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第34掌 方針と拠点



「今後の方針についてだが、まず最初に言っておきたいのは警戒すべきものだ」


「警戒すべきもの?」


 ダンガが疑問符を浮かべる。まあ、リリアスには言ったけどダンガにはまだ言っていなかったからな。


「ああ。俺は本来、ライドーク神国に召喚されるはずだったんだ。それをリリアスが干渉してリリアスの前に召喚されたんだ」


「なるほどな。だからもしかしたらタカキを狙ってくる可能性があるのか」


「ああ。それにリリアスのこともあるからな」


「召喚を横から掻っ攫ったんだ。当然、狙われるわな」


「そういうことだ」


 リリアスは横でシュンとしている。そんなリリアスの頭を撫でながらダンガに続けて言う。


「だからライドークの関係者相手には出来るだけ関わらないようにしようっていうのが俺達の共通方針だ」


「ああ。分かった」


「次に俺の目的についてだが」


「神の依頼ってやつだな」


「ああ。これについてだが、最初の間は探しモノは探さない」


「おいおい。目的なんだろ?」


「ああ。だが、今の俺達の力は弱い」


「俺やリリアスは分かるが、タカキはメチャクチャ強いじゃねーか」


「今の俺でも無理だ。絶対に勝てる相手ではないんだ」


「そこまでの相手なのかよ」


「前にも言ったじゃん。仮にも相手は神の眷属だ。少なくとも人間の最大レベルの半分はないとな」


「それ、人類最高レベルになれってことか⁉」


 その通りだ。下手したら神と戦うことになるかもしれないんだぞ?地球神も言っていたからな。神の眷属が神になってしまうかもしれないって。(※プロローグ02より)


「俺なんて神にレベル上限をなくしてもらっているからな。あいつは俺にレベル500を超えろと言外に言っているんだ」


 まあ、俺は色々ブーストが掛かっているからな。他の人よりもレベルやステータスを上げるのは簡単だろう。問題は。


「問題はお前たち二人だ。俺はすぐに上がることが出来るが、リリアスとダンガは普通のステータスと成長スピードだ。これからは二人のレベル上げを中心にしようと思うんだが、どうだろうか」


 俺の考えに二人が頷いてくれる。


「ありがとう。それじゃあ、それでいこう」


 まあ、俺のレベル上げは夜に一人ですればいいだろう。無茶もしやすいからな。


「それで?拠点はどうする?」


「拠点?」


 ダンガの問いについ聞き返してしまう。


「ああ。冒険者なら拠点を持っているのは当たり前だからな。最初の内は自分の地元で活動しているが、上級冒険者になればなるほど自分の拠点を持つようになるんだ」


 へぇ~。


「でもな~。俺は各地に行くつもりなんだよ。拠点は持たないつもりだったんだが」


「いいじゃないですか。せっかくなんですから持ちましょうよ、拠点。タカキさんならすぐにその分のお金を貯めることができます!」


「いや、あちこち行くのに邪魔だろ」


「タカキさんなら空間魔法も使えるようになるはずです!そしたらどこにいても帰ってこれるじゃないですか」


 え?


「そんなのあるの?」


「ありますよ!だから持ちましょうよ、拠点!」


 なんか、グイグイ来るな。今日のリリアスさん。


「そんなに拠点、欲しいの?」


「はい!私、拠点って憧れなんです」


 目がめっちゃキラキラしてる。これは思考がどこかに飛んでいる状態だな。


「魔法使いになるために魔法に関係する本とかを片っ端から読んでいたから知っているんです。拠点を持つ冒険者は皆の憧れの的なんですよ!」


 おおう。リリアスさんは健気で可愛いんだけど、変なところで頑固っていうか、ねじ曲がっているよね。


「わ、分かった!それじゃあ、空間魔法を掌握したら拠点を持つことにしよう。それでいいか?」


「ほ、本当ですか⁉約束ですよ!」


 なんだかんだで年相応のリリアスを始めて見たかも。


「ああ。約束だ。ダンガもそれでいいか?」


「ああ。俺としては工房さえあればそれでいい」


 サラッと自分の要求も混ぜてきたな。


「ハイハイ。分かりましたー」


 もう投げやりな俺。


「それで?場所はどうするんだ?」


 俺が二人に聞く。


「俺は町とかに詳しくないっていうか、そもそもこの世界自体に詳しくないんだが」


「それならこれから色々世界を巡るんだ。お前の気に入った街に作ればいいさ」


「そうだな。ちなみに二人のオススメの場所は?」


「俺はドワーフの街、アンタルがいいと思うぜ!」


「私は王都がいいと思います!」


 まあ、ダンガのオススメの理由はなんとなく分かるわ。


「リリアスはどうして王都がオススメなんだ?」


「あれ?俺は?」


「お前の理由はなんだかんだで分かる」


「そ、そうか」


 ちょっと寂しそうだな。


「それで、リリアスは?」


「王都は利便性も高いですし、何より、あそこに集まるのは一流の人たちばかりなんです!色々な情報がたくさん手に入ります!」


「おおう。そうか」


 まあ、リリアスの場合はおそらく魔法を教わりたいんだろうな。


「じゃあ、学校とかもあったりするのか?」


 何気なく聞いた俺は後悔した。


「はい!素晴らしい学園なんです!学年は一年から六年まであって、試験を受けて合格すればいつでも昇級可能なんです。その試験なんですけど、魔法学、魔法実技、魔法戦略など多岐に亘るんですけどそれらを全て合格したら卒業さえ可能になっているんです。昇級には様々な種類の試験をどれか一つ受けて受かりさえすればいいんです。それに――――――――――」


 ヤバい。リリアスは魔法大好きだった。明らかに当分は止まらないぞ、これ。


「タカキ」


 ダンガも恨めしそうな顔で俺を見てくる。


「すまん」


 そんなこんなでリリアスの話はフェルゲンに到着するまで続いたのであった。




読んでくれて感謝です。

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