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第328掌 第三依頼開始 その5



 それ(・・)は土煙を上げながら俺達の目の前に降り立った。


「おいおい。パチモンだと思っていたのに。見た目も雰囲気も、それに見た限りの実力も。全て本物じゃねぇか」


 土煙が収まり、視界が正常になるとすぐさますの姿を確認する。俺はその神獣の姿を見て偽物だという考えは一瞬で消えた。


 その姿は白銀の毛を持つ狼。その周囲にはキラキラと光が輝いている。


 狼は大神とも言うって昔なんかの漫画とかで見たこともあったからな。こういうのは世界が変わっても同じようなものなんだな。


「タカキさん。あれは、本物なんですか?」


「ああ。俺の目でもそう視えている。種族も神獣って書いてあるから多分本物だ」


 カリーナさんの言葉を肯定する。


「神獣なら知性とかあるわよね?戦わなくても話せば分かってくれるとかない?」


 その圧倒的な実力を感じ、俺以外の全員が動けなくなる。そんな状況で震えながら樹里が微かな希望を持ってその場にいる全員に問いかける。


「多分無理」


 そんな樹里の淡い希望をアメーシャがバッサリと切り伏せる。


「な、なんで?」


「完全に臨戦態勢でこっちを睨んでいるからだよ」


 俺がアメーシャの代わりに答える。アメーシャも恐怖で動けなくなっているからな。精神的にもこれ以上はキツいだろう。


「じゃ、じゃあ、これって・・・」


「絶体絶命ってことになりますね・・・」


 ミッキー先生が冷静に状況を簡潔に述べる。


「ここで終わりってことなの・・・?」


 樹里はすでに涙目だ。


「長達っ!これで邪魔な私を排除する気だったのね!世界のどこかにいてひょっこり邪魔されるより手元で確実に消しておこうってことだったわけね!」


 アメーシャはここにはいない長達に憤慨している。


「タカキさん、すみません。今の私ではあの相手に太刀打ち出来そうにないです」


「ああ。しょうがないよ。あれが相手だとリリアス達でも単体じゃ厳しいからな」


「でも、それってパーティー組んだらいけるってことですよね?」


「ああ。俺抜きでもあの三人だけでいい勝負はすると思うぞ。連携とか色々な要素を考えたら多分勝てるぞ」


 リリアス達のレベルはすでに百を超えている。簡単に言っても一人一人が英雄クラスとも遜色ないレベルだ。それにダンガは今までの経験があるし、そうでなくても三人はかなり格上の相手をすることがまあまああった。神の眷属なんてその最たるものだ。流石に単体だとまだ神の領域にいる連中に勝てはしないけどな。


「凄いですね。流石リリアスさん達です」


「すぐにでもカリーナさんもリリアス達と同じくらい強くなってもらうつもりだから大丈夫だよ」


「はい!」


「あの~」


 そんな俺とカリーナさんの会話が一区切りした辺りでアメーシャが声を掛けてくる。


「あっち、無視されてかなりご立腹みたいなんだけど・・・」


「「え?」」


 そう言われてアメーシャが指差す方を見る俺とカリーナさん。


 その指差す方向にはカンカンに怒って今にも突進して来そうな神獣の姿が。


「あっ」


「「あっ」って!普通に忘れていたよね!よくこんな状況で忘れられていられたよね⁉」


 樹里はすでに半泣き状態で俺にツッコミを入れてくる。


「まあ、仕方ない。主の相手は元々俺だったからな。ここは俺がどうにかするべきってことだな」


 俺は皆の一歩前に出て神獣の標的になるべく目立つ位置に立つ。


「ウォオオオオオオオオオンッッッッ!!!!!」


 そう叫び、飛び掛かってくる神獣。


「う~ん。まずはあいつらの関与を調べないとな」


 これで神の眷属の関与がない、もしくは神の眷属の目的に一方的にただ利用されているだけな可能性もある。だから仲間とか部下とかそういう場合のみ後顧の憂いを絶つという意味でも完全に討伐する。


「お前はどっちかな?」


 俺は神獣の頭を殴りつけ、地面に叩きつける。


「ウォンッ⁉」


 短く悲鳴を上げる神獣。


「そら!次は魔法だ!」


 俺は神獣を蹴り上げ、宙に浮かせてから水氷魔法を使い、特大の水弾を腹に直撃させる。そしてそのまま風雷魔法の風弾で宙に飛ばされた神獣の背中を上から下へと叩きつける。


「グォンッ⁉」


 土煙を上げながら地面に直撃した神獣は濁った悲鳴を上げる。


「さて。まだ皆は動けそうになさそうだな」


 恐らく威圧スキルでも使ってレベル的に自分より低い相手の動きを一時的に止めているのだろう。一定時間はそれで動けなくなる。威圧レベルがカンストしている俺はそういう停止時間もある程度自由自在だけどな。


「ちょっと話を聞いてもらうためにもお前にも動けなくなってもらうとしよう」


 俺は風雷魔法で電撃を生み出し、それを浴びせて痺れさせる。


 流石に致死量の電撃を浴びせたら最悪のパターンだった場合が怖い。そう、これで地球神の眷属だった場合。つまり俺の味方だった場合もあるわけだ。そういう判断がこっちは出来ないからな。


「さてさて。これで話くらいは出来る」


 まあ、これで神獣だからって喋れるわけじゃないからな。今まで会って来た神の領域にいる連中が全員話せるからついそう思っているわけだけど。


「・・・・・・・・・・」


 あれ?話そうとしないな。


「・・・あ。痺れているから話そうにも話せないか」


 うっかりだぜ。


「それなら仕方ない。ちょっと手っ取り早いけど、あっちにちょっと手間を掛けてしまうから遠慮してた方法を使うとしよう」


 そうして俺は時空魔法を使い、ある場所に繫げる。


「クロノー。ちょっといいかー?」


『―――なんだ?』


 時空龍クロノさんの久々登場である。




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