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第327掌 第三依頼開始 その4



「お~い!タカキー!」


 俺が骸骨のみとなったノーライフなコンビを土の中に還してあげている最中にアメーシャの声が聞こえて来た。


「ん?皆どうしたんだ?」


「どうしたも何もないですよ!私達、見学も出来ずにずっと待っていたんですからね!」


 ミッキー先生が叱るように俺に文句を言って来る。


「ああ。そう言えばあそこにいたままじゃ見学なんて出来るわけないか」


 パーティーメンバーのみなら時空魔法で空間繫げて見学くらい出来るんだけどな。


「そうよ!おかげでただただ残った全員でおしゃべりするだけの時間になったわ!」


「なかなか楽しい時間を過ごしたみたいじゃないか、樹里」


「うぐっ」


 自分の失言で言葉を詰まらせる樹里。


「で、おしゃべりをしていたら急にリアちゃんがカリーナさんの足をテシテシし出して。そしたらカリーナさんが急に戦いが終わったって言うから」


「なるほど。それでこっちにまでやって来たのか」


 多分、リアは影を使ってこちらの様子を窺っていたのだろう。それで俺の戦闘が終了したのを確認してカリーナさんに知らせる。カリーナさんはリアの合図でなんとなく俺の方に進展があったと判断して様子を見に来たと。そういう感じかな?


「そうよ!この不手際は今度何かしらのお詫びがあると思ってもいいわよね!」


「樹里、何かお前意地汚いっていうか、メリット・デメリットに関してセコい」


「⁉」


 俺の一言でショックを受ける樹里。あぁ、その場で崩れ落ちてしまった。っていうか、そこまでショックを受けるようなことか?「太ったね」とかなら男の俺でもショック受けそうだなって想像出来るけど、「意地汚い」とか「セコい」だぞ?精々怒るとかそのレベルじゃないの?


「孝希、あなた私が過去にどんなことがあったのか知ってるでしょ・・・」


「・・・あ」


「その反応、どう考えても今の今まで忘れていたでしょ!」


「悪い悪い。結構前の話だったからさぁ」


 樹里の親はかなりそういった利益第一と考える親だ。誇りとか一本何かしらの信念を持っていたらそんなことはないのだろうが、樹里の親はまさに真の利益こそ最上だと謳う利益至上主義者。どんな汚い手、姑息な手を使ってでも自分達の利益を上げようとするトンデモない親だ。昔はそのことに樹里が傷ついて色々と頑張ったっけ。まあ、親の性格の矯正とかは流石にただの子供であった俺にはどうしようも出来なかったけど。


 と、これ以上は別の話になるし、また今度にしよう。


「ともかく!これで依頼①は達成だ。これでレベリングに集中できるぞ」


「「「おー!」」」


「「・・・・・・」」


「ん?アメーシャもエリトゥナもどうしたんだ?」


 俺の掛け声に二人だけが反応しなかった。何かを考え込むかのようだ。


「ねぇ。タカキが戦った魔物って何だったの?」


「え?そりゃ主だよ。依頼①は主の討伐なんだから当たり前だろ?」


「主ってどんな魔物なのか、タカキは知ってる?」


「いや?でも、自分で直接戦ったんだから知ってるも何もないだろ?」


「じゃあ、もっと具体的に聞くわ。戦った魔物の名前は?」


「え?そんなのノーライフキングとノーライフクイーンだろ?」


「はぁ。やっぱり・・・」


 肩をガクリと落とすアメーシャ。一体何に対して肩を落としているのだろうか?普通は喜ぶだろ?依頼①達成的な意味でも、ハイエルフとしても。


「不思議そうな顔をしているから率直に教えてやろう。お前が倒したのは主ではない」


「はぁ!?どういうことだよ!?」


 俺は変なことを言い出したエリトゥナに問いかける。多少語尾がキツめなのは勘弁しておいてください。


「そもそもそんなゴーストタイプの魔物はこの聖域では発生しない」


「何を根拠に」


「曲がりなりにもここは『聖域』なんだぞ?そんな聖なる場所に邪な感情を持った生き物が入ってこれるはずがない」


「・・・た、確かに」


「だから普通はこの聖域にゴーストタイプの魔物がいること自体がおかしいし、もっと言えば魔物がいること自体がおかしいのよ」


 エリトゥナな言葉を引き継ぐように続けてアメーシャが説明してくれる。


「じゃあ、ここの主っていうのは一体何なんだよ?」


「そんなの、決まってるじゃない。邪なものを少しでも持っていたらダメなんだから、答えは一つでしょ?」


「ここの主は神獣だ」


 アメーシャとエリトゥナの言葉を聞いて一瞬でその場はシーンとなる。


「神獣?」


 俺は引き攣る顔で聞き返す。


「そうよ。神聖な生き物なら存在出来るんだから神聖な生き物が主に決まってるじゃない。むしろ私達としてはゴーストタイプの魔物がいたことの方が驚きよ」


「でも、樹里が夜になったら出現するかもなんて言ったときには特に何も言わなかったじゃないか」


「別にゴーストタイプの魔物がいるなんて一言も肯定した覚えはないと思うけど?」


 確かに思い返すとゴ-ストタイプの魔物だとは言っていなかったな。幽霊なんじゃないかって言ったときにも「言い得て妙」とかは言ってたけど肯定はしていなかった。


「た、確かにそうだな・・・」


 ちょっと釈然としないから不満げなのは許して欲しい。


「って、ちょっと待ってください。それじゃあ主は・・・」


「まだいるわね」


 カリーナさんの言葉にアメーシャが答えた瞬間、それ(・・)は聞こえて来た。


『ウォオオオオオオオオオンッ!!!!!』


「まさか、これが?」


「主だな」


 俺の言葉にあっさりと肯定するエリトゥナ。


 どうやらまだ依頼①は終わっていないみたいだな。はぁ~、仕方ない。それじゃあ第二ラウンド開始といきますか!




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