第366掌 レベルを上げよう
「――――――と、ここまでが頼まれている依頼だな」
俺はアネッサさんに渡された依頼書を皆に配って見てもらいながら説明をする。
「多いな」
「ああ。でも、ちょうどいいとも考えているんだ」
ダンガの感想に俺がそう返す。
「ちょうどいい?」
「ああ。俺が神の眷属と戦ったことは話したよな?」
「ああ」
ダンガが頷いたのを見てから続きを話す。
「プリマ姫の時は作戦がうまくはまったし、トリスメデスっていう枷もあった。他にもリリアス達の助力もあった。それに何より性格が直情タイプだったから戦いやすかった」
「まあ、戦った印象だとそんな感じのことは受けましたね」
リリアスが戦っていた時のことを思い出しながらそう感想を言う。
「でも、今回の戦いで自分と眷属がどれだけ実力差があるのか思い知った。オルティやチェルムが言う能力って言うのに覚醒していなかったら勝てないどころか、俺の方が負けて死んでしまっていた」
「私もいつ死んでもおかしくないってあの瞬間は覚悟を決めました」
カリーナさんがそう俺のフォローをしてくれる。まだ、具体的なことを話していないが、高難易度の依頼を大量に受けるんだ。察しも付くってもんだ。
「そんなわけで皆でさらなる高みへ行こう!具体的に言えばレベル上げてさらに強くなろう!」
人間レベルだと化け物と言っても過言ではないステータスな俺や俺ほどではないが、十分に人間ランクでトップレベルになっている。俺はすでに化け物な感じになっているので今更だし、気にしない。でも、人間のトップレベルに留まっている皆には再度確認というか、きちんと言っておかないとね。
「|化け物(俺のいるステージ)に来てくれるか?」
「「「「当たり前(だ)(です)!!!」」」」
皆、俺の問いに即答してくれる。
「皆、ありがとう!」
俺はちょっとだけ目がうるっと来たが、ぐっとこらえる。
「それじゃあこれ、全部受けるってことでアネッサさんに伝えてくる。多分、まだギルドで仕事しているだろうし」
「はい。それじゃあ遠征の日までの間に依頼を全部こなすためにも私は学園に休暇を申請してきますね。まだ先生達は学園に残って仕事をしているだろうし」
リリアスのそう言いながら俺と一緒に立ち上がる。
「それじゃあ私はタカキ達が帰ってきたらすぐにご飯が食べられるようにちゃちゃっと夕食の準備終わらせちゃいますか」
アメリアも次の目的が決まったからか、随分とやる気だ。
「じゃあ、俺も。皆、武器を出せ。俺にできる限りの範囲で補強や武器自体の強化をするから」
ダンガもやる気満々だ。
「皆さん、どうしたんですか?私も何かやった方がいいですか?」
カリーナさんがあわあわしている。
「いいよ。カリーナさんがやれることをすればいい」
俺はあわあわしているカリーナさんを落ち着かせに入る。
「私、今やれること、ないです・・・」
「じゃあ、俺と一緒にギルドに行くか」
「いいんですか?」
「別にただ受けるって言いに行くだけだからな」
「ありがとうございます!いずれは屋敷でも何か自分だからやることを見つけてみせます!」
「ああ!」
そんなちょっと熱い?話をしている俺とカリーナさんの隅でリリアスがちょっとだけしょげていた。
「私も屋敷でやること、ないです・・・」
「はいはい。リリアスは早く帰って私達と一緒に夕食を作りましょうね」
リリアスの方はアメリアがフォローに回ってくれた。あっちはあっちで何か屋敷でやれることの相談とかを受けてあげるか。っていうか、そもそも俺も屋敷でやれることなんてないよ。
俺達はそんな締まらない感じでそれぞれの仕事に戻っていった。まあ、一時間もすれば皆また屋敷に戻ってくるけどな。
そんなわけで俺は依頼を受ける旨をアネッサさんに伝えて無駄に感謝された。過剰な感謝だったが、そこまでずっと放置されていた依頼だったんだな~って少し残飯処理係みたいな気持ちになってしまった。でも、流石にその感想を直接アネッサさん本人に言うのは憚られたので自重した。横でカリーナさんもギルド長の過剰な感謝にあわあわしっぱなしだったからな。まさにカオス!
帰るとリリアスが先に戻ってきていて、屋敷を出る前にアメリアが言っていた通りに夕食の手伝いをしていた。
ダンガはどうせ武器の手入れには時間が掛かるってことでメルエさんに首根っこを掴まれてダイニングに連行されていた。メルエさん、つえ~。ダンガもさっそく尻に敷かれているようだ。南無三。
そして皆との夕食を楽しんだ後はそれぞれ自由な時間を過ごして眠りについた。
そして翌日。
「さて。それじゃ皆。準備はいいか?」
「「はい!」」「ええ」「おう」「にゃー」『やってやろうじゃない』
皆やる気全開って感じだ。俺も皆全員集合でテンションが上がっている。
「じゃあ、行こう!今回の目標は「皆一緒に化け物になろう」だ!」
「そのタイトルはないんじゃない?」
アメリアが「えー?」って表情をしてこっちを見る。他の皆もそんな感じだ。
「ええい!タイトルは別に気にしなくてもいいんだよ!ほら!いくぞ!」
そんなこんなで強制的に俺達のレベルアップ週間が始まったのだった。
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