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第250掌 お姫様の冒険者デビュー その7



 それから何度かダンジョンでモンスターと戦闘を行い、レベルアップまでしたサーラ姫とカレン姫。


 皆さんお忘れかも知れないが、俺のスキル、オール・ブーストで経験値も通常よりも多く貰えるからな。パーティーを組んでいる二人にも恩恵があるのだ。


「よし。ここまでにしよう」


「まだまだダンジョン探索したいです、ししょー」


「いや、ダメだ。これ以上は危険過ぎる。すでに二人が対応出来ない階層まで来てしまっているし、そうでなくても体力が限界だ」


 その証拠にサーラ姫の隣でカレン姫が息を切らしている。そうでなくてもこの熱気の中で戦って体力の消耗が激しいのだ。これ以上は留めざるをえない。


「それじゃあ、戻るぞ。カレン姫は俺がおぶってやるから」


「い、いえ。これくらい、何ともありません・・・から。気を遣わなくても結構・・・です」


 見るからに辛そうなのにそんなこと言われてもな~。サーラ姫はまだ近接戦闘型のステータスだからもうちょっと持つだろうけど、カレン姫は中・遠距離戦闘型のステータスだからかなりキツいはずだ。


「いいから。ほら、いくぞ」


 強引にカレン姫をおんぶする。


「ちょっ」


「はいはい。お叱りは後で受けますから」


 サーラ姫が羨ましそうに見てきたけど、今回は真面目に辛そうだったカレン姫のみの運行になります。


 っていうか、こんな所をリリアス達に見られなくて本当に良かった。やってくれだの、ずるいだの言われていただろうからな。それにまた増えるのかと言われたら俺は何にも言えなくなる。いや、女性を増やす目的でなんて最初からないけど。


 そうして俺とお姫様二人はダンジョンから帰宅するのであった。




                ・・・




「どういうつもりですか?」


「いや、どういうつもりも何も。何もするつもりはないんだけど・・・」


「この状況でよくそんなことが言えるわね」


 ダンジョンから帰宅した俺を待っていたのはパーティーメンバーであるリリアス達によるお説教であった。


 俺の帰りが遅いことを心配したリリアス達はアルナスさんがいるだろう城に向かった。そこでこの国のお姫様二人に絡まれたと聞いたのだ。ダンジョンに言ったこともアルナスさんには異空間越しに伝えておいたからそれも伝わっていることだろう。


 だが、これは俺を心配しての説教というわけではない。


「ししょー。こちらの方々は?」


 今も俺の背中にべったりくっついて離れないサーラ姫についての説教なのだ。


「あ、ああ。俺の冒険者パーティーのメンバーだ」


「そうなのですか。皆様、初めまして。私はサーラ・ベルマーレ・ヤームロ。この国の第一皇女をしております。以後お見知りおき」


「あ、これはご丁寧にどうもです。私はリリアスです」


「アメリア・フェルゲンです」


「わ、私はカリーナ・ハールブクスです。よ、よろしくお願いしますぅ」


「俺はダンガ・ソームだ」


 あ、なんか皆のフルネーム、久しぶりな気がする。今回は真面目に挨拶したサーラ姫に倣ってってことなんだろうけど。


「それで?なんでタカキのことを師匠なんて呼んでるんだ?」


 ああ。よくそこにツッコミを入れてくれたね、ダンガ。


「俺もよく分かってないんだ。話し合いの後、ちょっと席を外したらこんな感じになってた」


「私はししょーの素晴らしさに感銘を受けただけです。この方に教えを乞いたいと思ったのです」


「本当に何をしたのよ・・・」


 アメリアがゲンナリしている。


「あのー。もしかして、このまま旅についてくるってことですか?」


 カリーナさんが一番重要なことを聞いた。確かに、ここでの答えで面倒なことになるかどうかが変わってくる。とりあえず、どっちになっても面倒なことにならないように考えておかなきゃ。


「私としてはこのままししょーの傍で教えを受けたいと思っているのですが・・・」


「そんなこと、私が許すはずないでしょう?お姉様」


 笑顔なのに目が笑っていないカレン姫がサーラ姫の肩に手を置く。


「と、こういうわけで無理なのです」


 まあ、そりゃそうだわな。そもそもお姫様である以上は公務というものがある。それを放って俺達についてくるなんて大変どころの話ではなくなる。王族一人が旅に出るための準備や仕事の引き継ぎ。補充の利くポジションでもないのでただただ人手が減るだけという。


「うん。まあ、無理だよね」


 そこまで考えて、俺もサーラ姫に同意する。


「ですが、たまに。たまにでいいのです。この国に寄って、私に色々と教えてください」


 そう言って俺の手を取るサーラ姫。


「おぉ。これがラノベとかで読んだ、お姫様の懇願か」


「何を訳分からないこと言ってんのよ!」


 俺の頭を平手で叩いてツッコミを入れてくるアメリア。


「す、すまん。やっぱりリアルで遭遇するとついな」


 そもそも日本で生きてたらお姫様と知り合う機会がほぼ皆無だからな。知り合えたらどころか、実際に見ただけでも自慢ものである。


「ほら、帰るわよ。最後の一日はきちんと私達に付き合ってもらうんだから」


「はい」


 アメリアに引き摺られながらその場を後にする俺。


「あ、あのっ」


「用があるなら後にして。これから思った以上に長引かせた分を補ってもらうんだから」


 カレン姫が何か聞きたそうだったが、アメリアの迫力に何も言えなくなってしまう。


「今日は朝まで宴会よ!騒いで騒いで騒ぎまくるんだから!」


 テンションがおかしなことになっているアメリアだったが、現状の俺には何もどうすることも出来なかった。皆アメリアが怖くて何も言わなかったが、ダンガだけは宴会と聞いて嬉しそうにしていた。ドワーフは酒が好きって聞くし、それ関係だろう。まあ、今の俺の助けにはならないね。ガックシ( ;´Д`)




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