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番外① リリアスの学園生活 8

今回は何話「リリアスの学園生活」は続くんだろうか。

書くことが無くて、そのまま波乱を巻き起こしましたが、これって長くなる感じがしますよね。

ま、そんなに引っ張るつもりはないのでそこまで長くなることはないと思います。



「それって、依頼が短期のものじゃなかったってわけじゃないの?」


 ギムル君が帰ってこないことに対してキャシーはありえそうなことを聞いてみる。


「ううん。そんな依頼じゃないの。特に内容厳守も指定されていない普通の討伐依頼よ。先生に聞いた話だと、どこかの洞窟に行くって言ってたみたい」


 この街から洞窟って言えば、私にはあそこしか思い浮かばないんだけど・・・。


「それで昨日から帰ってこない・・・。内容は厳守じゃないんだよね?何を討伐しに行ったの?」


 私は一番気になる部分を聞く。


「なんか、自分より少しモンスターランクが上のを討伐しに行ったらしいよ。勿論、念のために冒険者ギルドが格安でやっている低級冒険者用の護衛も雇ってたんだけど・・・」


 低級冒険者用の護衛っていうのはこのオークス王都の冒険者ギルドで実施されている護衛依頼。ギルド側が料金を支払い、低級冒険者の依頼に付いてもらうというものだ。これを実施してから低級冒険者の死亡率はかなり下がっている。


 護衛依頼はギルドからの報酬は低級冒険者が出す報酬よりは少し高いが、それほどいい報酬ではない。それなのにお世話になった低級冒険者の人達は自分が中級から高級冒険者になった時にこの護衛依頼を受けてくれる。それはこの依頼で自分達が救われているからなのだ。


「どっちとも帰ってこなかったの?それとも、護衛していた冒険者だけ帰って来たの?」


「後者よ。洞窟の中でほんの少しだけ目を離した瞬間にどこかに消えてしまったらしいの」


 え・・・。ほんの少しの間で消える?なんだか、もう、大体、予想ついちゃったんだけど・・・。


「それで冒険者がギルドに急いでそのことを伝えて、今日の昼頃に学園に連絡が来たの」


「そっか・・・。捜索とかは?」


「高級冒険者を雇うお金が流石に学園側も出せないから、低級冒険者と数名の中級冒険者、それと明日から私達も捜索に加わるわ。一応、数年一緒にやって来たクラスメイトだからね。私も準備があるから帰るわね。それじゃ」


 そう言って帰っていく女生徒さん。


「どうしよう・・・」


 キャシーは困った顔で私に聞いてくる。確かに。これじゃもう買い物とか行ってる場合じゃないよね。それに、私、この状態で旅行に行けないよ・・・。


「私、今から探すよ」


「え⁉」


「このままじゃ、旅行にも行けないし、行っても楽しめない。だから探すよ。私は現役の冒険者だし」


 頼っちゃうようになっちゃうけど、最後の手段としてはタカキさんに頼んで把握してもらえば何とかなる。最悪の場合になっちゃったらどうにもならないけど。


 でも、私の予想が当たればあそこに行っちゃってるよね。連絡さえ取れればタカキさんに頼らないでも何とかなるかもだけど・・・。連絡の取り方も分かんないし・・・。


「でも、今からだと夜になっちゃうよ!」


「大丈夫。私には召喚魔法があるからいざという時には助けも喚べるし」


「でも・・・」


 キャシーの心配は分かるんだけど、このままだとタカキさん達にも申し訳ないよ。だって、旅行中に皆さんが楽しんでいる中で楽しめていない私。雰囲気も悪くなっちゃうだろうし。


「大丈夫だから。それじゃ、買い物はまた今度行こうね!」


 そう言って私はそのままその場でキャシーと別れて学園の外へと出た。




              ・・・




 やって来たのは以前、私達も訪れたディメンショナル・プルートー。


 ここに来る前にタカキさん達にも友達を探すことを伝えているから大丈夫。


「それじゃ早速」


「にゃ~」


「あれ?リア?」


 洞窟の中に入ろうとしたら召喚もしていないのにリアがその場にいた。


「ついて来てくれるの?」


「にゃ!」


「ありがと」


 そう言って頭を撫でる。


「にゃにゃあ~」


 それを気持ちよさげに受けるリア。でも、こんなことをしている暇はない。もしもここにギムル君が迷い込んでいるなら、一刻の猶予もないかもしれない。ここにいるのは高級冒険者でも苦戦するような、もしかえしたらやられちゃうくらいには高難易度のダンジョンなのだ。そんなところにまだ学生でしかないギムル君がいたら、モンスターに見つかった瞬間に殺されてしまってもおかしくはない。


「ごめんね。また屋敷に戻った時にやってあげるから」


「にゃあ!」


 気にすんなと言ってくれたような感じがする。


「それじゃいこうか」


「にゃ」


 そして私達はダンジョンへと再び足を踏み入れるのだった。




            ・・・




 リリアスがダンジョンへと足を踏み入れていたその頃、ギムルは息を切らしながらもスペーススパイダーから逃げていた。


「何なんだよ!俺がいたのは確かに低ランクの洞窟だったはずなのに!どうしてこんなに強いモンスターがいるんだよ!」


 あまりに強いモンスターがウヨウヨといるので救助が来ることを信じて隠れていたギムルであったが、スペーススパイダーに見つかってしまい、その場から逃げ出したのだ。


「くそ!俺はもっと強くならなくちゃいけないのに!」


 思い浮かぶのは一人の女の子の姿。


「こんな情けない姿、リリアスには見せられない!」


 そう考えていると、気が付けばスペーススパイダーが背後に迫っていた。


「ちくしょうっ!」


 それでも諦めてたまるか!とばかりに走る速度を上げるギムル。


「うわっ」


 そうして次の一歩を踏み出そうとした瞬間、踏みしめたはずの地面は空を切った。


「あああああああぁぁぁぁ!」


 こうして気付かず落とし穴の上に行ってしまったギムルは穴の中に消えていくのだった。




読んでくれて感謝です。

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