第309掌 第二依頼の内容はちょっとあからさま過ぎ
先日、ついに200万アクセス突破しました!
読んで下さっている皆さん、ありがとー!!!!!
アメーシャの家で帰って来た三人はソファや椅子でダラけきっていた。
「あ~。つかれた~」
「公務員がまさか屋台の真似事をするとは・・・」
「なんだか懐かしい気持ちになりました」
三人ともグロッキー状態のようだ。カリーナさんだけちょっと嬉しそうだけど。
「皆お疲れ」
「っていうか、なんであなたはそんなにピンピンしてんのよ」
アメーシャがそんなことを言ってくる。
「ああ。昔、結構な人気店が実家の友人の店にアルバイトをしに行っていたことがあってな」
「あの~。うちの学校はアルバイト禁止だったはずなんですけど~」
ミッキー先生が伸びきった声で訴えかけてくる。
「まあ、繁忙期に友人の頼みで手伝っただけだし。それに報酬も金銭ではなく、その店の無料券を何枚か貰っただけだし」
タダで食べられる時点でお金貰っているのと似たようなものだけどな。
「そ、そうですか」
「それより、これで依頼は全部解決したわね」
「ええ。これで霊薬を貰えますね!」
樹里とミッキー先生は嬉しそうにしているけど、それはまだ先のことだ。
「あのー。何か勘違いしているみたいだぞ」
「「え?」」
俺はダメージが少ないうちに訂正しておく。
「この依頼を書いているリストに書かれているけど、これ第一依頼の全てが終わっただけだよ?」
「「え?」」
「そもそもそんな簡単に信頼と言うか、そういうのがここまで排他的な里から貰えるわけないじゃん」
「で、でもあんなに私達のしたことで喜んでくれたわよ?」
「あれが喜んでいるっていうのは間違っていないだろう。まあ、もしかしたら一般のハイエルフ達は信頼までとはいかなくても信用はしてくれているかもしれない」
「な、なら!」
「樹里。それで納得させられるなら俺達はここまでややこしいことをやってはいない」
里の一般的なハイエルフ達の信頼を得るだけでいいなら俺はわざわざ依頼という形ではなく、里のハイエルフ達の目に見える場所で適当に信頼を得れるように動く。
「俺達が霊薬を手に入れられるために「まあ、いいだろう」と思ってもらわなくちゃいけない相手は長とかそういう連中だ」
「そ、それは確かに」
「そんなわけで俺達はミクスが次の依頼を持ってくるのを待っている状態ってわけ」
俺達は戻ってきた時点でアメーシャに頼んでミクスに新しい依頼を持ってくるように言ってある。だから本当に後は待っているだけなんだが・・・。
しかし、そろそろ夜も深まってくる時間帯だ。いい加減新しい依頼書を持って来てもおかしくはないはずなんだが・・・。
「アメーシャ様!ただいま新しい依頼を持ってまいりました!」
そうなことを考えていると、ミクスが家の扉を開けて依頼書を持って戻って来た。
「ミクス、ご苦労様。それじゃあ早速見せてもらえる?」
「はい」
そうしてアメーシャに依頼書を渡すミクス。そしてアメーシャはその依頼書を広げてテーブルの上に置いた。
「どれどれ」
そんなわけで俺達はその広げられた依頼書に早速、目を通す。
「うわ~~」
「これは・・・」
「ここまであからさまなんて正直ちょっとムカつくわね」
「流石に酷いと思います・・・」
「私でもこれは流石にどうかと思うわ」
俺を始め、カリーナさん、樹里、ミッキー先生、アメーシャまでもが依頼書の内容に引いている。
①ハイエルフの森のさらに奥の魔の森に生息している『マッドドラゴン』を十体討伐せよ。
②魔の森に生息している『エルダートレント』を二十体討伐せよ。
③魔の森に生息している『ドレイクキャット』を五体討伐せよ。
④魔の森にある『ネネファルトの根』を五本採集せよ。
⑤魔の森にある『ツルーフェの葉』をあるだけ採集せよ。
⑥魔の森の奥地に生息していると言われている『エルダードラゴン』の鱗と爪を採集せよ。
これが第二依頼の内容だ。
「どう考えてもこれって死んで来いって言っているようなものよね?」
アメーシャは額に手を当ててヤレヤレと頭を横に振っている。
「どう考えても私達に霊薬を渡す気はないってことよね?」
樹里が悔しそうな表情で依頼書を睨みつけている。
「ど、どうするんですか⁉私達のレベルじゃこんな高難易度の依頼を達成することなんて出来ません!」
ミッキー先生も慌てふためいている。
「あ、あの。タカキさん・・・」
「分かっているよ、カリーナさん」
俺はカリーナさんの言葉に肯定の意味を込めて返事をする。
「ちょっとミクス!第一依頼と毛色が違い過ぎるじゃない!どうしろっていうのよ、これ!ハイエルフの私達にも出来っこないものばかりじゃない!」
「確かにアメーシャ様の言う通りです。しかし、この中のいくつかの依頼は彼らのためのものでもあるのです」
「どういうこと?」
「はい。この依頼書に書かれている採集依頼の物は全て霊薬に必要なものです。それにエルダートレントの死骸も」
「なるほど。欲しいなら材料ぐらい自分達で集めてこいってことなのね」
「はい」
「本当に頭固すぎて腐ってんじゃないの⁉ここの長達は!」
「まあまあ。そこら辺にしておけ。別にいいさ。これくらいなら俺とカリーナさんで行ってくるから」
「「「え?」」」
ミクス以外の三人が俺の言葉を受けて固まる。
「どうしてそんなに驚いているんだ?ここまで露骨になって来たってことはこれで依頼は終了ってことだろ?それなら全力全開でサクッと終わらせて来るさ」
「ど、どうするつもりよ」
樹里が恐る恐る聞いてくる。
「どうするも何も。全部俺とカリーナさんで達成してくる。それにこれはカリーナさんの良いレベルアップになるしな」
ちょっと他のパーティーメンバーよりレベルが低いからな。ここで差を詰めておきたい。
「それじゃ俺達は明日に備えてもう休むから。おやすみ~」
「お、おやすみなさい!」
俺は何か言われる前に話を切り上げて自分に割り振られた部屋に入る。カリーナさんもそれに続くように自分の部屋に戻った。
後には茫然とした四人だけが残されていた。
読んでくれて感謝です。
感想・評価・ブックマークをしてくれると嬉しいです。
よろしくお願いします!




