「そんなに珍しいのか?」
「真シリーズのモンスターアイテムは滅多なことでは手に入りませんから」
なるほど。そんな真シリーズを大量に持っている俺をすぐに分かったというわけか。
「それで?依頼は達成にしてくれるのか?」
「はい。スライムの核の上位アイテムですから。勿論達成です」
それは良かった。
「それじゃ、俺は帰るわ」
「はい」
俺は宿屋への帰路についた。
しかし、またギルドで色々あったな。いい加減、仲の良い人をギルドで作っておきたいんだがな。
この世界のギルドは俺との相性が悪いのか?それとも今のギルド自体の質が落ちているのか。
「ふぅ」
ついついため息をついてしまう。
「ん?」
トボトボと街を歩いていると目の前でヨロヨロのメイドさんが目についた。重たそうな荷物も一緒だ。っていうか、どうやって持っているんだ、あれ?どういう構造なんだ。人体の神秘を感じるぜ・・・。
「うぅ」
どこか痛めているのだろうか?
「大丈夫か?」
ついつい気になって声をかけてしまった。ナンパと思われないことを祈る。
「・・・」
え?無視なの?
「あ、あのー」
「・・・」
え?聞こえてるよね?
「あのー!そこのメイドさん!」
「えっ?」
ようやく気づいて貰えた。一瞬、俺って存在してないの?って不安になっちゃったよ!
「いや、フラフラしてたから大丈夫かなって思ってさ」
「あ!すみません。私に話しかけているとは思わなかったので」
ネガティブ!感じから言ってリリアス以上かもしれない!
見た目は俺と同じくらいか。長くて明るい茶色の髪をポニーテイルにしていてよく似合ってる。ちょっとだけのツリ目な感じも相まっていいね!
「それで、怪我でもしたの?」
「いえ、ちょっと挫いているだけですから気にしないでください」
「いや、ちょっとって感じではないんだけど」
明らかに怪我の具合が悪そうだけど。
「よければ送ろうか?その感じだと大変だろ?」
荷物もあるみたいだし。っていうか明らかに一人が運べる量じゃないんだけど・・・。
「いえ、私の仕事ですから」
「家の前までだよ。後はそのまま帰るから」
・・・・・なんか、本当に俺、送り狼みたいだな。
「ほら。いこうぜ」
ここは雰囲気で押し切れ!
俺は食材が入っている袋をいくつも持つ。重たっ!よく女の子が一人で持てていたな。
「は、はい」
俺の勢いに負けて押し切られたメイドさん。
「どこに行けばいいんだ?」
「私、領主様のところで働かせてもらっているんです。ですので出来ればそこまでお願いします」
申し訳なさそうに言うメイドさん。俺が強引にしているのに。いい子だ。
「おう!俺の名前はタカキって言うんだ。君は?」
「アメリアって言います」
「そっか。よろしくな、アメリア!」
「はい」
なんだかんだで初対面。警戒自体はされているようだ。ちょっと返事がよそよそしい。当たり前だけどね。実際、傍から見たら俺、ただのナンパ野郎だもん。
「それで、領主さんの屋敷ってどっちに行けばいいの?」
「し、知らないんですか?」
「おう。昨日この街に来たばっかりだからな」
「そうだったんですか」
「だから道案内を頼む」
「はぁ」
曖昧な返事。俺がどうしてこんなことをしているのか分からないようだ。
「それじゃあ、レッツゴー!」
アメリアと領主の屋敷に出発した。
読んでくれて感謝です。
ついに新ヒロインの登場です!
さて、どうやってタカキの仲間にしようか。




