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第368掌 どこの世界でも校長先生の話は長い



 遠征当日。


 学園に今回の遠征に参加する生徒達と、それ同行する先生。そして護衛の冒険者達。その全てが学園の校庭に集められている。


「これって朝礼でもするのか?」


 完全に学校でやる朝礼の場だ。


「朝礼?ってのは分かりませんが、こういうのって大きなイベント事なら必ずやるものじゃないですか?」


 カリーナさんがそう教えてくれる。


「そうなのか。まあ、大事だよな。意思統一みたいなものは」


 俺の考えだけど、そもそもこういう集まりっていうのは一つの目的を皆で達成させるために意思統一をするためにするようなものだ。


 実際に今も学園長が長々とありがたいお話をしてくれている。俺達は別にそんなのは聞かなくてもいいし、ダラ~ンとしていたらいいのだが、生徒達はそうもいかない。何せ学園行事の一つだからな。授業の一環なのだ。


「リリアスはどこにいるのかしら?」


 アメリアが学生の群れを遠くから見ながらリリアスを探す。


「あの辺にいると思うぞ」


 学園長の前辺りに指を指す。目視は出来ないが、把握スキルでリリアスがどこにいるのかはすぐに分かる。


 現在、リリアスは生徒として前に並んでいる。まあ、緊急事態以外は生徒として参加するって学園側とも話し合って決めたからな。それに今のリリアスならある程度なら一人で対処が可能だろう。俺も少しは楽が出来る。


「しかし、学園長の話、長いな」


 ダンガはすでに地面に座り込んでいる。


「こういうのはどこの世界でも同じなんだな」


 俺は日本での学校の朝礼での校長先生の話を思い出した。まあ、思い出したって言っても話自体は全くと言ってもいいぐらい覚えていないんだけどな。そんなことがあったな~って思い出しただけだ。


「お、話が終わるみたいだぞ」


 校長もとい、学園長が壇上から降りる。


「うん?なんか、向こうの先生が呼んでないか?」


 ダンガが呼んでいる先生を視界に捉える。


『本当ね。っていうか、どう考えてもタカキを呼んでいるんじゃない?』


「え~?マジで?」


『マジで』


 試しに自分に指を向けて「俺ですか?」というジェスチャーする。すると大きく頷かれた。


「おぉふ。マジだった」


『ほら。私達はここにいるから行ってきなさい』


「はいはい」


 そうオルティに促されて先生の元に向かう。


「はい。何でしょうか?」


「はい。少し生徒に挨拶をしてもらえませんか?」


 え?マジで言ってんの?お前、俺がここの生徒達にどんな風に思われているか知っているのか?


「俺が出たら生徒達が困るんじゃないかな~?」


「そんなことはありませんよ!もし、困ってしまってもこれから厳しい遠征に行こうとしているんです。自分でどうにかしてもらわなければ」


 ふ~ん。わざと俺を前に出そうってか。それでこの出発前という段階ですでに振るいにかけようってか。


「いいだろう。その振るい、手伝ってやる」


「ありがとうございます」


 そして俺は壇上に上がる。


「え~、皆さん。俺は今回の遠征で生徒達を命の危険から守る役目を負った冒険者の代表です」


 そんな言葉で話し始める。すでに俺のことを知っている、もしくは理解している者は愕然としている。簡単に言ってビビっている。


「ですが、ここではっきりと宣言しておきます」


 これだけは言っておかないとな。


「俺達に抱っこにおんぶで楽をしよう。もしくはどんなことをしても守ってもらえるなんて考えている奴は助けません」


 俺の言葉に反応する何人かの生徒。ふむ。今反応した生徒はダメだな。


「この遠征をただの遠足か、旅行とでも考えている奴はさっさと帰ってもらいたい。俺達冒険者もそんな腑抜けを守りたくはない」


「俺達がそんな軟弱者だといいたいのか!」


 俺の言葉に反応したのは男子生徒の一人。さっきの俺の言葉にピクッとしていた生徒の一人だ。


「ああ」


 俺はそんな男子生徒の言葉を肯定する。


「ふざけるな!俺達は学園で優秀な成績を残しているんだぞ!」


 後で聞いた話なのだが、この俺に噛みついてきた男子生徒はSクラスの生徒らしい。どうやらこの遠征を軽く見ていたらしく、片手間でやり過ごして後は観光に充てようとしていたらしい。実際に二度、遠征に参加しているらしい。


 その慣れている遠征で学園で人気のある女子が危険な場面になったらカッコよく助けて自分の女にしようと考えているゲス野郎らしい。これはリリアス経由でリリアスの友達のキャシーから聞いた。


「じゃあ、ここでその実力を見せてみろ」


「上等だ!」


 そして俺に飛び掛かってくる男子生徒。おいおい。魔法学園の生徒ならまずは魔法を使って来いよ。


 そう呆れていると男子生徒は魔法で自分の体を強化しているようだ。ふむふむ。以外に実力はあるじゃないか。でも。


「気持ちの方がダメだ。また来年出直してこい」


 俺はただ、威圧スキルを発動する。それだけで男子生徒は地面に叩きつけられた。


「な―――っ!」


 威圧スキルのレベル10で解放される付加効果だ。効果内容は威圧の物理的干渉。簡単に言えば重力魔法を使うのと同じ効果を発揮することが出来るのだ。まあ、相手とのレベル差で干渉できる力も左右されるけどな。


「さて。お前達は幸運だ。この「黒の英雄」にして「狂った死神」が護衛になるんだ。存分に無茶をするがいい!だが、甘えを見せた奴は助けない!それでも自分を高めようと思う奴だけ遠征に参加しろ!以上」


 俺はそれだけ言って壇上から降りた。




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