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第326掌 第三依頼開始 その3



 すっかり日も暮れ、フクロウが鳴き始める時間帯。


「さて。そろそろ頃合いか?」


 俺は把握スキルで俺が索敵出来る範囲を全て把握する。


「どうですか?」


 カリーナさんが聞いてくる。


「ああ。昼間の捜索が何だったんだってぐらいすぐに見つかった」


 本当にこんなにあっさりと見つけれるなんて・・・。この世界、地球のRPGの影響受け過ぎじゃないですかね?いや、年月的に言えばこっちの方に地球のRPGが寄せているのかもしれない。


「それでどうするの?」


「勿論、速攻で殺る。いつまでいるのかも分からないからな。今のうちに倒しておかないと」


「そうね。それで、どこにいるの?」


「聖域の奥の方だな。多分墓とかがある辺りにいると思う」


「そこまで分かるなんて、精度良過ぎじゃないの?」


 アメーシャがツッコんでくるが、スルーで対処する俺。


「それじゃカリーナさん、リア。皆の護衛は任せた」


「はい」「にゃー」


「最初に言われてたから分かってたけど、私達は今回も見学ってわけね」


 樹里はヤレヤレと首を振る。


「まあそうなるな。依頼③の方はきちんと参加していいし、レベリングしてくれればいいから」


「それがなかったもっとブーブー文句言ってたわ」


 樹里がフンッとそっぽを向きながらそう言う。


「それじゃ行って来る」


「怪我だけはないように気を付けてくださいね?」


 ミッキー先生が俺の心配をしてくれるのか、そんなことを言ってくれる。最近こう素直に心配されることがなくなって来たから結構こういうのは嬉しいかも。


「ああ!」


 笑顔でその場から飛び出す俺。


「で、ここに残されたわけだけど、私達ってどうやって見学するの?」


「「「「あ」」」」


 エリトゥナのそんな一言で全員がその場に固まったのだが、それを俺は知る由もない。




               ・・・




「ここら辺だな」


 駆け出して十数分。俺は目的の場所にやって来た。


「あれ?把握スキルだと索敵出来ているからこんな無防備な状態で出てきたら即襲って来ると思ったのに、姿すら見えないな」


 今でも反応自体はあるのに・・・。もしかして本当に幽霊とかそういう存在か?


「ちょっと確認してみるか」


 俺は幽霊、つまりはゴーストならば魔力を与えればあっさり顕現するかもという考えから自分の魔力を周囲に漏らす。


「おっ。把握スキルに反応している存在が寄って来た」


 なんか光に群がる虫みたいだな。俺も自分が虫に集られているような気分になってあんまりいい気分ではない。普通に幽霊に集られるのはいい気分になるわけもないのだが、虫の方が嫌なのは単純に幽霊より虫の方が嫌だからな。


「これって多分依頼③の魔物達でもあるよな。あんまり俺が倒すと皆の分が減るな。気を付けるか」


 俺は魔力に属性を付与する。水でいいか。


「これで俺に近寄っては来なくなるだろう」


 そう考えていたんだが、そうはいかなかった。幽霊達は急に切れた魔力を求めて俺の体に触れて来たのだ。


「なんか言い知れぬ不快感があるッ!」


 俺は風魔法を使って幽霊を自分の体から引き離す。


「どうやら魔力が通っていればこちらの攻撃は通用するみたいだな」


 っていうか、ジョールズ共和国でノーライフクイーンと戦っているのだから今更である。


「それじゃ主の方とご対面といきますか」


 俺はひと際大きい奥の広間へと移動する。どうやらここはかなり特別製のようだ。雰囲気とか墓の作りとかが他のものとは違う。多分、巫女とか長のような身分が高い奴の墓なのだろう。


「ここに気配を感じるってことはもう可能性を一つしか感じない・・・」


 どう考えてもここが主の住処ってことになる。


「―――――来たか」


 俺は一瞬にしてその場の空気が変わったことに気が付いた。そして次に何が起こるかもすぐに予想がついた。


「ああAaAAaあううUuauううああああAauaあああAAAあAAAッッッッ!!!!」

「ぐおおおOOおおOOおおいおいOううぅうあAAあAaaaおAaoッッッッ!!!!」


 おいおい。マジかよ。


「ノーライフキングとノーライフクイーンのツータッグですか・・・」


 俺は叫ぶ二匹を見てそう呟く。


「っていうかクイーンの方は倒したじゃん!なんで二回も戦わなくちゃいけないんだよ!」


 ついつい叫んでしまう俺。


「AAAああああああ」

「おおおおあOOOおお」


 漏らす声は以前と同じような感じでこちらの言葉が通じる気配はない。


「もういいや。今回は聖域なんていう閉鎖空間だから速攻で終わらせてやる」


 俺は水魔法を発動する。


「準備完了」


 今回、水魔法を選んだのは勿論、周囲に甚大な被害を出さないっていう意味合いもあるけど、他にも理由がある。それはこれからすることで証明しよう。


「まずは小手調べだ」


 水弾がノーライフキングの肩に被弾する。


「ぎゃああああAAAあAAあAaaaa!!??!?!??」


 水弾はそこまでの威力があったわけではないのに苦しみ出す。


「もういっちょ!」


 今度はノーライフクイーンに被弾。


「IAYAYAAAAAAAぁAAAAAAあァAAAああ!!???!?!」


 水魔法には他の属性とは少し変わった点というか、使いやすい点が存在する。それがノーライフなコンビが苦しんでいる理由だ。


「やっぱり聖水ってこういう魔物に聞くんだな~」


 そう。上位魔法ではないのに聖属性の魔法が使えるという点である。


 ま、この世界には聖水なんて教会に行けば山ほどあるからな。そんな大安売りがごとく聖水が存在しているのにはそういった理由があるのだ。


「それじゃあ色々と試させてもらおうかな。水魔法ってあんまりここまで使ってこなかったからちょうどいいし」


「「ひぃッ!」」


「ん?なんか普通の悲鳴が聞こえたような気が・・・気のせいか」


 そして色々と実験した後にはただの骸骨が二つと、水魔法が水氷魔法になったことを告げるファンファーレが鳴り響くだけであった。




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