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第347掌 眷属との戦い テラコス編 その4



 殴り飛ばしたテラコスを追って俺はさらに高速移動スキルで前方へと駆け出す。


「っ!」


 テラコスは自分と俺との間に魔法の障壁を張って、俺の接近を妨げる。


「オラッ!」


 俺はそれを火炎魔法を纏った拳で殴りつける。


「っぃてぇ!」


 しかし、俺の拳でその障壁を破壊することは出来ず、そこで俺の追撃は呆気なく終了してしまう。


「結構マジで障壁を張ったな」


「ちょっと流石に痛かったからな。このままボコボコにされるのは嫌なんで本気で魔法障壁を張らせてもらった。しかし、これは俺も楽しんでばかりはいられないようだ」


 どうやらここからはテラコスも本気を出していくらしい。っていうか、俺のスキルと体術、そして魔法を使ってようやくテラコスに危機感を抱かせるレベルってことか。結構ギリギリじゃないか。


「でも、よし。これまでにない手ごたえだ。このまま勢いで行くか」


 俺は魔法による身体強化を掛けながら、さらにスキルで自分自身を強化していく。


 硬化スキル、浸透スキル、高速移動スキル、限界突破スキル。自分が使える自分自身の強化に使えるスキルを存分に発動させる。限界突破なんてここまでで一度も使ったことなかったので初使用である。


「―――!」


 俺はさっきよりも倍以上の速度でテラコスに接近する。そして今度は完全にトドメを刺すつもりで火炎魔法と風雷魔法の複合魔法を拳に纏わせて連続で殴りまくる。魔法でさらに速度と威力を上げているので一撃一撃がかなりダメージになっているはずだ。


「ぶっ、ぐ、はぶ」


 俺は全力で殴りつけている。手ごたえもしっかりと感じている。しかし、何故かテラコス自身に聞いているという確信が得られない。


「このッ!このッ!」


 俺はちょっとヤケになりながらやや乱暴気味にパンチを連発する。


「ぶげっ、はっ」


 痛そうに全部の攻撃をくらい続けているテラコス。しかし、その表情は苦痛よりもまるで自分思い通りにことが進んでいるかのような満足そうなものである。


「こ、のぉッ!」


 最後に自分の拳に込められるだけの魔法を込めて殴りつける。そしてそれをくらったテラコスは後方へと吹き飛ばされる。


「―――はぁっ、はぁっ。な、なんなんだ。この空振りしているかのような感覚は」


「ハハハ。いやー。結構痛いもんだね。体中に鈍痛が響いて凄い」


 俺に吹っ飛ばされたテラコスはそんなことを言いながら歩いて俺のいるところまで戻って来た。しかも、体は土煙の汚れなどはあるものの、炎などの焦げた跡などや、風雷魔法によって切り裂かれたような部分は見当たらない。


「一体どういうことなんだ?」


「流石にあのままくらうのは俺でもまずかったからな。ちょっと対処させてもらったわ。まだ使えない様子(・・・・・・・・)のお前相手にこんなことをしてフェアじゃないのは分かってるんだけどな。流石にお互いボロボロになるくらいの接戦を―――なんてガラじゃないし」


「一体何のことだ?」


「ふーん。まだそこまで説明とかを受けていないってことか。もしくは自分でその領域に到達するまではノーヒントってわけか?随分と厳しい奴らじゃねえか、地球神側も」


 一体何の話をしているんだ?


「何のことか分からないって顔してるな。まあ、敵である俺は言うはずもないんだけどな」


「っち」


 まあいい。しかし、本当にどうなっているんだ?普通に考えれば流石の眷属もあんな「ただ殴られただけ」みたいな状態で済んでいるはずがない。良くてあちこちがボロボロのズタズタってだけだ。


「それじゃあ今度はこっちの番だ」


 テラコスは魔法を展開。複合魔法を作っていく。


「んなっ!」


 俺はその様子に驚く。


 なにせ、全属性で組み合わせることが出来るもの全てを掛け合わせているのだから。火炎魔法と風雷魔法。火炎魔法と磁土魔法。水氷魔法と風雷魔法。暗黒魔法と光以外の属性魔法。逆に光魔法の上位魔法と暗黒魔法以外の属性魔法、等々。こんなにバリエーションがあったのかってぐらいの複合魔法が展開される。


 二種類だけの複合魔法だけでなく、三種類、四種類の複合魔法までも組み合わせている始末。これは流石に絶体絶命過ぎる。


「そらっ。生き残って見せてみろ」


 そう言って片手をスナップさせる。それだけで周囲に展開していた全複合魔法が俺に襲い掛かった。


「ナメんな!」


 俺は全掌握とMP操作スキルを使って魔法の主導権を奪い取る。


「そのままお前がくらえ!」


 俺に向かって到来していた超強力な死の雨とも言えるような、魔法の雨がテラコス自身を襲う。

 

 しかし、これで勝ったという確証などこれっぽっちも持てない俺は追撃しようと魔法の全弾が降り注いだ場所、つまりテラコスの元へと駆け出す。


「流石に固有スキルとかは使えるわけだ。しかし、覚醒していたらこれくらいで魔法が消える(・・・)わけがない。ということか」


 消える?


「まあ、これでよくプリマを倒したな。普通に無理だろ。あいつには奥の手とかそういうのが多かったし」


「こっちも秘策とか用意してから言ったからな」


 封印とかトリスメデスとか。


「それじゃあ今回も用意してあるってわけだ」


「・・・ふん」


 いや、今回は実は用意していない。まさかここで前情報も無しで戦うなんて思っていないかったのだ。だから正直に言うと結構マジで手段がない。体術と魔法のコンボが使えなくなったら一瞬で瓦解してしまうだろう。


 だからこそ、ここでそのことを悟られないように戦わなければならない。




読んでくれて感謝です。

感想・評価・ブックマークをしてくれると嬉しいです。

よろしくお願いします!


あと、そろそろ年末年始について報告しておこうと思います。

去年もそうでしたが、今年も年末年始はお休みを貰おうと思っています。

期間としましては12月27日~1月3日まで。

ガッツリ一週間ほど休みを頂くことになりますが、その間も作品のストック作りなどや、余裕があったらコングラ以外の作品を少しは更新するために執筆しようと思っています。

コングラ以外の執筆はあくまでも余裕があればなのであまり期待はしないでください。

年末年始も作者は働いているのでコングラ以外は現状、キツいので。

そんなわけで直前になったらまた後書きとかで報告しますが、今年の更新は12月26日までになります。

作者の個人的な事情で申し訳ないですが、よろしくお願いします。

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