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第325掌 第三依頼開始 その2



「こっちにはいないわよー」


「こっちもいませーん」


「こちらも同じくー」


 樹里とミッキー先生、それにカリーナさんの声が聖域に響く。


 この聖域に入って来てから捜索を開始したのだが、未だに主を探し出すことは出来ていない。


「どうやら入口近くにはいないみたいだな」


 俺は探している全員を見渡しながらそう結論付ける。


「っていうか、あなたも手伝いなさいよ」


 アメーシャはそんな棒立ちな俺を見て文句を言って来る。


「悪い悪い。でもサボっているわけじゃないから許してくれ」


「そうですよ、アメーシャさん。タカキさんは私達の中で一番の索敵スキルを持っています。それにこの中で一番強い。だからいざという時に真っ先に対応するために陣取っているんです。決してサボっているわけではありませんよ」


 うん。カリーナさんの言う通りだ。皆が全員見えて、それでいてすぐに助けに入れる位置に常にいることで危険度を下げているんだ、俺は。まあ、探している皆よりも体力的には楽だからある意味サボっていると言えなくもないけど。


「そうなの・・・。それならまあ仕方ないわね」


「でも、体力的に私達の方がツラいのは変わりないけど」


 俺の隣にいるエリトゥナが余計な一言をボソッと呟く。聞かれた相手は近くの俺だけだから他に聞かれることはなかった。


「おい。っていうか私達って、サラッと何もしていない自分も苦労しているメンツの中に入れるな」


 お前だって監督役って言って今何もしていないじゃないか。しかも俺の一番近くっていう最も安全な場所でふんぞり返っている。


「フンッ。まだ私はお前が私達よりも強いということを認めたわけではないからな!」


「はいはい。気弱な感じはアメーシャの前だけなのね。理解しましたー」


「私の話をちゃんと聞いているのか⁉回答が全く明後日の方向なのだが・・・」


「聞いてる聞いてる。それより、その主っていうのは具体的にはどんな魔物なんだ?」


「私達も分かっていないのだ。ただ、いつの間にか主はいた」


「なんだそれ。まるで幽霊でも現れたかのようじゃないか」


「言い得て妙かもしれないわね」


 本当になんだそれは。っていうか幽霊ってこの世界だとゴーストっていう魔物だろ?日本の最強種とでも言える生物?だが、この世界だとただの魔物の一種だ。そんなに怖がられもしない。俺もなんだか怖がっていた昔の自分を恥ずかしく思うのは気のせいだと思いたい。


「とにかく。最初に一番厄介そうで面倒そうなものを片付けるのは決定事項だ」


「でも、いくら探しても出てこないじゃないか。お前も索敵スキルとか魔法ですでに探せる範囲内は全て探しているのだろう?」


 エリトゥナの言う通りだ。すでに俺は把握スキルや探索、索敵用の魔法を使ってこの聖域全域を探している。しかし、見つけることは出来ていない。むしろ、依頼③である他の魔物すらもこの聖域にはいない。これってどういうことなんだ?


「何か条件があるかもしれないわね」


 樹里が俺達がいる場所に戻って来てそう言った。


「「条件?」」


「だって里の長達の策略ってわけじゃないんでしょ?」


「ええ。それは私が保証するわ」


 アメーシャも戻って来た。


「なら、聖域に何もいないっていうのはおかしいんじゃない?っていうことは他に主が出現するには条件があるんじゃないかしら」


「樹里、お前冴えてるな」


「こう見えてもRPGには多少は知識があるの。こういう時って大体何かしらの条件で出現するっていうのが相場じゃないかと思って」


「「あーるぴーじー?」」


「あー。そういう本があるのよ」


 不思議そうにするアメーシャとエリトゥナを額に汗を掻きながらそう言い訳する樹里。っていうか、俺がいるってだけでそういう知識系統で油断し過ぎじゃないか?


「仕方ないじゃない。今までそういう話をする相手がいなかったし、そんな話をする余裕もなかったんだから!」


 俺の表情で何を考えているのか大体分かったらしく、そう言って弁明してくる樹里。確かに自分よりも強い人間がパーティーにいるだけで心に余裕は出来るからな。樹里とミッキー先生は今までレベルが同じ仲間とずっとギリギリなラインで戦って来た。楽な場面なんてそうなかっただろう。だからこその気の緩みなのかもしれないな。


「そうか。全部終わったら家に招待して色々と労ってやるからな」


「なんで急に生暖かい目になるのよ?っていうか、急に優しくされると怖いんですけど」


「じゃあ招待はなし?」


「行く行く!行きます!孝希君、超優しい!」


 なんか取って付けたような感じがしないでもないけど、まあいいだろう。


「とりあえず、話の脱線はここまでにして。条件だけど、単純且つ簡単なやり方が一つある」


「何?」


 答えを聞いてくるアメーシャ。


「時間だよ。昼間にいないなら夜だ」


 これも知識的にはRPGから拝借したものだけどな。樹里もうんうんと頷いている。


「っていうか、崇められているって言ってもここは墓だ。つまり夜に関連性がある可能性が高い」


「じゃあ夜まで待ちます?」


 カリーナさんがミッキー先生を連れて戻って来る。リアは周辺の警戒を行っている。


「ああ。とりあえず、捜索を中断して休憩するか」


 早速休憩タイムに突入することになるのだった。




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