表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
405/521

第369掌 実験は安全に出来るならそれに越したことはない



「相変わらず相手を逆撫でしてから突き落とすのが好きな奴だ」


 俺が皆の元に戻ってくるとダンガがそう言う。


「正直、調子に乗っている奴らを突き落とすことが楽しいのは否定しない」


 現実を突きつけるのは命が係っているこの世界ではいいことだろ?地球だとそうでもないかもしれないけど。


「俺の挨拶で決起集会は終わりみたいだし、俺達は先に荷物を持って街の外で待っていよう」


『いや、あんた言い方。どこのヤンキーよ』


「やんきー?」


 カリーナさんが首を傾げている。アメリアはすでに俺が言うことだから気にしても仕方ないとスルーを決め込んでいる。


「気にしなくていいわよ。タカキはたまに私達の分からないことを言うから」


「いやあの・・・。今回は俺が言ったわけじゃないんだけど」


 オルティが言ったことなのになんで俺が悪いみたいなことになってんの。


『私は上司がアレだから大体の地球の知識は持っているわ。だからあんたの言葉もある程度分かるわよ。今度地球の話を肴にお茶会をしましょうね』


「なんでちょっと励ましている感じになってんの?俺は今回何も悪いことしていないよ?」


 釈然としないが、いい加減移動しておかないと。俺達のいる場所をチラチラと見てくる生徒が大分増えてきた。目立つことはこれ以上は止めておこう。あくまでも今回の遠征は生徒達がメインなんだからな。


「さ~。美の祭典。どんな感じなんだろうな~」


「遠征じゃなくて早速別のことを考えているわ、この男は」


 歩き出した俺にそんなことを言いながらアメリアがツッコミをする。そして俺の後に続いて他の仲間達も移動を開始するのだった。




            ・・・




「流石、凄いことするわね。あの人っていつもあんな感じなの?」


 キャシーが感心しながら私に話しかけてくる。


「う~ん。暴走するとよくああいった感じになるかもね。でも、楽しんでいるだけで目的とかは忘れないから芯はあるよ」


 このままだと頻繁に無茶をする人という認識をキャシーがタカキさんに持ってしまうのでフォローを入れる。


「くそ!Sクラスのクラウドをあんなに簡単に!どうやったんだ!」


 私の隣では悔しそうにタカキさんのいる方向を見ているギムル君。ちなみにSクラスのクラウドというのは私の所属するAクラスの上のクラス。でも、あんな感じの人がいっぱいいるんならAクラスで良かったと心底思う。Aクラスに割り振ってくれたタカキさんと学園長に感謝しかない。


「あれは威圧スキルだよ」


 どうやったのか気にしていたので私は教えてあげる。


「え?威圧スキルってあの実力差の分だけ相手を拘束する?」


「まあ、そうだね」


「威圧スキルが物理に干渉してくるってどれだけの実力差があるのよ・・・。クラウドは学園でも実力者として有名なのに。まあ、性格に難ありだけど」


「もしかして、リリアスもクラウドに勝てるのか?」


 ギムル君が恐る恐る私に聞いてくる。


「うん。勝てるよ?しかも、この前タカキさん達と一緒に集中的にレベル上げしてきたから」


 むしろ、どうやったらあそこまでレベルが上がるのか不思議に思うくらい。普通に考えればここまで簡単にレベルが上がるなんてありえない。タカキさんが言うにはタカキさんのスキルで通常よりもレベルが上がりやすくはなっているって話だけど、それでも簡単に上がり過ぎないかと思う。


『それは俺の加護が付いているのが原因だな』


 私が思考していると急にそんな言葉が脳内に響いてきた。


『タカキさんですか?』


 私も心の中で話しかける。


『ああ。テレパシーの実験だ。全く使っていなかったからな。どうでもいい場面で実験しておかないとな』


『なるほど』


『おっと。話がズレた。レベルの不自然な上がり方だけど、俺の加護でさらにスキルにブーストが掛かっているんだ。だから余計に経験値が上がる』


『そうだったんですか』


『まあ、詳しい話をすると長くなるからここまでにしておこう。このままだと友達を無視し続けることになるからな』


「あっ!」


 そこで私は気が付いた。タカキさんと話すのに夢中になり、目の前のキャシーとギムル君を無視してしまっていたことを。


「リリアス!聞いてるの⁉」


「おい!大丈夫か?」


「う、うん!ごめんね。ちょっと考え事してボーっとしていたよ」


「そう?大丈夫ならいいんだけど・・・」


「無理はするなよ?」


 キャシーもギムル君も心配してくれてありがたいことだ。


「ありがとう。でも大丈夫。それで何の話をしていたっけ?」


「もう!ついさっき話をしていたばかりなのに。一体何を考えていたんだか」


「あ、あはは・・・」


「簡単に言えば、リリアスはどれくらい強いのって話よ」


「気になるな。聞かせてくれ」


 キャシーとギムル君。特にギムル君が前のめりで聞いてくる。


「経験云々はあると思うけど、普通に考えたらこの学園で私に勝てる人はいないと思う」


「うひゃー。流石はリリアスね!今回の遠征も頼りにしてるわよ」


「うん。皆頑張ろうね」


 そして私は皆と一緒に一度自分の教室に戻る。最後に教室で先生から注意を受けてから遠征開始だ!ついに始まる遠征にちょっとだけ私の気持ちはドキドキだ。




読んでくれて感謝です。

感想・評価・ブックマークをしてくれると嬉しいです。

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ