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第336掌 壊れる結界



 時間は少し遡る。


 タカキ達が第三依頼を終え、アメーシャの家で寝こけている時。


 裏で動く人間がいた。


「ここが我が主がおっしゃられていた場所か」


 ミクスがその場にたどり着き、周囲を見渡す。


 そこはタカキ達が訪れた聖域の最奥。墓がある場所よりさらに奥。隠し扉によって隠されていた場所だった。


「主の言うタカキの能力。あれに掛からないようにするためにかなり気を遣った。そのせいでこんなにも時間が掛かってしまった」


 忌々しそうに呟く。


 そう。タカキの掌握スキルから逃れるためにタカキ達が第三依頼を終わらせ、聖域から出ると同時に聖域の中に侵入したのだ。


「しかし、これでようやく主が降臨するための障害が取り払われる」


 そう言ってミクスはその最奥にある空間に自身が使える魔法を全て放つ。


 その魔法攻撃を受けてドンドンと壊れていく最奥の空間。


 そして最後には完全にその空間は壊れてしまう。


 空間が完全に崩れ、ミクスはその崩壊に巻き込まれる前に手前の墓のある空間にまで戻って来た。


「ふぅ。これで長年この里を守って来た結界は終わりだ」


 そう言ってミクスはその場から離れる。


 ミクスが去った後、聖域は急に支えを失った家のように一気に崩れていった。


 そう。最も安全な聖域の中に結界を維持するための核があったのだ。そしてその核を破壊した以上、何百、何千年もの間発動し続けていた結界が壊れて崩れ去ってしまうのも必然だった。


「・・・おかえり」


 聖域の入口で待っていたベルレアンがミクスを出迎える。


「ああ。これで我々の仕事は終わりだ」


「・・・この結界、主の復活を妨げる効果も付与してあったんだね」


「ああ。私もそれを我が主に聞いた時には驚いた」


「・・・でも、これで後は完全に壊れるのを待つだけだね」


「時間にしておおよそ半日と言ったところか。それくらいで完全崩壊が始まる。今は結界の表面からゆっくりと壊れていっている最中だろう」


「・・・核を壊したんでしょ?なんでこんなに時間が掛かるの?」


「それはこの結界を張った人物がそういう風に結界を張ったからだろう。もしも結界が壊されたときにも逃げるか、主と戦う準備をするために」


「・・・本当に忌々しいことをしてくれるね」


「ああ。しかし、恐ろしいほどの技量と思慮深さだ。流石に感服するよ」


「でも、そんな昔から主は封印されていたんだね?」


「ああ。私も教えてもらっただけなのだが、主は神の交代が起こるさらに前に封印されてしまっていたらしい。なんでもかなりの実力を持っており、厄介な能力を持っていたがために真っ先に狙われてしまったんだそうだ」


「・・・流石は主だね。そんな凄い方だなんて」


「ああ。真っ先に狙われてしまったことは残念に思うが、誇りにも思う」


「・・・それで?ここからどうするの?」


「主の復活する時を見計らって奴らを襲撃し、戦力を削る」


「・・・それはいいね。仲間を殺せばあの人間も動揺するかもしれないし」


「ああ。だが、気を付けろ。弱い仲間には仲間の中でも強い者を護衛に充てているからな」


「・・・過保護だね」


「ああ。だが、それだけの徹底ぶりに仲間が大切だと周りに宣伝しているようなものだ。ここを狙わないわけにはいかない」


「・・・そうだね」


「よし。ではそろそろ行くとしよう。結界のことを知っている巫女や長達が異変に気付いてここに来ないとも限らないからな」


 そう言ってその場を離れる二人。


 そして何千年もの間ずっと里を守って来た結界の崩壊は始まった。




                 ・・・




 アメーシャの家に降り立った俺はすぐに家の中に入った。


「皆、いるか⁉」


「ど、どうしたの?」


 ドアを開けてリビングにいた樹里が出て来た。


「いや、皆の無事を確認しに来たんだよ」


「ど、どうしたんですか?確かに地震はありましたけど」


「そうね。カリーナさんとリアちゃんは結構怖がっていたけど」


 ミッキー先生も来た。


「わ、わわわ!タカキさんには言わないでください!」


「いいじゃない、これくらい。それに大丈夫よ。地震が起こった時も言ったけど、この程度の揺れの地震なんてそんなに大したことじゃないわ。いずれは揺れも収まるし」


「・・・本当ですか?」


「本当だって」


 そう言ってカリーナさんを宥める樹里。


「いや、残念だが普通の地震じゃないぞ」


 そこに水を差す俺。いや、宥めている最中に申し訳ないけどね。


「これ、結界が崩壊し出しているんだ。空を見れば分かる」


 そう言って外に出るように促す俺。


 全員が外に出る。


「ほ、本当だ!」


「これってヤバいんじゃないですか?」


「タ、タカキさん!これって・・・」


「ああ。カリーナさんには詳しく話したな」


 カリーナさんにはプリマ姫のことについて話していたから気配を感じて分かったようだ。


「タカキさんが言っていた通り、タカキさんの気配に似ていて、でもどこかが完全に違う・・・。そんな気配を感じます。それもあちこちから。まるで地面からあふれ出るかのように」


「ああ。カリーナさんはいざとなったら俺の異空間の中に樹里とミッキー先生を逃がしてリリアス達に応援要請を送ってくれ」


「・・・はい」


「よし。それじゃあ皆、アメーシャ達と合流す――――っ!」


 俺がそう言終えようとした瞬間、不意を突くタイミングを見計らったかのように俺達に急に様々な攻撃魔法の雨が降り注いだ。




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