表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/521

第25掌 一応の終わり?

本日はまだ投稿します。

勢いで多めに書けちゃいましたので。

読み逃しのないようお気をつけください。

それではどうぞ!



 一度深呼吸をして自分自身を落ち着かせる。そして、駆けだした。駆けだした先は勿論モンスターの大群。


 たったの一人で向かってきた俺をあまり脅威と見なしていないのか、動きが遅い。完全に舐められているな。だが、そっちの方が好都合だ!


「オラァ!」


 腰につけていた二本のブレードを抜き放つ。一本につき一体での攻撃だったのだが、剣の斬撃によって斬りつけたモンスターの後ろのモンスター達も何体か道連れになっていた。


 これはいい。楽が出来そうだ。


 剣なんて習ったこともないから完全な我流になってしまう。自分のセンスとアニメやドラマ、ドキュメントで見た剣術だ。でも、ないよりもマシだ。流石に素手では拳が壊れてしまう。


 今武器を持っていて思い浮かぶのは風の魔法で斬撃を出すことだが、俺は今、風の魔法を持っていない。さっきのも力任せでやっただけだから直接斬った相手以外はあんまり広範囲に届いていないし。・・・・・いや待てよ?ふと思いついたけど、代わりにMPを纏わせたり出来ないだろうか?簡単に言うとこのMPってのは魔法の素だろ?属性付きの魔法よりも威力は落ちるだろうけど属性魔法と似たようなことが出来るんじゃないか?


 さっそく試してみますか!


「フッ」


 一度モンスターの攻撃範囲よりも後方に下がる。


「ここなら届かないだろ」


 これで集中出来る。


 イメージだ。俺の中にあるMPを武器に纏わせるイメージ。一撃につきMP1消費ぐらいでいけばいいだろ。そう考え、イメージをする。結構難しいな。なんかMPが武器と手の間で塞き止まっている感覚がある。こうしているとどんどんモンスター達が俺に迫ってきた。内心焦ってきていた俺に脳内でアナウンスが聞こえた。


<MP操作を把握しました。よって掌握します>


 そのアナウンスの後、急に塞き止まっていた感覚がなくなった。それにイメージが簡単に出来る。よっしゃ!いける!


 俺は再び駆けだした。


「これでどう、だ!」


 MPを纏わせたブレードを二本同時に振るう。INTが高い所為か、MP1消費の攻撃でも結構な威力だ。何体倒したかは分からないが、レベルアップのアナウンスが頻繁に流れる。でも、思っていたほどではない。戦っている相手がスライムやゴブリンであることが原因ではないかと考えられる。いくら強くても、ベースのモンスターのランクが低いのだから入ってくる経験値も少ないのだろう。だが、そのおかげで頭の中がうるさくはない。だがレベルアップはしているのでMPが増えるのだ。ガス欠にならずにも済んでる。


「この調子でいくぜぇ!」




                   ・・・




 ・・・・・・・・どのくらい時間が経っただろうか。俺は返り血が体中に付着し、深くはないが浅い傷がかなりついていた。スタミナもほとんどない。気合で何とかしている状態だ。


 俺の周りにはモンスターはすでにいなかった。全てを切り伏せたのだ。だが、把握していた相手のボスの姿がない。辺りを見渡すが、見当たらない。把握もしているのだが、それでもいない。俺が気付かずに斬り伏せたか?いや、仮にも神の僕に従っている奴だ。弱いなんてことはないはず。少なくとも他のモンスターとは違う見た目をしているはずだ。だが、俺が見たのはゴブリンやスライムばかり。


 俺はしばらく警戒していたが一向に何もしてこない・・・というか出てこない相手。


 俺はその場に尻餅をついた。


「とりあえず、目に見える危機は去ったか・・・」


 思わずため息が出る。


 と、そこであることに気がついた。


「⁉」


 辺りを見渡しても一向に見当たらない。


「冒険者たちの亡骸がどこにも、一体もない?」


 確かに運んでいるのは見た。しかし、俺は運んでいるモンスターも殲滅したのだ。どこかに亡骸はあるはずなのだ。


 それがない。その事実が指し示すことは・・・


「黒幕が持ち帰ったか・・・」


 目的は分からないが阻止は出来なかった。だが、ここにはもういないことが分かり、緊張の糸は切れた。


「あ、れ?」


 そのまま俺は意識を失った。




                   ・・・




「・・キさ・。タ・キさ・」


 誰かが俺を呼んでいる。沙羅か?俺、いつまでも妹に頼ってばかりだな。いい加減起きないと。


「タカキさん!」


 俺が目を開けるとそこには今にも泣きそうな・・・というか号泣しているリリアスの顔があった。


「リリアス?」


「タカキさん!」


 俺が目を覚ましたことで安心した様子で再び俺の名前を呼ぶ。そして抱き着いてきた。激痛が体中に奔るが我慢だ。もう一回夢の世界に旅立ちそうになるが我慢なのだ!


「すまん。ここは?」


「ここはダンガさんの家です」


「ダンガの?」


「おう。起きたか」


 俺がまさに男って感じの部屋を見回しているとダンガが入ってきた。


「どうして俺はここに?」


「タカキさんが私をダンガさんに預けたあと、ダンガさんは私を家まで連れて行って寝かせた後、急いで門まで向かったそうです」


「そこでお前が戦っている姿を町の壁の上から見ていた。流石に俺とかが出て行ったら邪魔になりそうだったしな。デリルの奴も見ていたぞ」


「よく俺を連れて行かれなかったな」


 絶対に連れて行こうとしただろうに。俺に恩を売るには絶好のチャンスだっただろうし。


「勿論のこと、ヤツは連れて行こうとした。だが、俺が真っ先にお前のところまで駆けつけたんだ。そしてお前をそのまま掻っ攫ったのさ」


「おいおい」


 まあ、デリルの言うことを聞くこの町の冒険者は粗方死んだしな。デリルにはなす術もなかっただろう。兵士は領主の命令か、上司の命令しか聞かないもんな。


「まあ、少しの間は安静にするんだな。傷は深くなかったが、あちこちに怪我をしている。俺の作った武器もあちこち刃こぼれしているし」


「まあ、結構無茶な使い方したし」


「まあ、使い手が無事で武器も本望だろうさ。こいつらは俺が修理しておいてやる」


 そう言って武器を持って部屋を出て行った。


「あ、そうそう」


 ダンガが急に戻ってきた。


「おわっ⁉なんだよ」


「治るまではうちに置いてやるよ。安心して寝とけや」


「おう、そうか。すまないな」


「気にすんな。お前らは俺にとってすでに知り合い以上の大切な繋がりだからな」


 ニヤッと口角を上げて言うダンガ。そのまま今度こそ部屋から出て行った。


 それはそうとリリアスさん。いつまで抱き着いているのかな?激痛が俺に襲ってきて、そしてなにか柔らかいものが顔に当たっているんだが。


 リリアスさん。俺も男だからさ。超嬉しいんだよ。でも、激痛も俺を苛んでいるんだ。そろそろ気絶するよ?


「あ」


 俺は再び夢の世界に旅立った。


 だから言わんこっちゃない。




読んでくれて感謝です。

これでバトルは終了ですが、敵は姿を現さなかったというタカキにとって、なんとも不完全燃焼な感じです。

ですが、まだもう少しベルルク編は続きます。

もう少しお付き合いをお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ