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第31掌 騒動終了

今回でようやくベルルク編終了です。

長かった・・・。まさか二十一話分もやるとは思ってもみなかったです。

それではベルルク編最後の話をどうぞ!



「むっ?そこにいるのはデリルとダンガじゃないか」


 どうやら支部長はダンガとも知り合いらしい。


「なにがあったんだ?」


 そう言って支部長の後ろから支部長と同じくらいの年齢の女性がギルドに入ってきた。


「副支部長!」


 おおう。このギルドのトップたちじゃないか。っていうか今までどこにいたんだよ。


「まったく。緊急依頼が出たと聞いて急いで王都から戻って来たのに、これはなんの騒ぎだ?」


 イケメン支部長はヤレヤレと首を振る。


「支部長。デリル、大怪我をしています。どうやらそこの少年にやられたようですが」


「そのようだね」


「支部長と副支部長さんだっけ?悪いけどここにいるギルド職員は全員俺が粉々にするから邪魔しないでね」


「おいおい。マジでキレてないか?タカキの奴」


 ダンガが若干引いている。失礼な。これでも抑えているんだぞ。こんなので引かないでくれ。普段、あんまり怒るってことがなかったから結構過激になっているだけだ。


「悪いがそうはいかない。ここにいるのは俺の部下達だ。勝手に手を出されては支部長である俺の沽券に係わる」


 助かったと表情を緩めるギルド職員たち。だが、気を緩めるのは少し早いぞ。


「あんたの部下だと思っている奴はここにはいないさ」


「どういうことだ?」


「ここにいる連中はそこにいるシャーリを除いてデリルの企みに加担していたんだから」


「企み?」


「ああ。この町で緊急依頼があったことは知っての通りだが、どういう結末になったかは知っているか?」


「いや、知らない」


「冒険者は俺と俺の仲間、それにそこに転がっている二人と低級冒険者数人を除いて全滅さ」


「なにっ⁉」


「デリルが少ない情報だけで危険度の高い依頼を出し、演説で受けさせるようにコントロールしたんだ。結果はこの緊急依頼の元凶に冒険者の死体を持って行かれてしまうという大失態さ」


「それが本当なら確かに失態だが・・・」


「それに、緊急依頼を断った俺がその依頼を完遂したんだが、その力を欲しいと俺の仲間を誘拐するという手段にまで出やがった」


「・・・・」


「それで俺がここまで来てその報復をしたってことさ。これだけ言えば俺が何が言いたいのか分かっただろ?」


「ここにいる者は全員デリルの共犯者であり、同時にギルドに対する裏切り行為を犯している」


「そういうことだな」


 ギルドの規則の方は知らないけど。


「状況は分かった。だが、この者たちの処分は俺に任せてはもらえないだろうか?」


「・・・構わないが」


「本当か!ありがたい!」


「だが、中途半端なことはするなよ。俺はどんなところからでもこいつらを殺せるからな?」


「それは君の固有スキルかい?」


「それはあんたが俺と仲良くなったら教えてやるよ」


「それはいいことを聞いた。よし。ここにいる者たちは犯罪奴隷に堕とす。いいな、ホーリー?」


「はい。さっそく手続きをしてきましょう」


 そう言って副支部長はギルドの奥に消えた。おそらくここにいる者たちの個人情報などが記載された書類などを持ってくるのだろう。


「これでいいかな?」


「ああ。そこまでするなら俺は構わない。本来はこいつと同じように四肢を粉々にするところだったが」


 まあ、人生を奴隷として過ごすのだ。俺が手を下すよりもきついかもしれないな。ギルド職員も顔を真っ青にしているし。


「ひぃ!」


 そうしていると一人の職員が恐怖に負けて外に駆けだした。


「貴様!」


 支部長は逃走をした者を捕まえようと同じように外に出る。


 おいおい。せっかく死なずにすんだかもしれないのに。


 俺は全掌握を使う。


「ぐがっ!」


 外からはそんな短い悲鳴が聞こえた。少しすると支部長が逃げた者を抱えて戻ってきた。その顔は深刻そうだ。


「まさか本当に殺せるとはな」


「だから言ったじゃないか」


 支部長は何とも言えない気持ちでいっぱいだろう。


「準備が整いました。・・・?何かありましたか?」


「ああ。ベベの書類は必要ない。先程逃亡につき、死亡した」


「は?」


「罪から逃げたのでそこの少年が始末した」


「は、はぁ」


 展開の速さについていけないと言った感じの副支部長。まあ、帰ってきたら一人死んでるんだもんな。しょうがない。


 その一部始終を見ていたシャーリを含むギルド職員たちは顔をより一層真っ青にしていた。一歩間違えば自分もこうなっていたのかと思い知ったのだ。まあ、奴隷になることは確定しているんだからどっちにしろ似たようなことになるだろうけども。


「私を助けていてよかったね」


 リリアスがシャーリに向かって話しかける。そのリリアスの言葉に首を縦にブンブンと振るシャーリ。まあ、いくら顔見知りであっても容赦はしなかっただろうからな。


「それで、これからどうするかね?」


「ん?」


 支部長が俺に話しかけて来る。


「ああ。これから俺とそこにいるダンガとリリアスはこの町を出て王都に向かう。俺の目的を達成するにはあちこち旅しなきゃいけないからな」


「そうか。出来ればギルドが安定するまでいて欲しかったのだが・・・・・・仕方ないな。分かった。こちらとしても色々と迷惑をかけた。旅に必要なものはこちらで用意しよう。何でも言ってくれ」


「おお!そうか。助かるよ。なんせこっちはほぼ初心者の集まりだからな」


「初心者?」


「ああ。言っていなかったか。俺と仲間のリリアスはG級冒険者なんだ」


「はい?」


 俺の言葉に呆ける支部長と副支部長。そこまで変なこと言ったか?


「ガハハハハッ。こいつらは戦闘力がハンパじゃないんだ、支部長」


 ダンガがフォローを入れる。


「そ、そう、か?」


「ああ。だから気にしなくていい」


 その会話は釈然としないな。


「なら、気にしないでおこう。ダンガは信頼できるからな」


「おお。助かる」


「随分と仲がいいんだな」


 俺の言葉にキョトンとした表情のダンガと支部長。


「ああ。支部長とは一緒にパーティーを組んでいた仲だからな」


 おお!まさかのここで新事実。ダンガ、あんた本当に何者なんだ。まあ、俺が言えた義理じゃないけど。


「そ、そうか。まあ、そこら辺はまた追々聞かせてくれ。とりあえずここは支部長たちに任せて戻ろうぜ?な?リリアス。」


「は、はい!・・・・・・」


「ん?どうかしたか?」


「あ、あの。怒ってませんか?」


 上目遣いで見てくるリリアス。


「怒ってないよ。まあ、今回のことでリリアスを鍛えておかないといけないなとは思ったけど」


「そ、そうですか!」


 俺の言葉に嬉しそうにするリリアス。


「よかったね、リリアスさん」


「うん!」


 なんか、よく分からないけど。まあ、リリアスが嬉しそうならいいか。


「さ、帰ろう」


「ああ」

「はい!」


 長かったベルルクでの日も終わりだ。準備ができ次第、フェルゲンに出発だ!




読んでくれて感謝です。

次は出発の話をしようかなと考えています。

これからもよろしくお願いします!

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