閑話16 里の変化する日々
閑話もあんまり思いつかないし、今回は頑張ってももう一話くらいしか閑話は作れないかも・・・。
里からタカキが去って一週間。
アメーシャは新しい生活を始めていた、否。忙殺されていた。
「巫女姫様。これはどうしましょう?」
「それは後で経理に見せるからそっちに置いておいて」
「はい」
「巫女姫様。こっちの資料はどうしましょう?」
「それはこっちで処理するわ。机に置いておいて」
「はい」
「巫女姫様。今度、新しく出来る役職には誰を当てはめましょう?」
「それならヨーバルさんがその件に詳しかったわよね。彼を推薦して」
「はい」
こんな感じで巫女姫としてだけでなく、長代理としても働き出していた。
現在は新しく作られたアメーシャの家に近くであり、世界樹の近くでもある仕事場で書類仕事を必死に処理している最中である。
昔からある長の仕事場、日本でいうところの国会議事堂のような場所はアメーシャが嫌がったため解体が決定されている。建物自体はいずれ別の施設として利用されるようになることが決まっている。その施設を何にするかも今後、里のハイエルフ全員で決められることだろう。
「巫女姫様。長達の処遇ですが、どのようにしますか?」
「うーん。罪状、結構凄い?」
「はい。かなりえげつない量あります。ただ・・・」
「ただ?」
「たまにハイエルフのため、里のための政策なども行ってたようでして」
「なるほど。それじゃあ流石に死刑とかは厳し過ぎるか」
「そう、ですね・・・」
「不満?」
「・・・ええ。彼らの欲の犠牲になったハイエルフは多いですから」
その言葉にアメーシャはタカキがブレスレットをしているのを里の皆にバレてしまった場面を思い出した。そこで人間だろうと新しい長にして巫女姫である自分の婿である人なら今の長より断然マシだと喜ぶハイエルフの姿を。
「そうね。でも、それで元・長達を処断してしまったらそれはその元・長達と同じってことにならない?それは嫌でしょ?」
「・・・はい」
「なら処刑だけは止めましょう。他にこれまでにして来たことを後悔させる手段はあると思うから。皆でそれを考えましょう?」
元・長達を苦しめるために刑罰を皆で考える。それだけでかなりえげつないことになっている気がしないではないが、それで彼らの留飲が下がると判断したアメーシャは気付かないフリをすることにした。
「そろそろ。仕事の時間も終わりね。皆、今日はここまでにしましょう。続きは明日」
『『『『『はい』』』』』
ハイエルフには時間が無限にも等しいほどあるのでそこまで生き急ぐように仕事をしない。日本の社会人からしたらなんてストレスのない会社だと思うだろうか。もしくはそんな会社で大丈夫か?と不安になるだろうか。
「巫女姫様は今日も残るんですか?」
「ええ。今日中に処理しておかないといけない仕事があるから。皆は気にしないで先に帰って」
「・・・巫女姫様がそういうなら。でも、私達に手伝えることがあるなら気にせずにドンドン頼ってくださいね」
「ええ。ありがとう」
そしてハイエルフ全員が帰宅する。そして仕事場にはアメーシャ一人が残った。
「はぁ~~~。疲れる~~~」
その瞬間、アメーシャは机にぐで~っと突っ伏す。
「タカキのせいでこんな役目まで引き受けることになるなんて・・・。私には溜まっている巫女姫としての仕事だってあるってのに!今度こっちに顔を出した時には仕事の手伝いと私の要求をある程度は飲んでもらわなくちゃ」
「アメーシャ様、愚痴はいいですけど早めに終わらせてください。他の仕事が残っていますよ」
「分かっているわ、エリトゥナ。でも、誰も見ていないんだからこれくらいは許してよ」
「私がいるんですけど・・・・」
「エリトゥナは別よ。気を許しているってことなんだから」
「それを本人に言われずに自分で気が付いたらもっと嬉しく感じたんですけどね」
エリトゥナはアメーシャと一連の事件で一緒に行動していたこともあってアメーシャの秘書のようなことをやっている。実は本人的には新しく仕事に就けたのでかなりラッキーで嬉しいことなのだが、秘書として表には出さないように気を付けている。
「いいじゃない~。それより、どうしたの?何か持っているみたいだけど」
「さっきタカキさんが来られまして、アメーシャ様に預かり物をしています」
「えっ⁉タカキが来たの⁉どうして私に会ってくれないのよ!」
「仕事中ですって言ったら急いでいるからこれだけ渡しておいてくれって言われまして」
「何?一週間も経たないうちにもう何かに巻き込まれてんの?」
「さあ?詳しいことは聞いていないので分かりませんけど。でも、お土産みたいですよ?」
「そうなの?」
「なんか、ますますアメーシャ様って愛人感が出てきていますよね」
「ちょっと!なんてこと言うのよ!」
「だって、男が手土産持って別の場所に住んでいる女の場所にわざわざ来る。しかも一緒に住んでいる女がいるのに、ですよ?傍から見たら愛人みたいって思うんじゃないですか?」
「ぐぅ」
「それが嫌ならどうにか現地妻的なものにクラスアップを目指しましょう」
「響きがすでに愛人の上位互換みたいなんだけど」
「でも、愛人よりは遥かにマシじゃないですか?単語の中に妻って入ってるし」
「・・・確かに」
「とにかく、今は現状を変えようがありませんから悩んだところで意味はあまりありませんね。もう一人の当事者がいないことには進まない話ですから。さて、話はここで終わりにして、お土産を開くのを楽しみにしながら先に仕事を終わらせちゃいましょう。私も手伝いますから」
「そうね。それじゃあサクッと終わらせて家に帰りましょうか」
ハイエルフの里ではこんな日々が日常化し出しているのだった。
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