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第307掌 第一依頼⑤開始 その2



 俺が作った料理を皆が食す。


「どう?」


「「「「お」」」」


「お?」


「「「「おいしい!」」」」


「それはよかった」


 まあ、何でも作れるわけじゃないんだけどな。


「どこでこんなの作れるようになったのよ」


 樹里が不思議そうに聞いてくる。


「一年前にちょっとプロの料理人と知り合いになってな。その際にそれぞれのジャンルの料理を一つずつ教えてもらったんだ。だから各ジャンル一品ずつなら作れるぞ」


「何なのよ。一体高校入って一年間、あなたは何をしてきたのよ・・・」


 疲れた様子の樹里。それを見ているミッキー先生は苦笑いをするしかないようだ。


「いや、そんなこと言われても・・・。俺も好きで色々とやっていたわけじゃないし」


「好きでやっていないでここまで色んな事に手を出せるわけないじゃない!」


「すまん。これは本当に色々とあったとしか言えないんだ」


「そうですね。こればっかりは孝希君も大変でしたし、説明しようとしたら色んな人の許しを貰わないといけないものもありますから」


「だから一体何をやったって言うのよ⁉」


 ミッキー先生のフォローのせいで余計に樹里の中で謎が生まれてしまったようだ。


「まあ、いずれ話せる機会もあるだろうし、今は気にしないでいいさ」


「絶対に話してもらうからね」


「ああ。話せる範囲のことならな」


「約束よ!」


「はいはい」


 そんなわけで完全に異世界組を置いてけぼりで地球の話をしていたので軌道修正。


「ともかく、これで俺の料理の腕は分かってもらえたな?」


「うぅ・・・。これは認めるしかないわ」


「それじゃあ後は頑張ってくれ。味見役としてアドバイスとかならするし、ハイエルフの口に合うかどうかは同じ味見役のアメーシャがやってくれる」


「そうですね。それなら特に問題点とかもないし」


 ミッキー先生は結構自分の料理に自信がなかったのか、ホッとしている。まあ外人にいきなり自分が作れる範囲の日本食作れって言われているようなもんだもんな。本番までに色々と試せるのはありがたいことなのだろう。


「それじゃまずは何を作るかだな。アメーシャ。ハイエルフが食べれないものとかあるか?」


「それ、「まーぼーどーふ」を作る前に聞きなさいよ。まあいいわ。そうね。食べれないわけじゃないけど、やっぱり肉とかは少し苦手と言うか、避ける傾向があるわね。他にも味付けがかなり濃いものとかはきついかもしれないわ」


「あれ?それじゃあ麻婆豆腐は?」


「あれは私が外界で色々と見聞とかを広げていたからおいしく食べれただけ」


「なんか都合がいいけどまあいいや」


「逆に甘い物とかなら全然いけると思うわ」


「なるほど。お菓子ですか」


 カリーナさんが呟く。カリーナさんはミサとかでお菓子とかも作ったことがあるのだろう。少し自信がありそうだ。


「ただ注意が必要なのは、ハイエルフはエルフ以上に山菜を食べているわ。だから生半可な山菜料理を出すとキレる可能性がある」


「なんでキレるのよ・・・」


 樹里が呆れている。


「生きている年数も長いからそれはもう凄まじい量を食べているのよ。それこそ色んな料理を研究してどれだけおいしく食べれるのかを考えながらね」


「どこに情熱を捧げているのよ・・・」


「娯楽もないような場所だからね。こういうこだわれる部分は可能な限り極限までこだわるのよ」


 なんとも残念な理由のこだわりである。


「それじゃあ山菜料理は外した方がいいかもね」


「そうですね。下手に刺激して全部おじゃんにはしたくありませんし」


「私は皆さんがそれでいいなら」


 樹里が話の舵取りをしてくれ出した。そんな樹里の発言に同意するミッキー先生とカリーナさん。


「それでいて肉を使わず、簡単で美味しい料理・・・か。そんなのあるの?」


 いきなり舵取り放り投げたな、おい。


「魚料理はどうでしょうか?」


 カリーナさんがおずおずと発言する。


「いいわね!魚なら色々と出来そうだし」


「いや、ダメよ。肉全般がダメなのよ?エルフなら魚までならいけるかもしれないけど、ハイエルフまでなると魚も肉としてカウントしてしまうくらいには偏食になっているわ」


「面倒くさいわね!ハイエルフって!」


 全く持って同意である。


「となると、調味料とかに頼ったものか、孝希君がさっき作った麻婆豆腐みたいに豆腐とか野菜とかを原料に作った食べ物を料理に使うしかないですね」


「そんなのあるの?」


 樹里がお手上げ状態で不安げにミッキー先生に問いかける。


「いくつか候補はあります」


「「「おおっ」」」


 女性陣が期待からか、感嘆の声を上げる。それでいいのか、乙女達よ・・・。


「まずはお菓子。これなら逆に肉などを使うと微妙なものになりかねないのでかなりいい線を狙えると思います」


「そうね。それは同感だわ。作れるかどうかは置いておくけど」


「そして次がスープ、シチュー類。これが本命ですね」


「あ、そっか!」


 樹里は色々な可能性に気が付いたようだ。


「私達の国だとスープってだけでもそれはもう色々な種類があるわね!」


「そうです。そしてシチュー類にもなれば、カレー、クリームシチュー、ビーフシチュー等々があります」


 そうだな。カレーも単体なら肉を入れなくてもいいし、米を使ってカレーライスにしても肉類は全く入っていないから大丈夫だ。それにシチュー類は主食によってその様相を変化させることが出来る。カレーライスを始めとしてカレーうどん、カレーパン、グラタン。あ、ハヤシライスとかもいけるかもな。


「なんだかいけそうな気がしてきた!」


 樹里がやる気をみなぎらせていく。


「まあ、樹里は戦力外なんだけどな」


「それは言わないでよ!」


「だ、大丈夫ですよ。手伝いとかはしてもらいますから」


 ミッキー先生が慌てて樹里のフォローをする。


「それじゃあ試作を始めますか」


 そして第一依頼最後の依頼を俺達は開始したのだった。




読んでくれて感謝です。

感想・評価・ブックマークをしてくれると嬉しいです。

よろしくお願いします!


来週は月曜日が祝日なので更新は火曜日からになります。

今度こそは間違えませんからね!

そういうわけでまた来週お会いしましょう!

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