第234掌 各自で観光開始 ダンガ・メルエペア その2
本編では文字数のノルマラインからちょっと多めくらいなのに、箸休めの編で普段よりもまあまあ文字数が多いという不思議。
おっかしいな~?
本編も楽しく書いているはずなのに・・・・・・いや、これ以上は止めておこう。変な結論になったら困るし。
そんなわけで前回の続きです!
ダンガがようやくのことで露店の品を買って戻ってくると、そこにはメルエを強引に連れ出そうとしている男の姿があった。ダンガは買ってきた品をタカキの異空間に繋がっている収納袋に入れてから急いでメルエのいる場所に駆け寄る。
「おい!何やってんだ!」
ダンガの声にメルエは安心した表情を見せ、代わりに男は邪魔者が来たといった感じの面倒くさそうな顔をする。
「あんたが連れか?なら、今日は帰ってくれない?俺達はこれから行くところがあるからさ」
「それがメルエさんの言ったことならその通りにするがな」
「彼女がそう言ったんだよ!」
そんなこと言ってないという顔で困った表情をするメルエ。ダンガはそれだけで十中八九そうだろうなという考えが確信へと変わる。
「とりあえず、帰れ。その人はお前みたいな軽い男は似合わん」
「あぁっ?お前に言われる筋合いはねぇんだよ!お前こそ、筋肉ムキムキ過ぎて気持ち悪いんだよ!」
「やめてくださいっ!」
男がダンガを口汚く罵った瞬間、メルエが大きな声で静止する。
「私は知りもしない人相手にそんな暴言を言う方が好きではありません!お引き取りください!」
メルエはそう男に言い放つ。
「何だとっ⁉こっちが下手に出てたら生意気なこと言いやがって!」
男は頭に血が上ったのか、メルエに対して暴力を振るおうと拳を振り上げる。
「っ!」
それに反射的に目を瞑ってしまうメルエ。しかし、その瞬間はやってこなかった。
「軽い拳だな。それで?お前はこの人に何をするつもりだった?」
男の拳はダンガによって防がれ、逆にダンガは男の拳を握りこんでいく。
「ぎゃああ!」
拳が潰れるかどうかの瀬戸際を絶妙なコントロールでセーブするダンガ。あまりの痛みに男は悲鳴を上げることしか出来ない。これがタカキならば、コントロール出来ずに男の拳をヤッてしまっていたのかもしれない。そこは流石ダンガ。長年の経験からステータスが凄まじい勢いで上がろうと関係なしで制御してしまう。
「これに懲りたら嫌がる女性にしつこく攻まろうとしないことだな」
ダンガの言葉を受けて男は逃げていく。
「大丈夫か?」
「はい。ダンガさんが助けてくださったので」
「すまない。俺が一人で勝手に移動したばっかりに怖い目に合わせてしまった」
そう言ってダンガは頭を下げる。
「いえ。ダンガさんなら助けてくれると信じていましたから」
メルエはにこやかに言う。
「そう言ってもらえると助かる。それで、これがさっき買ってきたものだ」
そう言って出したのはリンゴ飴。と言ってもこれも異世界版のである。このリンゴ飴を伝えた勇者は余程頑張ったのか、リンゴに似た果物を見つけ出してこれを作り出したのだ。
「綺麗ですね。何ですか、これ?」
「これはメッシアプを飴で包んだものらしい。かなり美味いと評判みたいだ」
「そうなんですか。どうやって食べるんでしょうか?舐めればいいんでしょうか?」
リンゴ飴を初めて食べる時、どうしたらいいのか悩んでしまう人もいる。まあ、大抵は一緒にいる人や後で友人などに聞くだろうが。
「ああ。それは噛り付くそうだ。飴と言っても硬いものではないらしい。安心して食べてくれと売っている人が言っていた」
「そうなんですか」
「どれ。まずは俺が食べてみよう」
ダンガがリンゴ飴ならぬ、メッシアプ飴に噛り付く。メッシアプ飴は通常のリンゴよりも飴の分だけ歯に抵抗があったが簡単に食べれてしまう。
「おおっ!美味いぞ」
「そうなんですか?それじゃあ私も」
ダンガに倣うようにメルエもメッシアプ飴を口にする。当たり前だがダンガよりも口が小さいメルエは齧り付いてもそんなに面積を減らすことは出来ない。まあ、そんな自分とは違う部分を見て、ダンガは少し可愛いと思っているが。
「おいしいですね!」
好みの味だったのか、お世辞などではなく、本音でそう言うメルエ。
「それは良かった。俺もこの味は好きだな。ただ飴とメッシアプを同時に食べているだけなのに、何とも言えない満足感がある」
「味覚が合うんですね、私達」
「そうみたいだな。これならあなたにご飯を作ってもらうのが一番安心で嬉しい。毎日でも食べたいかもしれない」
「えっ?」
「ん?」
メルエはダンガの発言に顔を真っ赤にして一時停止してしまう。それに対してダンガはよく分かっていないのか、停止したメルエに不思議そうな表情を向けている。
「顔が真っ赤だが、どうかしたか?具合が悪いならどこかで休むか?」
心配するダンガだが、自分の言ったことが分かっていない。そう判断することがメルエには出来た。
「あ、あの・・・。私のいたクロノス共和国では、毎日作って欲しいといった言葉は、きゅっ求婚の言葉みたいなものでして・・・。すみません。急なことなのでビックリしてしまいました」
恥ずかしそうに下に俯くメルエ。
「そ、そうだったか!こ、これは紛らわしいことをしたっ!すまない!」
ダンガも焦った様子で謝罪の言葉を出す。
「い、いえ。ダンガさんとは出身国が違いますから。そういう勘違いっていうのはあると思います。だから気にしないでください。――――――――私は別に・・・・・ですけどね」
「ん?どうした?何か言ったか?すまないが最後の方だけうまく聴き取れなくてな。もう一度言ってくれると助かるんだが」
「な、なんでもありません!気にしないでください!」
「そ、そうか」
指摘されたメルエは恥ずかしそうにこの話を終わらせようとだんまりを決め込め出す。ドンドン露店を進むと拓けた公園に出た。露店に人気を盗られたのか、閑散としている。公園と言っても噴水があるだけの広場だが。
「まあ、俺はプロポーズでも構わないけどな。メルエさんなら・・・」
「――――え?」
噴水の前でダンガは呟いた。急なダンガの言葉が聞こえたのか、驚きのままダンガに視線を送るメルエ。
「す、すまない。実はメルエさんみたいな人が好みでな・・・。こんなこと言っても困るのは分かっているんだが」
「い、いえ。驚いただけです。それより、私をいいと思ってくださるんですか?」
「美人じゃないか。それに子供想いで使用人として働いている。そんな人を嫌だなんて思うわけがない」
ここまで来たらヤケクソなのか、ダンガは思っていたことを素直にメルエに伝える。
「でも・・・。私、子持ちですよ?しかも、四人も」
「関係ないし、気にしない。それで夫がいるならしょうがないと諦めるが、そういうわけでもない。」
「奴隷だったんですよ?」
「関係ない。今ここにいるのは俺達冒険者パーティーグラスプを支える使用人であり、俺達の仲間であり、家族のメルエさんだ。昔のことも大切なことだろうが、ここにいるのは今のメルエさんだ」
「―――ダンガさん」
「ここまで言ったからな。ここで正直に言おう。俺はあなたのことが好きだ。俺と結ばれてくれないか?」
ダンガはメルエの目を真っ直ぐに見て言う。するとメルエの目からは涙が溢れた。それを見て柄にもなく慌てるダンガ。
「ご、ごめんなさい。四人も産んだ子持ちの女にそんなことを言ってくれるなんて思っても見なくて・・・」
「そ、そうか。それで、良かったら答えを聞かせてくれないか?」
ダンガの額からは汗が出ている。緊張しているのだろう。
「私で良ければ。よろしくお願いします」
この後、旅館に帰ったダンガは柄にもなく上機嫌を隠そうともしなかったらしい。タカキは女の子を四人も相手にデートをしていたせいか、疲れて早々に寝てしまったが。代わりにメルエの息子であるハンクが上機嫌なダンガの犠牲になったのは言うまでもない。
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日本全国民がゴールデンウィークに休みがあるわけではないのです・・・(ノД`)・゜・。
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