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第354掌 今回、厄介事多くない?



「それじゃこれからお前は俺達の仲間な」


 皆の元へと戻りながら神獣にそう声を掛ける。


『な、なんでそんなことをあんたが勝手に決めてんのよ!』


「いや、お前問題児なんだろ?ここは言うこと聞いて更正したって上の連中に見せておかないと。このままだと仲間外れのままになってしまうぞ」


『うっ』


 仲間外れという部分にダメージを受けている様子の神獣。


「それに別にこだわってここの聖域にいたわけじゃないだろ?」


『ま、まあ』


 確か、怪しい気配がしたからここで見張りみたいなことをしていたんだっけ?


「テラコスが復活したことでもうここにいる必要はない。なら俺と一緒に眷属と戦わないか?」


『・・・で、でも』


 決心がつかないのか、困り顔―――のようなものをする神獣。仕方ない。ここは早速アレを使いますか。


「名前、欲しかったんだってな」


『―――っ!どうしてそれを』


「まあ、さっきチェルムに、な」


『あの女は~!』


 グルルッと唸る神獣。


「俺が付けてやるよ。だから俺の力になってくれ」


『んなっ!あ、あんた言ってる意味分かって言ってんの?』


 どういうわけか、動揺し出す神獣。


「ん?俺は言葉通りに思っている。だから頼むよ」


「にゃにゃ!」


 ん?リアがなんか俺を止めるような仕草で俺の足を自分の前足でテシテシしている。


「まあ、そんなわけで頼むよ」


『~~~!わ、分かったわよ!その代わり、きちんと責任取ってよね!』


「うん?」


 なんか、この話の流れで言わない言葉を言ってる気がする。リアもなんか「あ~あ。やっちゃった」って感じの顔をしている・・・気がする。


「あ、あの~」


 そんなグダグダやっている俺達に声を掛けてくるのはエリトゥナ。


「なんだ?」


「戦闘が終わったんで里の皆が外に様子を見に来ているんですけど・・・」


「ん?」


 そう言われて周囲を見てみると確かに木々の陰からちょこっと顔を出しているハイエルフ達。


「本当だな。まあ、危険はもうないんだし、別に問題はないんじゃない?」


「いやいやいや!そんなわけないでしょ!あなた自分の姿を見て見なさいよ!」


 そんな呑気なことを言う俺にアメーシャが突っかかって来る。


「ど、どうした。そんなに怒って」


「だから自分の体をちゃんと見て見なさい!」


 そう言われて自分の体を足から順にゆっくりと見ていく。すると俺の視線は手の部分を見て止まる。


「・・・あ」


「「・・・あ」じゃないわよ!ここにいる皆にしっかりと見られているじゃない!」


 確かに。エリトゥナやハイエルフの視線は俺達というか、俺に注がれている。より具体的に言うと俺の手首に。


 そう。視線は俺の付けているブレスレットに注がれているのだ。


 そうだと分かった瞬間、俺は冷や汗が出てくる。


「―――救世主様だ」


 そんな呟きを誰かが言った。


「巫女様が連れてくると言われている救世主様だ!」


「はぁ⁉」


 そんな話聞いてないぞ!


 そう思ってアメーシャを見ると、「あー。言ってなかったっけ」という感じで視線を俺から逸らす。しかし、アメーシャが伝えたことが嘘と言うわけでもなかったようだ。


「巫女様が婿を連れて帰って来たんだ!これからはあの方がこの里の長だ!」

「ようやくあの偏屈爺共から解放される!」

「おい!これからあいつら馬鹿にしに行こうぜ!」

「もう無職だもんな!」

「そうだな!からかってやろう」


 そんなことを言う里のハイエルフ達。どんだけあの長達は嫌われていたんだよ。失職した奴に追撃ってどんだけエグイことするんだ。


「なあ。なんか、俺がこの里の長みたいなこと言ってるんだけど」


「あー。そりゃ私と結婚するならそうなるわよ」


 凄い視線を逸らしながらそんなことを宣うアメーシャ。


「・・・」

「・・・」


 え?ちょっと待って?だって神獣もちょっと怪しいこと言ってるのにアメーシャもちょっと面倒な事案が発生するの?勘弁してくれない?


「話は変わるんだけど、アメーシャってここに残るの?」


「え?え、ええ。流石に偏屈爺の長がもう機能しないだろうし、巫女としての仕事もしないといけないから」


 何年も仕事投げ出しているんだ。そりゃ一度戻ったなら溜まっている仕事を片付けないとな。


「そっか。それじゃあアメーシャ。ちょっとそっちに離れてくれる?あ、エリトゥナもアメーシャについて行って」


「?いいけど」


 そう言って俺から離れるアメーシャ。エリトゥナもアメーシャについて行く。


「カリーナさん、樹里、ミッキー先生。こっちに来て」


 そう言って少し離れた場所にいる残りのメンバーを呼び寄せる。ここまで置いてけぼりだったので話に入れてもらえるのかと思って素直にこっちにトコトコとやって来る。


「?何をするつもりなの?」


「悪いけど、俺ここにずっといること出来ないから」


 使徒として眷属と戦わなくちゃいけないし。それを抜きにしても最終的に地球に戻りたいし。


「だから。また来るだろうけど、今回はここでさよなら」


「は⁉ちょっ」


 驚くアメーシャを置いて俺は時空魔法を発動。俺、カリーナさん、神獣、リア、樹里、ミッキー先生を巻き込んで地面に魔法陣が現れる。


「ちゃんと様子とか見に来るから。後のことお願い」


「ちょ!この状況で置いてくな―――ッ!!!」


 そんな叫び声と共に俺達は自分の屋敷に戻るためにその場から転移するのだった。




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