第255掌 ついに(ちょっとだけ)登場する
本当は昨日の話と今日の話はくっつけたかったんですが、時間がガチでギリギリだったのでこんな中途半端になっちゃいました。
視界が晴れたときにはすでに正体不明のモンスターの姿はなく、ただクラスメイト達がその場に倒れているだけとなった。
「みんなっ!」
喜美は急いで下に降り、一番近くにいた樹希に近づこうと駆け寄った。しかし、その途中で喜美は樹里に止められてしまう。
「樹里さん!どうして止めるんですか!」
「ダメよ、先生。こういう時こそ冷静にならなくちゃ」
そう言いながらも樹里も辛そうな表情をしている。しかし、冷静さを失うことはなかった。
「でも!このままじゃ皆が・・・!早く手当てしないと!」
「とにかく。私がここに残るから、先生は助けを呼んできて下さい。出来れば風魔法を使える人を」
「・・・分かりました。でも、どうして風魔法が使える人なの?」
本当はこの場を離れたくない喜美は、ここでのんびりして判断を遅らせることは出来ないと考え、必要になるだろう情報だけを聞く。
「人が触れてどういった効果が出るか分からないからです。風魔法なら風で宙に浮かせて運べるし」
「そうね。それじゃあ、急いで行ってきます!ここをお願いね!」
「はい!」
喜美は全速力で駆け出していった。
その後、毒にやられたと考えられる四人は何とか学園にある治療施設に送られた。しかし、今までにほとんどの人が掛かったことのない毒に、治療には状態異常を全て治すことが出来ると言われるエルフの作る特別な霊薬が必要となり、喜美と樹里はこのことを聞いて呆然となるしかなかった。
なぜなら、彼女達はほとんどを地球での仲間としか交流していなかったからだ。しかも、エルフの特別な霊薬。学園に通っているエルフに作れるはずがなかった。運の悪いことに先生にもエルフはおらず、状況は絶望的であった。
・・・
神界・・・宇宙空間のような、しかし、どこか本物のものと比べると歪な空間に五人の者達が集まっていた。
「各地に放ったモンスターはどうなっている?」
「体だけは傷つけないように状態異常系のモンスターにしたんだよな?」
「ああ。もしかすると傷つけてしまったものの中に適応する体があるかもしれないからな。大切に、綺麗に殺さないと」
「それはいいんだけど、俺の所にアレが来るらしいぞ。どうする?」
「アリトスの占星術か・・・。それなら確かな情報だな」
「そうだとも!私こそ、我が神の行動の指針を献上することを許された至高の存在なのだから!」
「はいはい。それで?あちらの神が何かやっているらしいが、それとアレの行動は何か関係あるのか?」
「いや!テラコスの配下に用があるらしいぞ!なんでも、アレのことを慕う者にちょっかいをかけているのがお気に召さないようだ」
「俺の?ハハッ!アレもおかしな奴だな!下等種族に情など抱いて、面白いにもほどがあるわ!」
「仕方ないだろう!アレは元々下等種族から我らと同じ至高の存在になった者。元の種族を捨てることの出来ない軟弱者だ!」
「そういえばそうだったな。まあ、いい。アレについてはこちらで対処しておく。それで?さっきも言っていたが、あちらの神が行っているものについても聞いておきたい。何か分かるか、アリトス?」
「うむ!仮にも相手は我らよりも上位の存在!上手くは占うことが出来なかったが、多少のことは分かった!」
「ほう?」
「おっ!」
「流石は」
「プリマが抜けてからは唯一の紅一点。やるときはやるな」
「私をあんな依存症の強い狂った女と一緒にするな!不愉快だ!」
「「「「おおっ、こわ」」」」
「うるさい!それで?何かに使えそうなのか?そのあちらの神が行っていることが!」
「ああ。だが使えるといっても、もしもの時の保険だ。使わないに越したことはない。だから、その時が来たら話す」
「分かった!そこら辺の頭を使うのはセフィーロに任せる!」
「ああ。それじゃあ、今回はこれで解散だ。最後に忠告。特にテラコス」
「うん?」
「相手は我らと同格、潜在的には我らよりも力は上かもしれん。元下等種族だからといって油断するなよ。我らは我らの神の命運を預かっているに等しいのだから」
「はいはい。分かったよ」
そして、三人がその場から消えた。
「それで、アリトス?本当はどうなっているんだ?アレの行動は」
「どうなっているも何も!さっき言った通りだが?」
「確かに言った通りだ。しかし、言っていないことがあるだろう?」
「全く!セフィーロには隠し事が出来ないな!」
アリトスはセフィーロに向かってニコリと笑う。そして隠していた情報を開示する。
「アレが神具の一つを手に入れた!」
「・・・ほう。それはまた厄介なものを」
「まあ、まだどんな使用方法をするか分からないからな!テラコスで確認したいのさ!」
「流石は指針役殿だ」
「褒めても何も出ないぞ!」
「はいはい。それじゃ我らも自分の持ち場に帰るぞ」
「あーあ!我が神のためとはいえ、下等種族の仕事をやるのは面倒くさいなー!」
「我慢しろ。全員が我慢してやっているのだ」
そして、全員がその空間から消え、静寂が訪れたのだった。
読んでくれて感謝です。
感想・評価・ブックマークをしてくれると嬉しいです。
よろしくお願いします!
これでヤームロ帝国編は終わりになります。
次はそのまま閑話に入ります。




