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第231掌 各自で観光開始 タカキ・カリーナペア その2

続きます。

後、一話くらいで次の視点に移ると思います。



 服を買い、服屋から出て来た俺とカリーナさん。カリーナさんの恰好を見て道行く人、主に男性が二度見する。まあ、エロいから仕方ないけど、俺の仲間に変な目で見んなや。


 威圧スキルをちょびっとだけ使ってビビらす。それだけで厭らしい視線は消えた。


「さてと。目的の服も手に入れたことだし、次はどこに行こうか?」


 まだまだ時間はある。ここで終わらせるのは勿体ないだろう。そういう訳で次の場所を聞く俺。ってか、まだまだお昼ご飯もまだだし。


「えっ?そ、そうですね・・・。それじゃあ、どこか景色のいい場所とかに行ってみたいです」


 景色のいい場所か・・・。どこがあったかな?ここら辺は街の中のことや店の情報の知識ならある程度はあるんだけど・・・。外のこととか景色は全く不勉強だったぜ。


「あっ。無理にとは言いません。タカキさんの行きたい場所でいいです」


 そう言って遠慮するカリーナさん。俺が悩んでいるところを見て遠慮し出した。これではネガティブ改善作戦にはマイナスだ。


「う~ん。ここじゃなくてもいい?」


「え?どういうことですか?」


「この街にはそれほど詳しくはなくてさ。オークスとかになら、ある程度は知っているんだけど」


「そ、そこでいいです!連れて行ってください!」


 おおう。凄い勢い。どうしたんだろうか?何か少し思い詰めたものを感じる。マイナス方向のものじゃなかったらいいんだけど・・・。この感じからして、そこまで危ない感じの雰囲気はないんだけど。


「お、おう。それじゃあ行くか」


 人気のない場所に移ってからカリーナさんと一緒に転移する。賑やかなせいで中々転移出来る場所がなくて苦労したけど、何とか路地裏で人気のない場所を見つけた。観光地っていうのは大変だな。


「こ、ここは?」


 転移したのはオークスの外れにある超高難度ダンジョン、ディメンショナル・プルートーである。その地下にある時空龍クロノの住み処である。


『む?タカキか。久しぶりだな。どうした?何か用なのか?悪いがこれから神界に出向かなくてはならなくてな』


 俺達が転移してきたのを見て、クロノが聞いてくる。


「何かあったのか?こっちはただここに来たかっただけだから気にしないでくれ」


『そうか。こっちは神に力を渡しに行かなくきゃいけなくてな』


「力?」


『地球の時間を止めているのは知っているな?』


「ああ」


『いくら神とはいえ、ずっとそんなことが出来るほどの力は持っていないからな。だからこうして神力、魔力を使徒が譲渡して持続させているのだ』


 物凄い重要なことをさらっとこんな箸休め回で言ったな。いや、いいけども。そして毎度のことながらそっち関係の話を俺は何も知らないし・・・。


「俺も何かした方がいいんじゃないか?」


『いや、お前にはお前にしか出来ないことがあるだろう。こっちは我らに任せて、そっちはそっちでやることをやれ』


 旅行中に言われると居心地が悪いけど・・・。


「分かった。頼むよ」


『ああ。それじゃあ行ってくる。魔物達はここには入って来ないだろうが、一応気をつけておけよ?』


「おう。そっちも頑張ってくれ」


 そしてクロノは転移していった。


「あ、あの・・・。タカキさん・・・。さっきのって・・・」


 恐る恐る聞いてくるカリーナさん。さっきまで固まっていたし、ビビっているのは仕方ないね。


「ああ。ここのダンジョン、ディメンショナル・プルートーの主で、時空龍クロノって言うんだ」


「あのSSSランクモンスターの⁉」


 あ、やっぱり有名なんだな、クロノって。


「あいつも俺と同じ使徒なんだ。俺の転移もあいつから貰ったものだし」


「す、すごいんですね・・・」


「クロノは俺より強いからな。それより、ここが景色がいい場所だよ。まあ、景色って言えるかは微妙なところだけどね」


「あ・・・。すごい・・・!」


 俺に言われて景色を見るために来たことを思い出すカリーナさん。そして辺りを見渡す。まあ、今まではクロノにいきなり会わせてそれどころじゃなかったもんな。


「ここって宇宙空間みたいなものだからな」


「うちゅうくうかん?」


 あ、この世界だと宇宙がなんだとか分からないか。


「空のその先にある場所だよ。まあ、そこまで行ったら息できなくて死んじゃうけどね」


「本当に凄い場所なんですね」


「ああ。ここなら綺麗だし、カリーナさんの要望に応えられたと思うんだけど」


「はい!すごい綺麗です!」


「よかった」


「あ、あの!実は、伝えたいことがあるんです!」


「え?」


 どこか覚悟を決めているような目だ。これには真面目に対応しなくちゃいけない。


「何?」


 自分の出来る限りの優しい声色で聞く。


「わ、わたし!えっと・・・っ!その・・・!」


 緊張していて、なかなか言葉が出てこない。


「落ち着いて。ちゃんと聞くから」


「は、はい!」


 深呼吸をして落ち着こうとするカリーナさん。


「すーはー、すーはー・・・。はい。大分落ち着いて来ました」


「うん」


「そ、それでですね!」


「うん」


「・・・・・・・・・・す、好きです!」


「うん・・・・・うぇ⁉」


 俺はその言葉によって、余裕が全て吹っ飛んでしまったのだった。




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