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第343掌 接敵する二度目の敵



 そして跡形もなく、砂がサラサラと崩れていくようにミクスが消えた場所を少しの間見つめる俺達。


「ってそれどころじゃない!」


 俺は把握スキルで里全体を見る。


「ダメだ。本当に結界が完全に壊れている」


 俺はさらにベルレアンがいただろう場所を把握スキルで確認する。


「・・・いない」


「ね、ねえ。ミクス従兄さんはどこ?どこにいったの?」


 エリトゥナはまだ現実を受け入れられないのか、震えながらもそんなことを周囲に聞く。だが、その場にいる全員がそれに答えられるわけもないし、そんなことを答えている余裕もない。


「とにかく、一旦ここから非難するぞ!いつ何が襲って来るか分からない!」


 俺はカリーナさん達を促す。


 そして俺はカリーナさん、リア、樹里、ミッキー先生、アメーシャ、エリトゥナ、神獣を宙に浮かせる。


「ま、まて!私達も連れていけ!」


 急いでここから脱出だ!と意気込んだ瞬間、そんなことを長の一人が言って来た。


「あれ?なんか数が減ってね?」


「ミクスに三人ほど殺られてるわ。あそこに転がっているでしょ?」


 そう言ってアメーシャが指差すが、そこには何もない。


「あれ?おかしいな。確かにあそこにあったのに」


 死体をそこまでフランクに物扱いするなんて、アメーシャの長に対する闇が深過ぎる・・・。


『それならミクスっていうのと同じように砂みたいになって消えたわよ』


 神獣がそんなことを教えてくれる。


「なりふり構わずって感じだな」


 これはすぐにでも復活するかもしれない。とりあえず、開けた場所に出ないとマズい。こんな戦い辛い場所じゃ不利なだけだ。


「行くか」


「ま、待て!私達も連れていけと言っているだろうが!」


 長が怒ったように食い掛って来る。


「嫌だよ。なんで俺がお前達の面倒まで見ないといけないんだよ。さっきまでのようにここで偉そうにふんぞり返っていればいいじゃん」


「こ、ここは危険なのだろう?ならば至高の存在である我らを守る義務がお前にはあるはずだ!」


 こいつは何を寝言を言っているんだ?


「構ってられるか」


 俺は容赦なく、さっき浮かせたメンバーだけを連れて壊れた窓から飛び出した。


「アメーシャ!」


「な、なによ」


 俺は当てもなく飛びながらアメーシャを呼ぶ。


「この里で一番広い場所は⁉」


「せ、聖域と魔の森」


 どちらも問題ありな場所だ。不確定要素がある場所で戦うわけにはいかない。


「他には!」


「ほ、ほか?他は・・・」


 考え込むアメーシャ。しかし、何かが頭をよぎったのだろう。ふと呟いた。


「―――世界樹」


「あそこか!確かに広いし、マイナスな不確定要素はさっきの二箇所よりなさそうだし、そこで決まりだな!」


 俺はすぐにそこへと進路を変え、急いで向かう。


「ちょっ!ちょっと待ちなさい!別に私は広い場所を教えただけで、そこで戦っていいなんて言ってないわよ⁉私の家も近くにあるのよ⁉」


「時間もあんまりないし、危険な場所で戦うわけにはいかない!それに非戦闘員もいるし」


 俺は樹里とミッキー先生、それにエリトゥナを見る。


「勿論、アメーシャも非戦闘員としてカウントしているからな」


「だからって!」


「余裕がないって言っただろ。それに―――っ!」


 把握スキルに引っかかった!地面から何かが上がって来る!


「マズい!もう来た!」


 俺は全速力で世界樹の元に向かう。


 そして地面から奴が出てくるギリギリで世界樹に到着。


「お前達はこの中に入ってろ!リア!お守りは頼んだぞ!」


「にゃ‼」


 そしてカリーナさんと神獣を残して全員を異空間の中に突っ込む。


「ふぅ。これであいつらは大丈夫だろう」


 いざとなってもリアがどうにかしてくれるはずだ。リアなら自在とはいかないまでも俺達の屋敷へ空間を開けたりすることは平気で出来るからな。それにリリアスの使い魔であるリアは自分でリリアスの元に戻ることが出来るから異変を伝えることが出来る。まあ、言葉までは分からないから具体的なことまで伝えれないだろうけど。


「タカキさん・・・」


「カリーナさんは無理しなくていい。最初はここにいて見てもらえるだけでいい。俺が何と戦っているのかが分かるから。神獣、カリーナさんを頼む」


『あいつを相手に一人で戦うつもりなの?』


「ああ。っていうか、この場に向かって来ている奴と戦える奴がいるのかよ?」


 すでに地面からは出て、猛スピードで飛んでこっちに向かって来ている。


『私だって』


「いや、無理だろう。神獣でも強さは下の位置にいるだろ、お前」


『な、なんで』


 なんで分かったんだって表情しているな。


「戦ったら分かる。俺はクロノと戦っているんだぞ?」


 そのクロノですら神の眷属は自分より強いって言っていたのにクロノより弱いこの神獣が神の眷属に対抗出来るわけがない。


『・・・分かったわ』


 俺は神獣のその言葉に満足して神獣とカリーナさんのいる場所に自分で作れる最も強固な結界を張る。それも種類が違う結界を何重にも。


「こ、これは・・・」


「俺が使える結界系の魔法全部使った。これで少しは大丈夫だろう」


『こんなところで魔力の無駄遣いを・・・。あなた、これから何と戦うか分かってるの⁉』


「神の眷属だろ?分かってるよ」


『分かっていないわ!あなた、あいつの能力が分かっていないようだから教えてあげるわ!あいつはね―――』


「おっと。それは明かしてもらっちゃ困るな。こっちもコイツ相手にはマジにならなくちゃいけないんだ」


 神獣が何か眷属の能力の内容を言おうとしているとそんな言葉が遮るように掛けられる。


「よう。お前が俺達の敵だな」


 さっきまでの地面から響くような重々しい声とは全く違うフランクな言葉遣いで俺にそいつは空から降りて来ながら話しかけて来た。




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