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第30掌 実はキレてる

二話目投稿っす。

せっかくの休日。せっせと執筆します!

それではどうぞ!



 ギルドの中に入るとデリルが悠然と待ち受けていた。他のギルド職員も何人かいたが、この時点でいるってことはデリルの仲間なんだろう。しかも、明らかにギルド職員じゃない人もいる。おそらく冒険者だ。結構ガラも悪いな。


「おいおい。冒険者は先の緊急依頼で低級以外の冒険者はいなくなったんじゃないのか?」


 装備が明らかに高級冒険者なんだけど。


「こいつらは俺の仕事を手伝ってくれる優秀な部下なんでな。緊急依頼には出ないでもらったんだ」


 子飼いの冒険者ってことか。その装備にも納得だ。けど、仮にもこのギルドで三番目に偉いやつのすることじゃあないな。


「それで、リリアスを攫ってどうするつもりなんだ?」


「そんなの簡単だ。君に私の部下になってもらうためだよ」


「おいおい。こんなことやって俺がお前の部下になると思ってんのか?」


「仮にも支部長補佐相手に言う言葉遣いじゃないな」


「こんなことをしでかす相手に敬意を払えるわけないだろ」


「これから私の部下になるんだ。今のうちに私に対してご機嫌を窺っていた方がいいんじゃないか?」


「悪いがその予定は一切ないな。俺達はこれが終わったら町を出る」


「俺もそれに合わせて出発するか」


 ダンガがタカキの言葉に付け加える。


「お!それいいな!まさに仲間って感じだし。準備の間ぐらいなら待つよ!」


「おう!悪いな」


「気にすんなよ」


 途中からデリルを無視して盛り上がる俺とダンガ。無視されているデリルはものすごくイラついているようだ。


「君たち!ふざけるのはいい加減にやめてくれないか!」


「おおう。すまないな」


「わりーわりー。やっぱり冒険してるって感じるとテンションが上がってさー」


 さらに俺達の言葉にイラつくデリル。


「タカキ君!君が私の部下になると言うならリリアス君を返してあげよう。だからこれからは僕と甘い汁だけ吸って生きていかないかい?」


「悪いな。すでに俺はお前よりも偉いやつの部下になってるんだ。格下のお前に仕える気はさらさらない」


 まあ、こんなんでも一応、神の使徒ですから。


「なら、仕方がない。リリアス君はこちらで好きに使わせてもらうよ」


 どうやら俺の言葉を断るための方便だと思ったらしい。一応、本当のことなのに・・・。


「ああ。それなら悪い。リリアスはもうこっちに返してもらっているから」


「なに?」


「おいおい。俺が無策でここに来るとでも思ってたのか?」


 まあ、実際に無策だけど。


 リリアスはすでに把握済だ。ここから掌握して連れてくることも出来る。っていうか、すでに今、こっちに向かってきてるし。


「くっ!あいつを拘束しろ!」


 デリルは部下の冒険者に命令する。


「まったく。お前が俺はA級冒険者以上って言ったんだろ?そんな奴相手にC級二人でどうにかなるとでも思ったのか?」


 こちらに真っ直ぐ向かってきた冒険者二人を掌握で動きを止め、がら空きになった腹に瞬時に一発ずつパンチを入れる。


 俺のパンチはステータスがデタラメだからな。ものすごい勢いで俺の立っている場所から左右に吹っ飛んだ。


 吹っ飛んだと同時に<詐術を掌握しました><隠密行動を掌握しました><暗殺術を掌握しました>というアナウンスが。スキルが後ろ暗すぎるだろ。今までどんだけ非道なことをしてきたんだ?こいつらは。掌握しても、使い処が限定的すぎるから使いづらいわ。


「タカキさん!」


 二階からリリアスが走って出てきた。


「おう!待たせたな」


 そのまま二階から降りてくるリリアス。その後ろにはシャーリもいた。


「その様子だと仲直り出来たのか?」


 俺がリリアスにそう聞くと


「はい!」


 元気にそう答えた。


「おいッ!シャーリ!」


 そんな俺達を尻目にデリルが大声でシャーリの名前を呼ぶ。


「っ!」


 その声にシャーリはビクッと反応した。


「お前を拾って夢を叶えさせてやった恩を仇で返すとはいい度胸じゃないか!」


 シャーリがリリアスを連れてきたことにかなりお怒りのようだ。顔も真っ赤になってる。


「お前はもうクビだ!そこの奴ら共々ギルドに逆らった罪で粛清してやる!」


 なんだよ。その昔の風紀組織みたいなノリは。


「お前さ。忘れたの?お前の手駒を俺が倒したこと。残ったひ弱なギルド職員たちに何が出来るの?」


「甘く見るなよ。俺はこれでも元A級冒険者なんだよ。さっきの攻撃だって普通に見えていた」


 マジか。ダンガからは何も聞いてねえぞ。そう思ってダンガに目を向けると申し訳なさそうにしていた。


「すまん。昔パーティー組んでたんだ。言い忘れてた」


 そんなお茶目は求めてない。


「じゃあ、ダンガのステータスと同じくらいはあるってことか」


「ああ。そうだ。だから気をつけろ」


「おう。まあ、油断はしないでおくよ」


「同等の力を持つ俺には経験というアドバンテージがある。お前に負ける道理はない」


 おいおい、めっちゃ油断してるじゃん。よくそれで経験がアドバンテージなんて言えたな。


「まあ、そんなの関係ないけどな」


 俺はデリルを掌握する。それで動きが完全に止まる。


「なにっ⁉またこの感じか!どうなっているんだ!」


 もがいて何とか動こうとするデリル。だが、その程度では俺の掌握からは逃れられない。俺が掌握できない何かを持っていたら掌握を解除できるかもしれないが、仮にも神からもらったスキル。同じ神でないと掌握からは逃げられないだろう。


「それじゃ、お前にはそこで俺のパンチを喰らって気絶している二人よりも苦しんでもらうか」


 俺はデリルの近くまで行ってニコリと笑いながらそう言う。


「ひっ」


「俺が仲間を攫われて簡単に許すとでも思っているのか?そんなわけないじゃん」


「た、助けてくれ!」


「嫌」


「頼む!」


「だから嫌」


 デリルの懇願に断固聞く気がない俺は全部拒否。


「あと、ここにいるギルド職員の皆さんも同じ目に合わせますから。覚悟しておいてくださいね」


 俺のその言葉にあちこちから悲鳴が上がる。


「逃げても無駄だから。すでにお前たちは掌握済み。どこへ行っても俺から逃れることは出来ない」


「タカキさん、かなり怒ってません?」


 俺がギルド職員を脅していると後ろでリリアスたちが呑気に会話をしていた。


「ああ。余程お前さんが攫われたのにキレているんだろうな」


「そ、そうなんですか?」


 シャーリが俺にビビりながらダンガに聞く。


「ああ。それだけリリアスが大切なんだろうよ」


「そ、そうですか・・・」


 顔が真っ赤のリリアス。おいおい。確かに大切だけど、恥ずかしいことを言うなよ。こっちまで顔が赤くなっちまうじゃねえか。


 そんな呑気な三人は放っておいてっと。


 俺はデリルの両手両足を複雑骨折させる。簡単に言うと、肩から手までと腰の付け根から足先までを握りつぶした。


「ぎあああああああああああああああああああああああああああああ!?!?!!!??!?」


 おおう。うるさい。周りのギルド職員たちはその様子を見て恐怖でガチガチと歯を鳴らせてブルブルと震えている。まあ、これを自分も味わうと思うとそうなるよね。


 俺が次の標的に向かって歩き出したその時。ギルドのドアが勢いよく開いた。


「この悲鳴、何事だ‼」


 そこには二十歳中頃のイケメンお兄さんがいた。


「し、支部長!」


 震えているギルド職員の一人が助かったと言った表情で叫んだ。


 おおう。なかなか登場しないと思ってたけど、ここで登場か。




読んでくれて感謝です。

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