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第350掌 眷属との戦い テラコス編 その7



「くそ!」


 俺は一斉掃射してくる上位魔法の雨に対して魔法で防御しようとして―――――その手段を止めた。


 なぜならすでにテラコスは自分の能力のネタばらしをしているからだ。つまり、ここで俺は魔法なんて安易に使ったらすぐに魔法の無効化を使われてあの見た目だけでも高威力だと分かる魔法の雨に身をさらしてしまう。それも俺だけじゃなく、ここにいる全員が、だ。


「なら、残る手段は――――ッ」


 俺は神獣にすぐに指示を出す。


「抱えれるだけ抱えて避けろ!」


 そして俺は一番近くにいたエリトゥナと樹里を抱えてその場から緊急離脱する。神獣もミッキー先生を口にくわえてその場から離れている。


 リアとカリーナさんはまだ他人を庇いながらあの魔法の雨を回避するのは難しいからな。カリーナさんはレベル的に。リアは体の大きさ的に。


「まあ、俺の能力を知ったらそれしかないよな」


 そんな回避して隙が出来た俺にテラコスは急襲を掛ける。


「これは避けも防ぎも出来ないぞ」


 テラコスの背後に全属性魔法で出来た槍が超高速回転をしながら射出準備に入っている。


「あれはマズい!」


 あれだけの尋常じゃない数の魔法で出来た槍が一斉に射出したら逃げる場所がない。しかも、魔法が使えない現状では防御すらも出来ないし、出来てもあの高速回転でぶち抜かれそうだ。


『私に考えがあるわ。相手の気をそらして。出来れば目くらましも!』


「信じるぞ!」


 俺は神獣に防御を任せ、スキルだけ使って自分を限界まで強化する。そして刀にMP操作を使ってダメ元で魔力を付与して強化。そして斬撃を飛ばす。そして飛ばすと同時に俺が使える火炎魔法を全てテラコスに向かって放つ。


「無駄と分かっていてやるとはな」


 そして案の定テラコスの能力で魔法が無効化されそうになったその瞬間、俺は自分の魔法同士をぶつける。


「な、なんだ?」


 目の前で起こった爆発に驚いているテラコス。まあ、自分に向かって来ている攻撃と思っていたら急に爆発するんだもんな。そりゃ普通に驚くか。


 まあ、そんなわけで火炎魔法を使ったことにより、煙幕が出来上がる。そしてテラコスの周囲は目視が難しくなった。


「っく!」


 何をされるのか分からない不安からなのか、テラコスは特に勿体ぶらないで背後に待機させていた槍を一斉に射出した。


『準備出来たぞ!戻れ!』


 後ろから神獣の声が聞こえて来た。それを聞いて俺は元居た場所にまで戻る。しかし、目前には魔法で出来た超高威力の槍の雨。


 そしてその場に物騒な雨が降り注いだ。


 そしてテラコスの周囲の煙幕が晴れる。そしてテラコスが見たのは。


『『『『『ごふっ』』』』』


 神獣が複数体(・・・)で俺達の壁になり、自分達に降り注ぐ分だけ全てから守ってくれた。


「お、おい。これって本当にお前本体は大丈夫なんだろうな?」


『え、ええ。でも、分身ではなくて分裂みたいなものだから、流石にHPもMPもごっそり持っていかれているわ。それに精神的にもキツいし』


 後から聞いたのだが、これは神獣の持っている珍しいスキル。複製スキルだ。これは極めればどんなものも複製することが出来るという中々のチートスキルなのだが、完全に複製出来るのは物限定だ。生物の複製も出来ることには出来るのだが、意思を持っていないただの人形のようなものなので生物に対してだけはあまり使い道がないスキルでもある。


「ああ。そういえばお前にはそれがあったな」


『・・・ふん』


 なんだか不機嫌そうな神獣。


「なんだ?まだ昔やったことを根に持っているのか?たかが犬一匹じゃないか。あそこまで執心していたお前が逆に信じられないくらいだ」


 何やらこの二人・・・というか一人と一匹の間にもあるようだな。まあ、今はそんなことがどうでもいい。っていうか、そんなことに思考を回す余裕がない。


「おっと。ここでお喋りが過ぎるとまた地球神の使徒に裏をかかれてやられるからな。油断しないように続けて攻撃してやろう。そっちが攻撃に回ることも出来ないくらい圧倒的攻撃量で押し潰す」


 そしてテラコスの背後に再び出現する魔法の槍の数々。


「ほら。いつまでそいつの力で持ちこたえられるかな?」


 そして再び死の雨が降り注ぐ。しかし、さっきと違うのは雨がいつまで経っても止まないということだ。


『ぐ、ぐぅ―――ッ』


 言い方は悪いが、肉の壁をずっと維持している神獣はかなり苦しそうだ。


「神獣。俺が隙を作るから皆を逃がせるか?」


『・・・あんたはどうするのよ?』


「誰かがここで何とかしないと結局はここで攻撃をくらい続けるのと同じだろ?」


『死ぬ気なの?』


「ばっか。そんなわけないじゃん。でも、流石に今回ばかりは分が悪いかも・・・な」


 今回ばかりはもっとレベル上げをしておけば良かったと思う。


『・・いいわ。どっちにしろ、このままじゃあんたの足手纏いだし。不利な状況より少しは好転するはず』


「ああ。こっちも出来るだけやるから頼んだ」


 そして俺と神獣は合図をすることもなく、それぞれの決めたことをするために飛び出す。


 俺はテラコスに向かって。


 神獣はカリーナさんとリアをやや強引に連れて残りのメンバーを守るようにしてテラコスがいる方向とは逆の方向へ。


「ふーん。ちょっと拍子抜けっていうか、つまらないな。その選択は」


 ――――ゾクッ。


 俺の背中を走る寒気が俺に警鐘を鳴らす。


 そしてテラコスは俺目掛けて――――――ではなく、逃げている皆に向かって魔法を放ち、そしてその直撃を皆は受けた。


「み、皆ぁ――――――――ッッ!!!!!」


 そんな俺の叫びは森の中に木霊したのだった。




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