閑話1 召喚
やはり巻き込まれたクラスメイトは外せない要素の一つだなと思って入れました。
定番は欲しいですよね。やっぱり。話も広がりますし。
それではどうぞ!
目を覚ますとどこかの大広間にいた。などというお決まりのプロローグが流れる感じでこれは始まる。
その大広間には何人もの若者たちが倒れていた。しかし、ただ単に寝ていただけだったのか、すぐにポツポツと起き上がっていった。
次々と起き上がる若者たちは不思議そうに辺りを見渡していた。
「・・・・・・ここは?」
そんな呟きをする。
「ここは神国ライドークです」
その呟きに答えるように神官が言う。どこから現れたのかは若者たちは全く分からなかった。
「らい、どーく?」
若者の内の一人である女の子が国の名前をオウム返す。
「ええ。我々がここにあなた方をお呼びしたのです」
呼んだ?そんな疑問を全員に浮かんだ。
「私共の国は宗教を束ねておりまして、まさに宗教国家なのですが、近頃は魔族が何か動きを見せておりまして、何かを企んでいるようなのです。もしかしたら魔王が降臨してしまったのかもしれません」
魔王!と嬉しそうにする男子たち。ゲームでRPGをしている者たちからしたらまさに絶好のシチュエーションなのだろう。知らないところに喚ばれたことへの不安が消え去っていた。
そう。この集団はタカキが所属していた新しいクラスメイトたちだ。
「あの!それで私たちに何を求めているんですか?」
この集団のまとめ役になっている他の若者たちよりも少し年上の女性が聞いた。先生の皆川喜美だ。
「あなた方にはぜひ、魔王と戦う勇者になってもらいたいのです」
本当に定番だと思う男子。
「はいはい!やります!」
真っ先に反応する男子たち。あんまり乗り気じゃない男子は二、三人だ。女子も戦うのはちょっとと思い、反応も鈍い。
「わ、私もやります!」
女子の内の一人がそう言った。チラチラと男子の一人を見ている。その視線の先にはクラス一のイケメンである鈴村春樹がいる。真っ先に勇者をやるといった男子だ。男子につられて不安がなくなっていっていた。
他の女子たちもその思惑を理解し、次々に勇者をやると言い出す。しかし、その中で女子にも乗り気ではない者が数人いた。そのうちの一人が水崎樹里だ。クラス、というか学年でも有数の美人だ。実は彼女はタカキを知っているのだ。この集団の中でタカキを知っている人間は二人となる。もう一人は教師の皆川喜美だ。この二人はタカキがいないことに気がついたがためにより乗り気ではなかったのだ。
もしかしたらタカキはどこか別の場所にいるのではないか?と思い、探しに行かなければと思ったのだ。それに、この神官ひいては国が本当のことを言っているかも分からない。そう判断した二人は勇者をやらないことにした。
「すみません。私共の中には戦いに不向きな者もいます。その者は別行動として各地を回りたいのですが」
「ふむ、そうですね。確かに貴女の言うことも一理あります。分かりました。勇者はこんなにたくさんおりますので、何人か抜けても構わないでしょう」
そう判断した神官は許可を出した。
「それでは皆さん。戦うことが出来ない人はこちらに来てください」
そう言った皆川喜美の周りに数人の男女が集まる。若干女子の方が多いのは仕方のないことだろうか。その中には水崎樹里もいた。その様子を見て残念そうにしている男子たちが大勢いた。
「先生。谷上君がいませんよね?」
「ええ。水崎さんも孝希君のこと知っていたんですね」
「孝希君?」
教師の皆川喜美がタカキのことを名前で呼んだので疑問に思う。
「あ!去年よくしてもらった人の一人だからつい」
「そ、そうなんですか」
何故かちょっと気まずい空気になる二人。
「その話は置いておきましょう。それで孝希君ですが、恐らく別の場所、もしくは地球にいるのではないでしょうか」
「もし、地球にいるのならいいですけど、ここにみんないるってことはその可能性は低いですね」
「ええ。だから探しに行きたいと考えています。それにこの国は少し胡散臭いので」
元も子もないことを言う教師。そんなんでいいのかとも思うが、教師も人間なのだ。しょうがない。
「もういませんね!」
神官が聞いてくる。すでに二グループに分かれていた。やはり勇者側の方が多い。反対側は教師の皆川喜美も合わせて十人しかいない。勇者側は二十人以上だ。
「これで決まりですね。こちらの皆さんには勇者として我らの国で活動してもらいます。よろしくお願いします」
『『『『『はい』』』』』
「こちらの皆さんは必要なものは用意しますのでどうぞお気をつけて」
『『・・・・・・』』
あまりに呆気なさすぎる対応に茫然としてしまう十人。だが、そのうちの二人は逆にありがたいとも考えていた。ここで強制されて何かをさせられる可能性もあったからだ。
「分かりました。それでは明日、出発させていただきますので物資の方をお願いします」
「はい。それでは勇者の皆さまはこちらへどうぞ。残りの住人の皆さんは案内を寄越しますので少々お待ちを」
「はい。ありがとうございます」
そう言って神官と二十数人は奥へと向かった。おそらくこれから王と謁見するのだろう。
周りに誰もいなくなったのを確認して皆川喜美は九人に話しかけた。
「皆さん。ここにいるのは戦うことが嫌な人であると思います。ですが、何かしらで戦わないとおそらく生き残れないでしょう。それはこの異常な状況が証明しています」
「一体、何なんですか?この状況は」
「おそらく、地球ではないどこかだと思われます。ライドークなどという国は地球には存在しませんから。それにこんな建物も見たこともありませんし」
そう言われ、みんなは辺りを見渡す。
「たしかに」
「ところで、皆さんは谷上孝希君を知っていますか?」
タカキの名前を出す皆川喜美。
「ああ。知ってますよ。一年の時に色々有名だったクラスのリーダーだった奴でしょ?」
なにそれ?と一瞬思う水崎樹里。表情も困惑している感じである。
「あれ?水崎さんは知らない?去年の皆川先生のクラスのこと」
女子の一人が言う。
「知らない。私、家庭の事情でしょっちゅう学校を休むことがあったから」
「そっか。じゃあ、しょうがないね。あのね。谷上君と谷上君の去年のクラスメイト達はなぜか一年の最初の入学式の日からみんな仲良しで、逆に異常だとも言われていたクラスなの。それから何を成すのも無茶苦茶。テストでは異常な高得点の平均点を出すし、クラス対抗や学年行事ではいつも一番で目立ってたし、テレビ見てたら出演していたこともあったわ。でも一番驚いた、というか凄さを実感したのは学園祭でのゲスト招待かな。ギャラ無しで滅茶苦茶豪華な有名人たちが来てくれたから」
「す、すごいわね」
「本当に。皆川先生は誰から聞かれてもどうしてそんなことになったかを教えてくれないし」
「あ、あははは」
苦笑いの皆川喜美。
「そんなクラスのリーダーなのよ。うちの学校では有名人だわ」
「その谷上がどうしたんですか?」
男子の一人が聞く。
「いないの」
「え?」
「確認してみたけど、孝希君以外の全員はちゃんといるのに孝希君がいないの」
「マジッすか?」
「ええ。だから、もしかしたら別の場所にいるかもと思ってね」
「じゃあ、このグループの目的は谷上と合流ですか?」
「ええ」
「確かに、あいつがいるだけで安心しますわ」
男子は心底そう思うといった顔だ。他のみんなもうんうんと頷いている。
「???」
その中で困惑する水崎樹里。彼女は昔、タカキと交流があっただけで、今の彼とは接点が何もなかった。自己紹介で初めて一緒の学校に通っていたことを認識したぐらいだ。だからみんながどうしてそんな感じになるのか理解できない。
「ともかく、みんな。そういうわけだから一緒に頑張りましょう」
「それで、これからどうするんですか?」
女子の一人が聞く。
「とりあえず、隣国を目指そうと思います。この世界の情勢とかを聞かないと身動きが取りにくいから」
分かりましたと頷く生徒たち。
「ともかく、行動するのは明日からだからみんな、今日は難しいと思うけどしっかり休んで」
『『はい!』』
この次の日、二十数人の生徒たちを残して十人は旅立った。
これはタカキがこの世界に召喚された次の日の出来事である。
読んでくれて感謝です。
閑話はあと、一、二話ほど続きます。
もし、調子が良かったらすぐに書けるかもですが、作者はやっぱりタカキ君たちを描きたいと思っているのでどうなるかは分かりません。まあ、調子が良かったら今日中にまた投稿しますので。それでは!




